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トマト

作者: あまなす

夏にもらった水ようかんを

つぶしながらパンにぬっていく

秋に味わう

夏のなごり


猛烈に暑かったあの夏を

もうすでに思い出せない


庭では未だ薄青い朝顔が咲いていて

容易に季節を移ろわせてくれない


来年もきっと咲くだろう

その花たちは今年の花たちと違わぬようで

けれどそれぞれがちがう花


来年の夏も暑いだろうか

そう思う気持ちと

これから来る冬の寒さに備える気持ち


台所で待つ梨と葡萄の横で

やけに目立つ色をして柿がこちらをうかがっている


ふいにトマトを食べたくなる

そんなこと過去にはなかった


きゅうりとなすとトマトを買おうとして

けれど安かったきゅうりとなすだけを買い

トマトはあきらめた

そういったことがこの夏

幾度もあった

そのことがわたしに

トマトを求めさせるのか


トマトは切らなくっていい

マヨネーズをつけて食べたい

塩はいらない

できればヘタのまわりがすこし緑なのがいい

野菜くさくっていい

残っているあの緑に

野菜の青みを感じたい


いまは何かを感じたい

いまは何かを思いたい


今年の夏はよく勉強した

窓の外で秋の虫たちが

わたしを褒めてくれている

そう思うくらいいいだろう

夏の終わりが

わたしをさみしくさせているから









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