第14話 はじめての衝突
魔法が、
戦に使われた。
最初は、
ほんの小競り合いだった。
国境。
人類の小国と、
魔族の集落。
奪われたのは、
水源。
守ろうとしたのは、
土地。
「……起きたか」
円卓の間。
世界を映す窓に、
赤い印が灯る。
「局地戦です」
ウェヌスが、
即座に報告した。
「規模は小さい」
「……でも」
ウェスタが、
言葉を選ぶ。
「“初めて”です」
「……」
俺は、
一瞬だけ目を閉じた。
そして。
「……っ」
次の瞬間。
非常口。
窓。
俺は、
考える前に
飛び出していた。
地上。
焦げた土。
崩れた家。
魔族と人類が、
睨み合っている。
魔族側は、
魔力が濃い。
人類側は、
数で劣る。
「……」
魔法の威力差は、
歴然だった。
「そこまでだ!」
俺の声が、
戦場に響く。
両陣営が、
一斉にこちらを見る。
「……誰だ?」
「神……?」
魔族の一人が、
息を呑む。
「死にたい奴から
前に出ろ」
空気が、
凍りついた。
「人類」
俺は、
人間側を見た。
「魔力が少ないのは
言い訳にならない」
「魔法だけに
頼るな」
俺は、
拳を握る。
「強化魔法」
自分に、
かけた。
次の瞬間。
地面が、
割れた。
踏み込んだだけで、
土が砕ける。
「見たか」
俺は言った。
「魔法は
“補助”だ」
「体を
鍛えろ」
「筋トレしろ」
「え?」
「え?」
人類側が、
戸惑う。
「筋肉は
裏切らない」
俺は、
本気で言った。
「魔族」
次に、
魔族を見る。
「力に
胡坐をかくな」
「戦えば
いずれ
全てを失う」
沈黙。
しばらくして。
魔族の代表が、
武器を下ろした。
「……今回は
引く」
「賢明だ」
俺は、
頷いた。
戦は、
終わった。
神界。
戻った瞬間。
「統括!」
「なぜ
非常口を!」
「正式手順を
教えたはずです!」
怒号。
「……とっさだった」
「理由になりません」
「でも
止まっただろ」
「止まったから
いいわけでは
ありません」
ウェスタの声は、
厳しかった。
「でも」
俺は、
小さく言った。
「……放っておけなかった」
沈黙。
誰も、
否定しなかった。
小さな戦。
だが。
それは、
確実に――
始まりだった。




