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姦しき茶会


 レクスとカルティアのデートの翌日。


 その日、夜の帳が降りきって星の輝く時間帯に、明かりが照らす部屋の中に集まる、四人の見目麗しい女子たちの姿があった。


 部屋の中にはベッドが一つとシンプルな調度品の数々。


 四人は小さなテーブルを囲み、テーブルの上には湯気がふわりとたった紅茶が四つ、その中央には色とりどりのお菓子が並べられていた。


 そんな焼き菓子の一つを摘むように手に取ったのは、少しウェーブがかった薄紫色の長髪をした美少女だ。


 ぽいっと軽く口に放り込むと、満足そうに目元を下げて頬を緩ませる。


「んー!おいし。レインちゃんの作ったお菓子はいつも甘すぎなくて丁度いいんだよね。」


 お菓子のくずをつけたまま口元をほころばせたのは、紫色のネグリジェを着たマリエナだ。


 そのネグリジェからは下着に包まれた豊満すぎる巨大な双丘とくびれた腰つき、もっちりとしていながら下品でもない臀部が透けて見えている。


 男好きする身体を晒しているのは慣れた女子会ゆえだった。


「……マリエナかいちょー。食べすぎです。……太るですよ?」


 そんなマリエナを呆れたように、しかしどこか仕方なさそうにため息混じりで見つめるのは、パジャマ姿のレインだ。


 レインは水玉模様のパジャマを着ており、その身体のラインを隠している。


 ただマリエナの身体を見て、何処か羨ましいように視線をぶつけているのは気のせいではないだろう。


 レインも十分なほどに《《ある》》のだが、マリエナと比べるとどうしても見劣りしてしまうからだ。


「ちょっと!?レインちゃん!?……ふ、太らないよ……多分?」


「マリエナかいちょー……何個目だと思ってるです?カルティア様とアオイさんのお菓子がなくなってしまうです。」


「…マリエナは食べても太らないの?…胸にいってるから?…むぅ、ずるい。」


 焦るような声で視線を彷徨わせるマリエナに相変わらず呆れたような顔のままでティーポットを持つレイン。


 そして、そんなマリエナをジトッとした目で椅子に座りながら見つめ、口元をへの字に曲げているのはアオイだ。


 アオイは茶色に染められた浴衣に袖を通し、両手で優しくカップを持ってふぅふぅと紅茶を冷ましている。


 そんなアオイの胸元も同年代ではかなり豊満なのだが、マリエナやカルティアと比べると劣ってしまうことが少し不満げなようで、頬を僅かに膨らませていた。


「あ、アオイちゃん!?……そんなことはないと思うけど……?」


「…でも、レクスは大きい胸が好き。…うち、そんなに食べられないのに。…むぅぅ。」


「……仕方がありませんわよ、アオイさん。サキュバス族はそういった方々ですもの。……わたくしも、少し羨ましいと思いますわね。」


「…でも、カルティアもおっきい。…むぅ。」


 アオイにジトッとした目を向けられ苦笑しているのは、優雅にカップを摘み、紅茶を飲もうとしていたカルティアだ。


 カルティアもいつもの部屋着である白いネグリジェを着ており、こちらも男性から見れば垂涎の的になるであろう、下着を纏った身体が透けていた。


 その胸元はマリエナには一歩及ばないものの、その存在感は群を置き去りにするほどだろう。


 そのままカルティアは口を潤すように少しカップを傾けて紅茶を口に含む。


 この四人は定期的にカルティアの部屋に集まり、女子会をたびたび行なっていた。


 理由はハーレムの主体であるレクスについてお互いに話し合い、決め事をして、親睦を深めるのが主な目的でありカルティアを主体として始められたのだ。


 ただ、その実態はほぼただのお茶会と化しているのだが。


 白い喉がこくんと紅茶を嚥下し、カルティアは紅茶のカップを口から離してソーサーに置くと、ちろりとアオイを見やった。


「そういえば、アオイさんはどうでしたの?」


「…どうって、何が?」


 カルティアが口を開くと、アオイは何のことかわかっていないように、こてんと首をかしげた。


 その仕草が可愛らしく、ふふと小さく笑みを溢したカルティアは言葉を重ねる。


「レクスさんとのデート、ですわ。以前に軽く聞きましたけれど……まだ、仔細は聞いていませんもの。」


 カルティアの言葉に、マリエナとレインの視線がアオイに注がれる。


 アオイは照れたように視線を彷徨わせながら、頬を染めてこくんと頷いた。


「…うちはレクスと広場を回って、大道芸を見たりしてた。…すごく楽しかった。…ずっとレクスが手を引いてくれて、うち……嬉しかった。」


 デートのときの光景を思い出し、頬を染めてぽつりと語るアオイの表情は、照れているようだがどことなくはにかんでいるように口元が緩みきっている。


「レクスさんの姿が目に浮かぶようですわね。」


「レクス様はリードしてくれるです。あちしのときもそうだったです。」


 そんなアオイを微笑ましく見るカルティアとレインの反面、マリエナはたらりと冷や汗を流すように固まっていた。


 そんなマリエナに気が付いたのか、カルティアが不思議そうに目を向ける。


「……どうしましたの?マリエナさん。……まさか、レクスさんとのデートで何かありましたの?」


「あ、あのね……。すごく言いにくいんだけど……わたし……レクスくんから……「吸精」しちゃった。」


お読みいただき、ありがとうございます。

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