幕間:???
それは時の流れから超越した場所だった。
「──はぁ、本当にあの馬鹿、そうポンポンと臨死体験を繰り返すんじゃないわよ」
光という概念もなく、時という概念もない。物体という概念もなく、そこには声だけが存在した。
「……むふっ。でも、活躍してるみたいでいいじゃない」
その思念体に目はないが、確かにここではないどこかを見詰めていた。
「次は何を作るのかしら。王道に生活家電? それとも武器? 『銀の自動兵』も完成してないわよね」
期待と悦楽。その二つが確かに滲む声。そこへ新たな声が加わる。
「あらエリスちゃん。こんな所にいたの?」
「!? 先輩、どうしてこんな所に!?」
「ただの気分転換よ。また私の育てていた『枝』を切られちゃったのよね。今回はまあまあ手をかけていたのに……あの虫ども」
怒気が滲んだたった一言。それだけで空間が断裂し、混沌とした歪みが生じる。
「あらごめんなさい。八つ当たりなんてはしたないわね」
しかしその歪みも、また一瞬で元に戻された。
「でもエリスちゃんを見かけるなんて思ってなかったわ。最近見かけないんだもの──あら?」
「ッ、それは──」
「なんだ、エリスちゃんも『枝』を育ててたのね」
興味深そうな、そして悪戯っぽい声に、最初からいた声は慌てる。
「あ、あの! この子は私の、たった一人の『愛し子』なんです! だから何もしないで……!」
「うん? ああそうなのね。あれでも、エリスちゃんは前に別の『愛し子』がいなかったかしら?」
「え?」
「ほら、極低魔素界域の第八区画の辺りにいたじゃない。最近まで監視していたでしょ? アドレス探す?」
「え、あ、はい、してました、けど……」
困惑する声。それを気にせず先輩と呼ばれた声は続ける。
「あ、でも放ったらかしにしてたし、実は『愛し子』じゃなかったのか」
「え、あの……」
「でもそれなら勿体なかったわね。捨てるには惜しいって、確か別の子が持って行っちゃったわよ?」
「え? え?」
「あ、これは秘密だったかしら。ごめんなさいねー、先輩は帰るわー。私も転生者を使ってみようかしら……」
そして世界に声がまた一つだけとなる。その声は混乱の極地に居た。
「私……確かに転生させた、わよね……」
だが先輩の声が嘘を吐く理由がない。それならば……
「あの子は、誰なの……?」
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