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オーダーメイド 〜魔道具の祖の研究日誌〜  作者: 中安・ユージーン・風真
第二章 Order:至宝を守る痣

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飛び入りは一件で十分 後編

飛び入り参加──聖女のディアナと、ルピ。

もう既にトラブルが起きているようにしか見えなかった。


「……どうかしたの、ルピ」


マエリスは覚悟を決めて、リフィから胃薬と水をもらって服用。そしてルピに話しかける。

ルピの後ろにはマノンが隠れていた。


「マエリス様ぁ! あの人、危険ですぅ!」

「分かった。分かったから来賓を指ささないで。ボクの胃に穴が空いちゃう。

 ボクが引き継ぐから、ルピは裏にヘルプをお願い」


キリキリとストレスを訴え始めたお腹を無視して、マエリスはルピを下げようとする。


「でもぉ、あの人本当に危ない『色』がするんですよぉ」

「……分かったから、本当に、お願い」


「色」、という表現を、時偶ルピはする。マエリスはその正体を聞いたことはないのだが、ルピ特有の感覚なのだろうと考えている。

そのルピが危険と断言する……聖女への警戒は必要か。


渋々とルピが下がり、マノンの盾はマエリスとなった。


「うちの使用人が無礼を働きました。申し訳ございません」

「え〜? 無礼なんてありましたか〜? 私は大丈夫ですよ〜☆」


マエリスが頭を下げ、ディアナは問題ないと笑う。


「それで……マノンに何か?」

「マノンちゃんとお話がしたいんですよ〜♪ こんなに可愛いんですも〜ん♡」

「あぁ、そう言えばさっきもボクとも話したいって言ってましたね」

「え?」


マエリスがそう言うと、ディアナは呆気に取られたような顔をする。そしてすぐにまた完璧な笑顔に戻った。


「そうでしたね〜、私嬉しいです〜♡」

(こいつ、養殖か)


時間にしてほんの一瞬だったが、マエリスはその反応に、ディアナの振る舞いは作られたものと見破った。

ルピが天然愛されキャラならば、ディアナは養殖愛されキャラ──あざといブリっ子だ。


本来ならば遠慮したい人種なのだが……狙いが分からない。相手は「聖女」、特別な理由なくして要望を断ることができない故に──目的を探らなければならない。


「──それでマノンの目の状態に気づいて──」

「さすがです〜☆」

「──『紅眼』は目の色素が──」

「へ〜、知らなかった〜☆」

「──『魔の森』の遺跡からの発掘品で──」

「すごいですね〜☆」

「──それを刺繍で再現して──」

「センスありますね〜☆」

「──だからマノンは今は──」

「そうなんですね〜☆」

(こいつ、この歳で『さしすせそ』を……?)


飽きさせないためにマノンのフィルターの話をしてみたが、想像以上にディアナはボロを出さない。

故に、あえて直球に聞いてみる。


「……マノンのおでこに何かあります?」

「──え〜? どうしたんですか急に〜?」

「ずっと気にしているように見えたので」

「そんなことないですよ〜☆」

「最近妙な模様が見えるようになったんですよね」

「っ!?」


玄関での反応と、マノンへの執着から考えたマエリスの嘘に、明らかにディアナは反応した。勢いよくマノンの顔を見たのだ。


「何か知ってますか?」

「い、いえ〜、私も分からないですね~。念のため見せてもらってもいいですか〜?」

「うーん、今言った通り、マノンの目隠しは目を守るためなんですよね。外さなくても分かるならいいですけど……」

「う〜ん……」


ディアナは悩む。その様子を見てマエリスは自分の予想が正しかったことを確信した。


「それじゃ──」

「おねえちゃ……」

「うん? どうしたのマノン」

「ねむ……」

「あーそっか。もうそんな時間か」


ディアナが何かを言おうとした時、マノンがあくびをした。


「申し訳ありませんディアナさん。マノンがもう疲れちゃったみたいで。お話はこれまででいいですか?」

「え、あ、あ〜、仕方ないですね〜☆」


マエリスは頭を下げ、マノンの手を引いて退室する。

程なくして、誕生日会はお開きとなった。




マエリスは気づかない。

再び、蹄の音が響く。

先ほどのディアナの馬車よりもさらに重厚な、腹に響くような音。


現れたのは、漆黒の馬車。そこに刻まれた紋章は、帝国の象徴である『剣を構えた獅子と三本の小麦』。

招いていない、けれど拒むことなど許されない、雲の上の来賓だった。

お読みいただききありがとうございます。


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