表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーダーメイド 〜魔道具の祖の研究日誌〜  作者: 中安・ユージーン・風真
第二章 Order:至宝を守る痣

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/107

ルーン魔術

(切り替えよう。むしろボクよりも『生命』については、ディアナの方が詳しい)


夜、一連の出来事をベッドの上で思い出しながら、マエリスは考える。


(考え方とか、治癒魔法の使い方とか、聞いたら教えてくれるか?)


ちらりと、マエリスは横で眠るマノンを見る。


(……あの執着なら、対価にマノンを要求してくるな。

 診察で、ディアナは何か掴んだような感じだった。これ以上マノンに接触させるわけには、いかない)


マエリスはマノンの額を凝視する。しかしマエリスには、何も分からない。


(なら、どうすれば技術が盗める? 治癒魔法を使わせればいい。治癒魔法を使う事態とはつまり──ボクが、怪我をすればいい)


ただし、治癒魔法は何度も受けると耐性ができる。今のマエリスの状態がそうだ。このまま回復され続ければ、上級の治癒魔法すらも効かなくなるだろう。


(闇雲にやってはいけない。少ない回数で、その神秘を暴く必要がある)


ならば、とマエリスは脳内で計画表をめくる。


(少ない回数で理解するには、相応の知識を備えておかないといけない。つまり治癒魔法の解析が必要になるけど、そのために『生命』属性と『精神』属性の解析が必要──結局、この流れか)


しかし、こうも思う。


(ディアナを飽きさせると、どういうちょっかいをかけてくるか分からない。早めに治癒魔法に手を出すべきか?)


逡巡するも数秒。マエリスは結論を出した。


(理解に近道も裏道もない。焦るな、今まで通りでいけ)


マエリスはプレゼントでもらったクッションを抱きしめる。それを背中からマノンが抱きつく。


(……コアラみたいだな)


少しほっこりした気持ちになり、思考をリセットできた。


(マノンの何かを見つけたディアナは、次は何をしてくる? 夜は、ボクがマノンと一緒に寝てるから難しいとして……やっぱり魔法的な何かかな……呪いとか?)


呪いは冗談だが、方向性はありそうだとマエリスは考える。


(魔法を検知するセンサーみたいな物が作れれば……でもデジタルなのは無理だし……アナログのセンサーって、何がある?)


魔法、魔法と、関係しそうな言葉を手当たり次第に思い出す。そこで浮かび上がるのは、帝都の本屋での出来事。


(あの時……リケは『魔力粒子論』って言ってたっけ。書斎にもその本があったね。魔力は『魔素』という粒子を扱う力であるみたいな──分子論と同じ感じだよね。

 なら魔法にも、固有の振動がある?)


マエリスはそっと起き上がり、クッションをマノンに抱かせる。


(前世、電気を使わないで計測する方法……温度計、は違うか──あ、地震計があるか。

 でも地面が揺れるわけじゃないし……逆に針を揺らす? 紙を巻けないならただの線が引かれるだけじゃない?)


車椅子を出現させ、マエリスは机から羊皮紙を引っ張り出す。


(振動……振動……なんか、前世になかったっけ?)


そこで、マエリスの脳裏に、一本のショート動画が過った。

音の周波数に合わせて、砂が規則的な模様を描く動画。


(クラドニ図形!)


カチリと、歯車がはまる音がした。


(魔法の魔力を、振動に変化させる──魔法陣の属性変化のパーツが使えるかな。波や振動は水属性のパーツだよね。

 これを、極限まで発動魔力を減らして……いっそ、ルーン文字を一つだけ刻んでみる? 起動するかな……というか今まで試したことなかったな)


マエリスは試しに、波打つようなルーン文字を一つだけ書き、魔力を込めてみる。

しかしそれだけでは発動しない。


(えっと、水属性の魔法陣の魔力の流れは──)


マエリスはその文字の周りにいくつか図形を描く。

そして魔力を入れると、込めた量の割に、かなり強い衝撃がマエリスを襲った。


全身くまなく、内臓をかき回すような衝撃。車椅子を維持することもままならず、マエリスはその場に倒れた。


(あ、まず──)


吐き出しそうになったものを、必死に飲み込んで証拠を隠す。血の味がして、喉が痛む。


(そっか、魔法陣って、ルーン文字の方が本体なんだね……)


まだ体の中がグラグラするが、マエリスは再度車椅子を作成して羊皮紙に向かう。そして威力を下げるように図形を刻んだ。


(──うん、まあ、これくらいならいいでしょ。後は砂か……)


幸いというべきか、マギカ辺境伯領はスタンピード被害で瓦礫がたくさんある。砂も大量にあるはずだ。


(屋敷にも少しあるはずだし、少し拝借してこよう)


音もなく、マエリスは部屋を抜け出す。見回りをする使用人たちの目を掻い潜り、砂を確保、部屋へと戻る。


「……今の、マエリス様だよな」

「……こんな夜中に、倉庫に何の用だ? あそこは瓦礫しか置いてないけど」

「……一応、リフィさんに伝えておくか」


なお、使用人にはバレていたようだが、マエリスは知らない。


(あとは砂をまいて、完成。適当に魔法を使ってみよ)


そこでマエリスは一度車椅子を消し、再度出現させる。

しかし、砂はちっとも動かなかった。


(……失敗? 閾値が高すぎたかな……)


マエリスの顔が渋くなる。しかしせっかく作ったものだ、マエリスは部屋の隅に隠して置いた。


(明日の夜、確認してみよう)

お読みいただききありがとうございます。


ブックマーク・誤字報告、いつもありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ