第10−1話
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レクスと老婆が建屋に入ると、その中は冒険者ギルドと似た造りだった。
右手にカウンターがあり、左手にクエストボードのような板が立っている。中央にもカウンターがあるのだが、その手前には冒険者ギルドとは異なり、螺旋階段が聳えていた。
かなりざわついていた冒険者ギルドとは異なり、建屋の中には人がほとんど居ない。
唯一見えたのは右手のカウンターの奥側に、青年が一人、本を片手に座っているだけだった。
青年は黒いコートを着た黒髪のショートヘアの男性で、非常に整った顔立ちだ。
鮮血のような真紅の瞳は右手にある本に向けられている。
「戻ったよ。おや、クロウだけかい。」
老婆のよく通る声に気が付いた青年は本から顔をあげ、老婆を見る。
「ん?師匠か。おかえり。チェリンなら今さっき愛花とミーナでランチに行った。イリアなら医務室だ。他の連中はみんな依頼だよ。俺はチェリンに頼まれて受付の代行だ。」
「ふぅん。そうかいそうかい。旦那のお前さん抜きでランチかい。」
「女子会だとさ。女性陣でしか話せないこともあるだろ。…で、師匠。その横に居るのは誰だ?」
老婆の横にいたレクスに、青年が気づき眼を向ける。
「登録希望者さね。」
その言葉に、青年もレクスも驚いた顔をする。
レクスはここが何処だということも全くわかっていないのだ。
「ちょ…婆さん!何も聞いてねぇよ!?」
「着いてから話せば言いと思っただけさね。どのみち行く当ては無いんだろ?」
「そりゃそうだけど…というかここが何処だかもわかんねぇよ…。」
「また師匠の悪い癖が出たか…。」
レクスの言葉を聞いた青年は、溜め息をつき、やれやれと左手を顔に当てた。
老婆は「それもそうだね」とレクスの方に向き直った。
「お前さん、名前は?」
「レクス。アルス村のレクスだ。」
「聞いてなかったのかよ師匠…。」
カウンターの向こうで青年が顔に手をあて難しそうな顔をする。
老婆は顎に手を当て、ふむと頷いた。
そしてレクスに顔を向けると、口元をくいっと上げた。
「じゃあレクス。お前さん…”傭兵”を知っているかい?」
「傭兵って…あれだろ?兵隊の代わりに戦争とかに出るって言う…まさか?」
レクスの顔が引き攣る。
「まあ最近は戦争なんざ無いがね。それに兵隊の代わりになんてこのアタシがさせないさね。」
老婆はニヤリと悪そうに笑いながら腕を組んだ。
その様子にレクスは目を見開く。
「ここは傭兵ギルドさね。アタシは傭兵ギルドのギルドマスター、ヴィオナ・ハウゼン。レクス。お前さんにゃ傭兵の素質がある。」
「は、はぁ!?いきなりそんなこと言われても訳わかんねぇよ!だいいち俺は…。」
「冒険者ギルドに入れなかった?関係ないさね。うちのギルドは冒険者になれなかろうが入れる。」
レクスの言いたいことを先取りしつつ、老婆改めヴィオナは不敵に笑う。
その奥で青年が「いやいや…」と呟いていた。
「そこに毎回師匠の審査が入るだろうが。師匠の審査だけで何人落ちてんだよ…。」
「うちのギルドの信条に合わん奴やロクデナシはこっちから願い下げさね。アタシの眼を納得させる奴がその資格があるのさ。」
青年はヴィオナに向かい、また溜め息をついた。
そうしてヴィオナはレクスに向き直る。
「で、どうするんだいレクス?お前さんが決めな。」
「お、俺は…。」
レクスは考える。
よくわからないまま連れてこられた傭兵ギルドに所属して良いものか。
何をするかも知らないまま入っても良いのか。
色々な考えがレクスの頭の中を駆け巡っていた。
「婆さん…いや、ヴィオナさん…で良いのか?」
「好きに呼びな。なんだいレクス?」
「俺は王立学園に入ろうと思って冒険者ギルドに行ったんだ。ここに入っても王立学園に通えるのか?」
レクスの目的。あの嫌われている3人と話し合うためにも学園へ通う必要があった。
するとヴィオナは少し考え込む素振りをする。
「なるほどねぇ。そういえばうちのギルドに入って王立学園に通った奴は居ないさね。…どうだったかいねクロウ?」
「そのへんはチェリンが詳しいはずだがな…。多分問題なさそうだぞ。冒険者ギルドと同じように身分証明としてうちのライセンスは使えるはずだ。」
カウンターの奥に座る青年改めクロウが厚めの本を取り出し、捲って確認していた。
クロウの言葉を聞き、レクスはヴィオナの眼を見る。
レクスの心はその言葉で既に決まっていた。
「俺は俺のやりたいことがあって王都の学園に通いたいんだ。それが出来るなら…傭兵にでも何でもなってやるよ。婆さん!」
自身を強い決意の眼で見るレクスの言葉に、ヴィオナは大きく笑った。
「ハッハッハッハァ!その意気だよ。じゃ…登録の為の試験をしようかね。」
試験という言葉にレクスはぽかんとした顔になる。
「聞いてねぇぞ婆さん!?」
「そりゃ言ってないからねぇ。」
慌てるレクスをよそににヴィオナはクロウの方を一瞥する。
「試験方法は簡単さ。そこのクロウと模擬戦をしてもらうだけさね。それで認められれば晴れてお前さんは傭兵だ。お前さんの力、たんと見せておくれよ?」
ヴィオナはクロウに親指を指しながらレクスを見てニヤリと笑う。
レクスはヴィオナが指し示したクロウを力強く見据えた。
「やってやろうじゃねぇか。そこのクロウとかいう奴を倒せば良いんだろ!?」
挑発するヴィオナと睨むレクスを見て、面倒くさそうな表情をしていたクロウだが、はぁと一呼吸置くとカウンターから立ち上がった。
そしてゆっくりとレクスの元へ歩み寄る。
「レクスって言ったな。俺はクロウ。クロウ・シラヌイだ。とりあえずレクスの力を見せてもらう。闘技場は地下にある。行くぞ。」
「ああ。ぜってぇ負けねぇ。」
クロウは隙のない歩みで螺旋階段へと向かう。
レクスもそれに続いて螺旋階段から下に降りた。
ヴィオナはそんなレクスとクロウを見て少し笑うと、二人に続いて下に降りる。
螺旋階段で下った先には大きな円形のスペースが広がっていた。
周囲は石の壁で囲まれており、地面は剥き出しの土で覆われていた。
レクスはその光景を、牛頭鬼と戦った場所と重ね合わせていた。
クロウはその円形のスペースにある壁の扉を開け、ゴソゴソと何かを取り出す。
クロウが取り出したものは大きな頭陀袋だ。
その中身をクロウは地面に投げ出す。
頭陀袋の中身は木製の刀剣類だった。
「ここからレクスの武器を選んでくれ。」
レクスは転がった木製の武器をよく観察する。
様々な形の刀剣類がある中で、レクスは自身の使っている剣に近いものが目についた。
「俺は…これにする。」
レクスは自身の剣に近い70cmほどの木剣を手に取る。
それを見たクロウはその中から二つ、武器を取った。
クロウが取った武器にレクスは驚いた顔を浮かべる。
(え…あんなもんで戦うのか?)
レクスが驚くのも無理は無かった。
その武器は刃渡り30センチも無いナイフ2本だったのだ。
驚くレクスをよそに、クロウは部屋の中央に立つ。
「よし。俺の準備は出来た。何処からでも来ると良い。…魔導拳銃は使っていいぞ。全力で来い。」
クロウに言われ、レクスは少しカチンときてしまった。
それは自身の実力が軽んじられているように思ったからであった。
魔導拳銃を使えば、すぐに戦闘なんて終わる。
レクスはそう考えていたのだ。
レクスはクロウを見据えたまま、左手に魔導拳銃と右手に木剣を握る。
「後悔しても知らねぇぞ!」
言葉と共に拳銃をクロウに向けるレクス。
そのままレクスは拳銃の引き金を引いた。
ドドドンと3発の光弾が飛び出し、クロウへと向かう。
クロウはふらりと動いた次の瞬間だった。
「なぁ!?」
レクスは驚く。
レクスの放った光弾は全てクロウに当たらなかった。
クロウはレクスの光弾を木剣で全て切り裂いていたのだ。
そのままクロウはレクスに向け走り出す。
レクスは銃をレクスに向け、素速く引き金を引く。
ドドドンと出た光弾はクロウが全て読み切り、全く当たらなかった。
クロウはレクスの拳銃の動きを見て、動きを読んでいたのだ。
その間に、レクスはクロウに近寄られてしまう。
そうしてクロウが”ヒュッ”と右手のナイフを振るうが、レクスはそれを逆手に構えた剣で受け止める。
「へぇ。」
クロウが関心した声をあげる。
レクスはナイフを受け止めたまま銃をあげ、クロウに突き当てようとする。
(銃が動かない…?ナイフで押さえられてんのか!?)
レクスの銃は、クロウの左手の木製ナイフで押さえられていた。
クロウは右手のナイフに力を込め、ジリジリとレクスが押されていく。
(なら…こうだよなぁ!)
レクスは右足を振り上げ、クロウに蹴りを入れようとする。
しかし、まるでそれを読んでいたかのようにクロウはナイフでトンと押してクロウ自身がレクスから距離を取った。
レクスは足を振り上げてしまい、バランスを崩しそうになる。
「ちぃっ!」
しかし、レクスはそのまま宙返りに移行して体勢を立て直し、そのまま魔導拳銃を発射する。
それをクロウは無言でナイフを振り、自身に当たる一発のみを切り裂き、レクスに向かう。
(嘘だろ!?この人とんでも無く強え!)
レクスは向かって来るクロウに対し、自身もクロウへ突撃する。
レクスは剣を振るい、クロウも同じタイミングでナイフを振るうと、”カァン”と高い木の音が鳴った
左手の銃をそのまま至近距離で放とうとするレクス。
しかし。
「ぐぅっ!?」
カチャンとレクスの銃が地面に落ちる。
クロウがレクスの銃を蹴り上げたのだ。
蹴り上げられた衝撃でレクスは後退する。
そのままクロウはレクスへと迫る。
(銃を拾いに行く暇はねぇ!なら…!)
レクスは向かって来るクロウに対し、即座に右手を引いた。
そのまま向かって来るクロウを見据える。
クロウがナイフを振るったその瞬間。
「せぇい!」
掛け声と共に、レクスは突きをクロウに放つ。
狙いは喉元だった。
レクス必殺の渾身の突き。
獲ったと思った。
しかしそれはクロウに当たることは無かった。
「!?」
レクスの突きがクロウの腕によって大きく逸らされていたのだ。
それと同事に、レクスの喉元スレスレにクロウの木製ナイフが当てられていた。
(嘘…だろ?俺の…負け?)
レクスは自身の負けを悟り、剣を落とした。
「そこまでだよ!」
ヴィオナの声に、クロウはナイフを下ろす。
レクスはその場にガクリと崩れ落ちた。
「ハ…ハハ…」
レクスはあまりのショックに乾いた笑いしか出てこなかった。
(ハハハ…本気で強えよ。明らかにシルフィ母さんよりも強え。俺が…何も出来なかった。)
レクスには悔しい思いすら出てこない。
完全な敗北だった。
項垂れた様子のレクスに、クロウは歩み寄り、ポンと肩に手を置く。
「…何だよ…。」
「レクス。合格だ。」
クロウの言葉に、レクスはハッと顔を上げた。
クロウは少し笑いながらレクスを見ている。
「な…何でだよ。俺は負けたんじゃ…。」
「お前さんじゃクロウには絶対に勝てんさね。なんたってアタシの一番弟子だしねぇ。それに、アタシゃ負けたら不合格なんて一言も言ってないさね。」
少々の戸惑いを見せるレクスに、ヴィオナが口を挟む。
ヴィオナの顔は少し得意げだった。
するとクロウがレクスに目線を合わせ、口を開く。
「レクス。お前の戦闘中の判断はほぼほぼ間違いない。少し荒削りだが、柔軟な切り替えや形にはまっていないからこそのセンスが垣間見えた。魔導拳銃もしっかりと扱えてる。俺も少し本気になってしまった。悪かったな。」
レクスに語るクロウの目は真剣そのものだ。
最後にクロウはハハハと苦笑していたが。
そんなクロウにレクスは眼を丸くしていた。
(この人、そんなとこまで見てたのかよ…戦闘中だったぞ…?)
レクスはクロウに感心していた。
クロウがそんなレクスにほれと手を差し伸べる。
クロウの手を握ると、レクスはクロウと共に立ち上がった。
「まぁ、クロウは傭兵ギルド一の稼ぎ頭さね。おそらくうちに所属している中では最も強いんじゃないかねぇ。」
ヴィオナはそう言って頷きながら、レクスとクロウの元へと歩み寄る。
「師匠。確かにあんたの見込んだとおりだ。レクスは強い。もう少しでも磨けばさらに強くなることは間違いないな。それに、あの動きはスキルに頼ってないことも明白だ。」
「だろうねぇ。スキルに頼らないのもうちのギルドの理想に近いさね。さて、それじゃ上に戻って手続きの続きをやったげな。」
ヴィオナはくるっと回れ右をして、螺旋階段の方へ歩き出す。
クロウはヴィオナが上がって行くのを見送ると、レクスに向き直った。
「俺たちも上がるか。もう少し傭兵ギルドについて説明させてもらう。」
「あ、ああ。その前に拳銃取ってこねぇと。」
まだ状況を飲み込めていないレクスが自身の魔導拳銃を取りに行こうと振り返った時。
レクスに向かってスッと拳銃が差し出された。
「こちらですねぇ。どうぞぉ。」
「ああ悪い…って誰だあんた!?」
レクスは拳銃を受け取るが、目の前に立っていた人物に驚く。
拳銃を差し出した人物はクロウでは無い。
その人物は黒髪のロングヘアをした若い男性だ。
目は細く、赤色の目は優しげな印象を与える。
しかし口元は嗤ったような印象を与え、何処か胡散臭い雰囲気を纏っていた。
身長はレクスより少し高く、頭にはシルクハットを被り、黒いタキシードをバッチリと着ている。
レクスに差し出した手には白い手袋を着用していた。
全体的に礼儀正しそうだがやはり胡散臭い雰囲気が拭えない。
そんな人物がレクスに拳銃を差し出していた。
クロウもレクスの隣で驚いた表情を浮かべていたが、すぐにはぁと溜め息をつき、その男性にジトッとした眼を向ける。
タキシードの男性はレクスに拳銃を渡すと、恭しくレクスに向けてお辞儀をした。
「レクスさん…と言いましたねぇ。ワタクシはそこのクロウさんのスキルでクロウさんに取り憑いている悪魔ぁ。ベルと申しますぅ。どうぞお見知り置きをぉ。」
レクスは「クロウのスキル」という言葉に反応し、クロウを見る。
クロウはベルを呆れた様子で見ていた。
「ああレクス。こいつは気にしなくていいぞ。」
「ああぁつれませんねぇ。ワタクシとクロウさんは二人三脚だというのにぃ。」
「うるせえ。さっさと戻れ。勝手に出てくんなよ。」
「はぁい。それではレクスさぁん。失礼しますねぇ。」
するとベルは一瞬でクロウの影に吸い込まれていった。
レクスはその光景を眼を丸くしながらただ見ていた。
「何だったんだ…?さっきの人は…?」
「…このあと説明する。とりあえず着いてきてくれ。」
レクスはベルから受け取った拳銃を自身のホルスターに仕舞い込む。
その後クロウはゆっくりと螺旋階段へ歩き出し、レクスはクロウに続いた。
トントンと階段を登ると、クロウはカウンターの裏に回り込み、最初にいた席に腰掛けた。
「こっちだ。」
クロウが自身の前の席を指し示し、レクスはそれに従い、席に着く。
クロウはカウンターの上に、何枚かの紙と鑑定水晶をゴトンと置いた。
鑑定水晶に苦手な意識があるレクスは少々顔を引きつらせる。
そんなレクスに、クロウは少し笑って首を振った。
「レクス。心配はいらない。鑑定水晶はあくまで何が出るか見るだけだ。何があってもうちのギルドに所属出来ないなんてことはない。師匠も認めてるし、俺との模擬戦も合格な事に変わりないさ。」
クロウの言葉にレクスはほっと肩を撫で下ろす。
クロウはレクスの前に用意していた紙を何枚か広げ始める。
「レクスは文字の読み書きは出来るか?」
「ん…ああ。難しいものじゃなけりゃ出来る。」
レクスはマオやレッドからある程度の文字の読み書きをリナやカレン、クオンと共に習っていた。
なので難しい言葉以外は大体読むことが出来、自身の名前などは書くことが出来るのだった。
クロウは並べた紙のうちの1枚を取り出し、紙の下の空欄を指す。
「じゃあここにサインを頼む。これはうちのギルドに所属しますっていうことが書いてある。これにサインをすることで正式にレクスは傭兵ギルドの一員だ。」
レクスはクロウから紙と一緒に渡された羽根ペンを手に取ると、クロウに示された箇所に「レクス」とサインを記入した。
サインが書かれた紙をクロウが回収し、確認の後うんと頷いた。
そうしてクロウはずいっとレクスの前に鑑定水晶を押し出す。
「じゃあここに手を乗せてくれ。大丈夫だ。何が出ても驚かないから。」
「あ…ああ。」
レクスはクロウの言葉を信じ、ゆっくりと水晶玉の上に手を乗せた。
やはり鑑定水晶の上には何も浮かんでこない。
クロウはそれを何か考えるように目を細めて見つめていた。
「なるほど。何も出てこない…。となると鑑定を弾くスキルの可能性があるな。なら…ちょっと待っててくれ。すぐ戻る。」
クロウは鑑定水晶を下げると、奥の部屋へ歩いていく。
レクスはそんなクロウの行動にほっとしていた。
レクスの中には、またスキルのない自身を否定されるのではないかという恐れが刺さり込んだままだったのだ。
するとすぐに別の水晶玉を持ったクロウがレクスの元へと帰ってくる。
「すまない。待たせたな。」
クロウはその水晶玉をレクスの前にあった台に乗せる。
見た目だけなら鑑定水晶と変わりない品だった。
「こいつは鑑定水晶じゃない。「魔力感知水晶」って言ってな。鑑定水晶の一昔前に使われてたもんだ。この水晶の上に手を乗せて、魔導具を使う時のように魔力を込めてみてくれ。」
レクスはクロウに言われるがまま、水晶の上に手を乗せ、魔導コンロを使う時のように魔力を込めた。
すると水晶が光り、水晶玉の中が大きく白いモヤモヤとした煙に覆われる。
「なるほど。レクスのスキルはわからないが魔力適正と魔力量はわかった。」
「え!?どうだったんだ!?」
レクスは興奮のあまり立ち上がってしまう。
クロウはその結果を紙に書き記し、レクスに手渡す。
その紙には「魔力適正:無 魔力量:極大」というように記述されていた。
(魔力適正が無いのは残念だけど…俺の魔力量はカレンくらいあるのか。)
結果を見たレクスの顔は、無意識にほころんでいた。
その表情を見たクロウも少し笑う。
「おそらく、レクスのスキルは鑑定を無効化する効果があると思う。それだけなのか他に効果があるのかはわからない。…多分、固有スキルだろうな。」
「固有スキル?」
ご拝読いただき、ありがとうございます。