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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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閑話13 そこんとこどうなの?



――正座説教、終了。

「……以上」

アウローラが腕を組んだまま、きっぱりと言い切る。

その正面では、統括とエレブスが芝生の上で正座したまま、完全に燃え尽きていた。

「……」

「……」

風が吹く。

沈黙が、長い。

「……足の感覚、ありますか?」

エレブスが小声で聞いた。

「ない」

統括も即答した。

「凄い神になるには、下半身の痺れに耐えないといけないんですね」

「違う」

アウローラは即座にツッコんだ。

「それは単なる罰」

「……ですよね」

ようやく、アウローラは大きく息を吐いた。

「ふぅ……」

肩の力が抜け、羽の光も少し柔らぐ。

「……言いたいことは、全部言ったわ」

そう言ってから、少し間を置く。

「じゃあ」

「ここからは、普通に話を聞く側に回る」

統括が顔を上げる。

「切り替え早くない?」

「親だからよ」

即答だった。

「叱る時は叱る」

「終わったら、いつまでも引きずらない」

「……じゃないと、疲れるでしょ?」

「それは……そう」

エレブスが小さく笑った。

その様子を見て、統括はふと思い出したように言う。

「そういえばさ」

「アウローラ、最近ギャル語使わなくなったよな?」

「……」

一瞬、空気が止まる。

「……あれはね」

アウローラは少し視線を逸らした。

「私だって一応“神”で」

「しかも“親”なのよ?」

「さっきみたいな場面でギャル語は流石に無理」

「今はまだ頭の中が混乱してるだけ」

腕を組み直す。

「そのうち、戻ると思うけど」

「へー」

統括はニヤッとする。

「じゃあ今は“母親モード”ってやつか」

「そういうこと」

少しだけ照れたように答えた。

「……で?」

アウローラが首を傾げる。

「さっきから気になってたんだけど」

「何の話を振るつもりだったの?」

「ああ」

統括は芝生に座り直し、周囲の神々を見回した。

「そこんとこ、どうなのかなって」

「……そこんとこ?」

「親神ってさ」

「子神たちのこと、どう思ってるんだろうって」

「逆も含めて」

その言葉に、場が少し静まる。

最初に口を開いたのは、ウェスタだった。

「そうですね」

穏やかな声。

「ウェヌスは神としては、とても優秀です」

「安心して見ていられます」

少しだけ表情が緩む。

「ただ……」

「真面目すぎて」

「悩んでいる姿を見ると」

「親として、歯がゆくなることはありますね」

「母様……」

エレブスが思わず声を漏らす。

「私は」

少し恥ずかしそうに、それでもはっきり言った。

「母様も父様も、大好きですよ」

「母様は真面目で」

「父様のことが大好きで」

「……自慢の母様です」

ウェスタは一瞬、言葉を失い――

「……ありがとう」

短く、でも深く頷いた。

「クロノスはのう」

次に、白髭の老神が朗らかに笑う。

「もう何も言うことはない」

「全てにおいて完璧じゃ」

「フォフォフォ」

隣の女神が眉をひそめる。

「……今、私の話?」

「ありがとのう」

「完璧な母じゃ」

「……初めて母って言われた気がするんですが?」

「いや」

クロノスは少し考えてから言った。

「完璧な孫じゃった」

「そこ!?」

笑いが起きる。

「ヘルメースは」

ウェスタが微笑む。

「危なっかしいところはありますが」

「愛嬌があって、可愛らしい子です」

「私もママ大好き!」

元気な声が割り込む。

「でもライバルだと思ってる!」

「私だってパパの子ほしいもん!」

「……対抗宣言?」


「アウラは?」

統括が振ると、アウローラは少し考えた。

「テレスは凄い子よ」

「体は大きいけど、まだ子供っぽくて」

「でもドワーフ事件で、確実に成長した」

「……自慢の息子」

「僕も」

テレスが照れながら言う。

「いつも明るい母さんが大好きです」

「ヘファイストスは」

「怒りっぽいけど」

「それだけ真剣なの」

「だから、大好きよ」

「……」

本人はそっぽを向く。

「感謝は……しとる」

「なにそれー」

「うるさい!」

統括はそれを見て、ぽつりと言った。

「……みんないい親だな」

「俺も見習わないと」

すると、ウェスタが即座に言う。

「何を言っているんですか」

「あなたこそ」

「皆の大好きな、自慢の父ですよ」

統括は一瞬黙り――

「……それ、反則だろ」

苦笑しながら、空を見上げた。

天界は今日も静かで。

神々はそれぞれ、不器用に

“親”をやっていた。

――そこんとこ、ちゃんと大丈夫だった。


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