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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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第17話 魔法が武器になる時



魔法は、

便利な力だった。

火を起こし、

水を汲み、

怪我を癒す。

――生活のための力。

少なくとも、

レオンはそう信じていた。

だが町に来て、

その考えは簡単に壊れた。


魔物は強くなっていた。

それ以上に、

人間が強くなっていた。

短縮詠唱。

戦闘特化の術式。

連携を前提とした魔法陣。

魔法は、

完全に「戦うための技術」へと

変わり始めていた。

「……これでいいのか?」

訓練場で交わされる

殺気混じりの魔法を見ながら、

レオンは拳を握る。

守るための力が、

いつの間にか

奪うための力になっている。


その夜、

酒場で事件が起きた。

報酬を巡る口論。

一瞬の沈黙。

次の瞬間、

魔法が飛んだ。

防御、反射、暴発。

店の壁が崩れ、

人々が悲鳴を上げる。

レオンは立ち尽くした。

剣も、

魔法も、

悪くない。

だが――

使い方を縛る何かがない。

「……何か」

「何か、

 出来ることが

 あるんじゃないのか?」

答えは、

出なかった。


その夜。

レオンは、

奇妙な夢を見る。

白い空間。

霧の向こうに、

複数の気配。

声はない。

ただ、

いくつもの視線が

こちらを見ている。

(これで……)

(気づいてくれれば……)

そんな誰かたちの思念だけが、

ぼんやりと伝わってきた。

――枠を。

――導きを。

――力には、

 居場所が必要。

目が覚めた時、

心臓が早鐘を打っていた。

「……今の、

 なんだ?」

夢だった。

だが、

胸に残る感覚は

消えなかった。


翌朝。

町は、

今日も平和だった。

魔法は使われ、

剣は振るわれ、

冒険者は集い、散る。

レオンは、

空を見上げる。

「……何か」

「何か、

 出来ることが

 あるはずなんだ」

その答えに、

彼がたどり着く前に――

余計なお世話な神が、

 一歩踏み出すことになる。



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