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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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第90話 管理者ケルちゃん、最初の一日



その朝――

管理者は、早起きだった。

「おはよう!」

森の中央、世界樹の根元。

三つの首が同時に挨拶する。

「おはようございます管理者様!!」

――即、返事が来た。

しかも大合唱。

ケルちゃんが固まる。

「……え?」

目の前には、

整列したエルフ三種族。

エルフ、ダークエルフ、元ハイエルフ。

全員、背筋ピン。

無駄に統率が取れている。

「えっと……どうしたの?」

「本日は管理者様の就任初日!」

「我々一同、全力でサポートいたします!」

「まずは朝のご挨拶から!」

「???」

ケルちゃんの三つの首が、同時に「?」を浮かべる。


まず起きた異変その一。

距離感が近い。

「管理者様!朝露が冷たいでしょう!」

「こちら、葉っぱで作ったクッションです!」

「尻尾が汚れないよう、敷物を!」

「……え、あ、ありがとう?」

尻尾を振ると、

エルフたちが一斉にメモを取る。

「見たか今の尻尾振り……」

「朝のコンディション良好だな」

「尊い……」

「????」


異変その二。

呼び方が統一されていない。

「ケルちゃん様!」

「管理者様!」

「我らが門番!」

「筋肉の化身!」

「……名前、呼んで?」

「「「はっ!!」」」

相談開始。

「どれが正解だ?」

「敬意を込めるなら管理者様だろう」

「だが親しみも必要だ」

「では“管理者ケルちゃん様”で」

「長い」

最終的に――

「ケルちゃん様(敬意マシマシ)」

に決定。

ケルちゃん、困惑。


異変その三。

押し活が始まっている。

「本日の管理者様の行動予定です!」

謎の木板が出てくる。

・朝の見回り(眺めるだけでOK)

・筋トレ(必須)

・昼寝(推奨)

・世界樹観察(尊い)

「……昼寝、いる?」

「必要です!!」

「管理者様の健康は森の健康!!」

「睡眠=尊厳!!」


巡回中。

「……あの木、元気?」

「はい!管理者様が昨日見ただけで回復しました!」

「見てないよ?」

「見たことにします!!」

ダークエルフが叫ぶ。

「さすが、地獄の門番だな」

エルフが頷く。

「いや、神の門番だろ」

元ハイエルフが続ける。

「違いない」

ケルちゃん。

「?」


昼。

食事の時間。

「管理者様用です!」

出てきたのは――

異常に豪華な肉盛り。

「え、みんなのは?」

「我々は後で!」

「まずは管理者様が食べる姿を拝見してから!」

「え……?」

食べる。

もぐ。

三首で食べる。

静寂。

「……今の噛み方見た?」

「ポチ首、角度完璧だったな」

「クロ首の顎筋……」

「ハナ首、表情が優しい……」

ケルちゃん、食べづらい。


午後。

筋トレ。

「今日は軽めでいい?」

「いえ!!」

「管理者様の“軽め”は我々の“地獄”!!」

結果、

見守り係が全滅。

ケルちゃんだけ元気。


夕方。

ケルちゃん、木の根元で座る。

「……みんな」

「はい!!」

「そんな、かしこまらなくていいよ」

沈黙。

「前みたいに、普通で……」

エルフたち、顔を見合わせる。

そして、誰かが言った。

「……無理です」

「?」

「我々、もう知ってしまったので」

「何を?」

「優しくて」

「強くて」

「筋肉で全部解決して」

「怒らない管理者を」

ケルちゃん、ぽかん。

「だから……」

「推します」

「全面的に」

「生活の全てで」

「?????」

尻尾が、無意識に振れる。

「……まぁ」

「いいか」

その瞬間。

「今の“いいか”発言、記録!!」

「歴史的瞬間!!」

「世界樹の年表に刻め!!」

ケルちゃん。

「……エレブス、父上」

空を見上げる。

「大変だけど……」

「なんか、楽しいよ」

森は今日も平和だった。

少しだけ――

騒がしすぎるくらいに。



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