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オーダーメイド 〜魔道具の祖の研究日誌〜  作者: 中安・ユージーン・風真
第二章 Order:至宝を守る痣

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動機と勧誘

「さて、それじゃあ取り調べといこうか」

「さっきまであんなに叫んでおいて〜、今更威厳とか出せてませんよ〜★」

「取り調べといこうか!」


救護室にて、茶会すディアナを無視して、背後にリフィを従えマエリスは宣言した。

マエリスの両膝から足先までは包帯でぐるぐる巻きにされており、足の甲からは少し血が滲んでいる。


「聞きたいのは君の目的と手段だね。まず、誕生日会からボクとマノンに執着してる理由から」

「別に〜、マエリスさんには興味ありませんけど〜?」

「じゃあマノンに執着してる理由でいいから教えて」


ぶすっと不貞腐れるディアナに、マエリスは若干苛つきながら尋ねる。

八つ当たりで傷を虐められれば、誰だって不機嫌になるだろう。


「……そうですね〜。まずは教会の目的から話しますか〜」


不承不承とディアナは語り始めた。


「今〜、『聖騎士』が空位なのは知ってますよね〜? 教会は新たな『聖騎士』が欲しいんですよ〜」

「新たな『聖騎士』が欲しいって、任命すればいいんじゃないの?」

「そう単純な話じゃないんですよ〜」


そう言って、ディアナは黙り込む。


「……急に黙秘?」

「うるさいですね〜。これを出すのは集中しないとなので黙ってください〜」


むむむ〜、と額に皺を寄せて力むディアナ。すると眉間に、何やら赤い印が浮かび上がってきた。


ハートの形をした印だ。リフィも知らなかったようで、無表情ながら驚いている。


「『聖杯ハート』の『聖痕』です〜。教会の任じる聖人は『聖痕』を持つ人のことを指すんです〜」

「だからあんなに額を気にしてたんだ」

「そうですよ〜。最初はマエリスさんが『聖騎士』だと思ってたんですけど〜、『聖痕』がないんですから失望しました〜★

 でも〜、その後にマノン()に『聖痕』の気配を感じまして〜♡ この前調べて確信しました〜♡ マノン()こそが新たな『聖騎士』です〜♡」


段々と興奮し、恍惚の表情を浮かべだしたディアナに、マエリスはドン引く。


「そ、そっか……それで、わざわざ教会の目的って枕詞を置いたよね。ならディアナの目的は?」


逃げようとする心を抑えて、マエリスは努めて業務的に尋ねたが、すぐにそれを後悔した。

ディアナの瞳に、ドロドロした何かが見える。


「私は生まれた時から英雄譚が大好きなんです〜♡ 特に勇者の物語が大好きで大好きで〜、勇者を愛してるんです〜♡

 でもチヤホヤされるだけの勇者ってショボいじゃないですか〜★ 勇者は試練を乗り越えてこその勇者ですよね〜★ そう思いませんか〜?」

「まあ、意見は人それぞれじゃないかな?」


マエリスは無難な回答しか返せない。しかしディアナは答えを聞いていないのか、そのまま喋り続ける。


「私の父の枢密院派は〜、私の闇魔法で『聖騎士』に首輪を付けようとしてるんですけど〜、私はそれが破られることが望みなんです〜♡ 『聖女』になったのなら『聖騎士』の隣にいるべきなんでしょうけど〜、私は隣は嫌ですね〜★

 私は試練を与える側になって〜、試練を超える勇者が見たいんです〜♡」

「と、倒錯してる……」


つまり、まとめると。

教会の目的は『聖騎士』の発見。確保もあるか?

その中の枢密院派の目的は、『聖騎士』に首輪を付けて手駒にすること。

そして枢密院派のディアナの目的は、試練として勇者に立ち塞がり、打ち破られること。


……ん?


「ひょっとして、『聖騎士』と勇者って、同じ?」

「ん〜、『聖騎士』に勇者が多いのは事実ですけど〜、全ての『聖騎士』が勇者になるわけではないですし〜、『聖騎士』でない勇者もいますからね〜」

「勇者は災害級の魔物を打ち倒した者へ送られる通称ですからね。公的な称号ではないのです」

「あ、そうなんだ」

「そんなことも知らないんですね〜♪」

「うるさいやい」


ディアナの嘲るような笑みに、マエリスの額の青筋がピクつく。


「それで〜、手段ですか〜? 見られた通りに〜、マノン様が長居する場所に呪いを撒いて〜、教会の助けが必要になる状況を作って〜、最後に駆け込んできたところで洗脳ですよ〜★」

「エグいことを楽しそうに言うね……」

「いつ破られるのかが楽しみでしたね〜♡ マエリスさんに邪魔されましたけど〜★」

「はいはい」


大体ディアナのことが分かり、これで事件は一区切りだろう。


「さて、それじゃ交換条件の話をしようか。ボクとリフィはディアナが闇属性を使えることを無期限で誰にも伝えないことを約束するよ」

「口約束を信用しろと〜?」

「うん」

「ま〜負けた身で言える文句じゃないですね〜。ホント〜、魔法の使えない憐れな子とは何だったんですかね〜。

 代わりに私は何をすれば〜?」

「うん。今やってる呪いはもう止めることと、ボクの研究を手伝ってほしい」


マエリスが考えていた落とし所を告げると、ディアナは胡乱な目でマエリスを見た。


「正気ですか〜? 私が機密を守る保証はないですよ〜?」

「お互い様でしょ、そこは」

「……何の研究ですか〜?」

「あらゆる死を退ける魔道具の開発」

「馬鹿ですか〜?」

「悲しいことに本気だし正気だし、現実なんだよ」


マエリスが遠い目をする。


「ちょっと、面倒な相手からの依頼でさ……納期が一年後なんだよね」

「本当に正気ですか〜? 頭に治癒魔法要ります〜?」

「要らないよ。それで、ディアナはかなり『生命』に詳しそうだから、協力をお願いしたいんだよ」

「それ〜、開発に失敗したらどうなるんですか〜?」

「マノンが辱められる」

「やりましょ〜! 私とマノン様の預かり知らぬ試練は私が排除します〜!」

「どういう理屈なの……」


とりあえず、マエリスは強力な助っ人を得た。

お読みいただききありがとうございます。


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