第15話 神界会議「どこまで介入するか」
どうも皆さんこんばんは。
創造神です。
……。
何で俺は、
今こんな所で正座させられているんでしょう?
そうです。
今、
俺の目の前には――
神が十人。
全員、
無言。
全員、
無表情。
全員、
俺を見ている。
「……壮観ですね」
誰も、
笑わない。
「これだけの神に
にらまれることって
なかなかないですよ?」
空気が、
さらに冷える。
「……」
「……」
「……」
「もうそろそろ
立ち上がっても
いいでしょうか?」
間。
「……」
「……」
「……」
「まだ駄目?」
ウェヌスが、
静かに口を開いた。
「駄目です」
「ごめんなさい」
俺は、
即答で謝った。
「では」
ウェヌスが、
円卓の中央に立つ。
「今回の議題は
ひとつです」
「神は、
どこまで
世界に介入するのか」
一斉に、
視線が集まる。
アウラが、
腕を組む。
「正直に言うね」
「今回のは
アウト寄り」
「……分かってる」
「非常口から
戦場に
飛び込むとか
正気じゃない」
「反省してます」
「反省で
済まないから
会議なの」
ごもっとも。
「まず」
テルスが、
低い声で言う。
「人類と魔族の
衝突は
必然だった」
「資源、
土地、
人口」
「どれも
衝突要因だ」
「神が
止め続ければ
どうなる?」
ヘファイストスが、
即答する。
「依存する」
「自分で
解決しなくなる」
「鍛えなくなる」
「……筋肉も?」
「特に筋肉」
「すまん」
俺は、
反射で謝った。
ウェスタが、
ゆっくりと言葉を選ぶ。
「今回、
統括は
“止めた”」
「でも」
「止めたことで
世界は
どうなりましたか?」
沈黙。
アウローラが、
指を立てる。
「戦争は
止まった」
「でも」
「戦争が
存在する世界
になった」
空気が、
重く沈む。
「一度
知ってしまえば」
「次は
もっと
うまくやろうと
考える」
「それが
文明であり」
「それが
争い」
「……」
反論できない。
「じゃあさ」
アウラが、
少し柔らかく言う。
「統括に
聞くね」
「あなたは
何が
一番怖かった?」
俺は、
少し考えた。
「……」
「誰も
見てないところで
死ぬこと」
「助けられたのに
助けなかったって
後悔すること」
正直な答えだった。
「だから
行った」
ウェヌスが、
頷く。
「それは
理解します」
「ですが」
「感情で
介入すると
線引きが
消える」
「次も」
「その次も」
「統括が
行くことになる」
「……」
それは、
怖い。
「結論を
出しましょう」
ウェヌスが、
宣言する。
「今後の
神の介入は――」
一瞬、
間を置く。
「世界の
存続が
脅かされる場合
のみ」
「局地戦、
国家間戦争」
「それ自体には
介入しない」
「……人が
死んでも?」
「……はい」
重い。
だが、
必要な線。
「ただし」
ウェスタが、
続ける。
「知恵、
技術、
概念」
「間接的な
導きは
許可する」
「文明を
育てる」
「判断は
彼ら自身に
委ねる」
「……筋トレ?」
「筋トレは
文化」
「セーフ」
助かった。
「統括」
ウェヌスが、
俺を見る。
「非常口の
使用は禁止です」
「転移は
正式手順のみ」
「帰還石も
必須携帯」
「……はい」
「違反した場合」
「再び
正座」
「……はい」
俺は、
深く頭を下げた。
「……でも」
ふと、
思った。
「これで
良かったんですか?」
誰かが、
死ぬ未来を
見ないふりする。
それが、
神の在り方なのか。
アウローラが、
小さく笑った。
「正解なんて
ないよ」
「だから
神も
悩むんでしょ?」
「創造神様」
「……統括です」
「はいはい」
笑いが、
少しだけ
空気を和らげた。
会議は、
終わった。
俺は、
立ち上がる。
「……これから
大変になりますね」
「ええ」
ウェヌスが、
静かに言う。
「文明は
進み」
「魔法は
広がり」
「争いは
複雑になる」
「でも」
「それでも
世界は
進む」
俺は、
窓の外を見た。
平和な夜。
まだ、
火は小さい。
だが――
確実に、
増えている。
「……見守るか」
「見守りましょう」
そうして。
神界は、
静かに
次の時代へ
進み始めた。




