表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晴天のプレリュード〜幼馴染を勇者に奪われたので、追いかけて学園と傭兵ギルドに入ったら何故かハーレムを作ってしまいました〜   作者: 妖刃ー不知火
間章 かえるもの編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/228

荘厳な劇場

 劇場に足を踏み入れたレクスは、己が目を疑う程に劇場の中の光景に目を見開いた。


「……すげぇ。」


 その光景は、学園のホールに近い。


 だがそれに輪をかけるように豪奢な装飾が舞台全体を彩っていた。


 階段状になった座席の区画は変わらないが、学園のホールと比べてさらに多い。


 ステージも広く、大きな金の刺繍が施された赤幕や暗幕など、ところ狭しと意匠が施された舞台。


 そして天井には巨大なシャンデリアを模した魔導灯がきらびやかに輝いている。


 レクスが想像した以上に豪盛な空間がそこにはあった。


 そんなレクスの顔をマリエナがきょとんと覗き込む。


「もしかして……レクスくん、劇場って初めてなの?」


「……ああ。すげぇな。てっきり学園のホールみたいなとこだと思ってたけどよ。」


「似てるのは当然だよ。学園のホールは、この劇場を参考にして作られてるの。……カルティア様やアオイちゃんたちと一緒に来たことがあるんじゃないの?」


「……カティやアオイとは来たことねぇな。そもそもドレスコードなんて言葉、初めて聞いたしよ。」


 レクスはアオイはともかくとして、カルティアとも劇場に来たことはなかった。


 時間がなかったということもあるのだが、特にカルティアからも提案されず、レクスとともに傭兵ギルドや広場に行くことがほとんどだからだ。


 そんなレクスにマリエナはにへらと笑う。


「そーなんだ。じゃあ、わたしが「はじめて」なんだね。……レクスくんの「はじめて」……はわわ……」


 マリエナは何気なく言った「はじめて」という言葉に再び顔を真っ赤にし、レクスをちらちらと見ては悶えているようだった。


 レクスは一体何のことか分からず首を傾げる。


「おーい……マリエナ?」


「……はっ!?……い、いやなんでもないよ!だ、大丈夫……。」


「そ、そうか?」


 赤い顔のままでぶんぶんと慌てたように首を横に振るマリエナ。


 少し変だとは思いつつも、レクスは手元のチケットをちらりと確認すると、手近な座席の番号と見比べた。


 座席の番号を確認するためだ。


(10−17と18ってことは……真ん中の辺りか。)


 席を確認したレクスはマリエナに笑いかける。


「席は真ん中の方らしいからよ。行くか、マリエナ。」


「う、うん……。」


 レクスの顔を見て赤く照れたようなマリエナがコクリと頷くと、マリエナを連れ立って席へ向かう。


 腕に伝わる体温と女性の柔らかさ、特に二つの立派に実った山の包み込む感触にレクスは僅かにドギマギしつつ、マリエナとともに席の前に立つ。


 マリエナを先に丁寧に座らせると、レクスも自分の席にゆっくりともたれかかった。


 ほんのり染まった頬でマリエナがレクスを横目で見つめる中、座ったレクスの膝の上に、ちょこんとビッくんが座る。


「……レクスくん、手慣れてない?」


 何処か僅かに嫉妬しているようなマリエナに、レクスは「違ぇっての」と笑いながら首を振る。


「気のせいだ。……俺もこんなところ来たことねぇからよ。村の広場でやってた演劇を見たぐらいだ。地べたに座ってよ。」


 レクスはアルス村での演劇の光景を思い浮かべる。


 王都の広場よりずっと小さい広場で行われた演劇は、よく幼馴染や義妹と見に行っていたのだ。


 小さく微笑みを浮かべ、僅かに遠い目をするレクスにマリエナは何処か見惚れたように覗き込んだ。


「そ、そうなんだね。レクスくん、女性の扱いが上手いもん……。やっぱり、アオイちゃんのいうように女たらしなの?」


「……アオイからそう言われると否定できないんだけどよ……。てかいつ聞いたんだ?」


「昨日の女子会で聞いたよ?定期的にカルティアちゃんの部屋で開いてるの。」


「そ、そうなのかよ……。皆で何話してるんだ?」


「それは秘密だよ。レクスくんには教えられないの。」


 いたずらっぽく笑うマリエナの発言に、レクスは少し戸惑うように苦笑いを浮かべる。


 実際レクスのハーレムメンバーがカルティアの部屋にて行われる女子会は割と頻繁に行われており、その内容がほぼお茶会と化していることをレクスは知らないのだが。


 すると、レクスたちの隣に誰かが座る。


「おーここが劇場かー!」


「こ、声がおっきいよ……。もう少し静かに……。」


「ふ、二人とも。あ、足元に気をつけて……。」


 元気な女子の声に、気弱そうな女子の声、二人を心配する男性の声がレクスの耳に入る。


 何処かで聞いたことのあるような声だと思い、レクスは何気なくマリエナとは反対を向いた。


 そこには。


「……アラン、デートは今日だったのかよ。」


「え!?レクスくん!?なんでここにいるんだい?」


 少し呆れたようなレクスの声に目を見開いたのは、燕尾服をバッチリと着こなしたアランだった。


 アランの声に反応したのか、アランの奥の二人もレクスの方に目を向けた。


 カリーナとエミリーだ。


 二人とも華美なドレスを纏い、普段とは異なる姿を見せていた。


 カリーナは身体の線を出すような薄い黄色の少し短いマーメイドドレスを着用していた。


 もう一方のエミリーは髪を下ろし、炎のような紅色のイブニングドレス姿だ。


 カリーナはは燕尾服のレクスと、隣に座るドレス姿のマリエナを見て目を点にしていた。


 エミリーに至ってはたまたま友達にあったと言わんばかりにニコニコとした明るい笑みを向けている。


「レ……レクスがいる!?ま、マリエナ会長も……?え?え?二人ってそういう関係だったの……!?」


「あははー!二人ともこんにちはなのだー!」


 両者異なるカリーナとエミリーの反応に、レクスは何処か可笑しさを覚え、クスリと笑みが溢れた。


お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ