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「うう~~~~~ん。変な夢みた。。。」
和葉はベットから身体を起こし、背筋をのばしてあたりを見回してハッとした。
(夢じゃない!!!)
そこは、仕事に追われて片付ける暇もない1LDKの和葉のマンションではなく、何LDKかも想像もつかない広さの部屋に、豪華なヨーロッパ調の家具がおかれ、何より和葉がいるこの場所は、物語にでてくるお姫さまのような天蓋のあるふかふかなベットの上である。
「ひぇ~~~~~~~~っ」と身震いしながら、
(落ち着け。落ち着くのよ、私)
と、身体の震えを両手でしっかり押さえながら大きく深呼吸をして、昨日のこと整理しはじめた。
「仕事終わりに、はじめてみたカフェに立ち寄って素敵な店員さんに茶碗を選んでって言われて選んだら
茶碗が光だして、気づいたらカフェではない場所で。。。周りがゲームに出てくるような恰好をした人に囲まれていて、みんなが私のことをリキュウさまと呼んでいて喜んでいたと思いきや、王子がでてきて、千利休ではないと発覚したら態度が急変して、失礼言動の上しかもおじいさんを突き飛ばしたものだからキレて・・・」
(今思いだしても思いだしても腹がたってきたけど、冷静に冷静に)
「ふっー」とまた大きく深呼吸して
「それから、その王子のお姉さんがでてきてぴしっとその場をおさめたんだっけ。そのあとは、この部屋に案内されて、一息つきながらベットに転がってそのまま寝ちゃったんだった・・・」
(って、このお姫様みたいなネグリジェだれが着せたの~~!!??)と1人でアワアワしていると、
部屋のドアがコンコンとなった。
「和葉さま。お目覚めでしょうか??」
「はい。」
「失礼いたします。おはようございます。和葉さま。ご気分はいかがでしょうか?」
笑顔の彼女の顔をみて思い出した。昨日、部屋まで案内してくれた侍女さんだ。
「もしかして、着替えさせてくれましたか??」
「はい。お疲れのようでそのまま倒れこむようにお眠りになられたので、お着がえをお手伝いさせていただきました」
「あっ、ありがとうございます・・・」
(はずかし・・・ぃ)
「お風呂のご用意ができておりますのでお入り下さい。そのあと、イリスさまから朝食のお誘いの言伝を仰せつかっております。」
「わかりました。すぐに用意します。」
~バスルームにて~
「ひっろ」
ライオンの口から湯が注がれて、お風呂の横には彫刻が立ち並び、
まるで昔みた映画でみたローマのお風呂のようの荘厳さと広さに圧倒され、
裸で立ちすくんでいると、
「お身体を整えさせて頂きますね」と先ほどの侍女さんと数人の女性がずらっと後ろに並んでいる。
「えっ!?いえ!!!大丈夫です!一人でできますっ!!!!」と侍女さんたちと押し問答しながら
やっとのことでバスルームから追い出して、ゆっくりお風呂につかりながら
(はぁ~貴族ってすごい・・・)とため息をこぼしつつ、
「これからどうなるんだろ私・・・」と湯舟に身体をしずめた。
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侍女にイリスの部屋に案内され、今日も美しいイリスに見惚れてぽぉ~っと立ち尽くしている和葉にイリスが笑顔で声をかける。
「和葉さま、おはようございます。昨日はゆっくりお休みできましたか?」
「はっ、はい!おかげさまで、ありがとうございます。それと、こちらの素敵なお洋服もありがとうございます」
と、いいながらクローゼットの豪華なドレスたちを思い浮かべる。
圧倒されながら、一番シンプルなものを選んでみたのだ。
「とてもよくお似合いですよ」
そういうと、イリスが目くばせして部屋から侍女がすっとでていくと、イリスは突然和葉に頭を下げた。
「昨日は弟のシアンが大変失礼な事をしてしまい、申し訳ありませんでした」
「え!?そ、そんな頭をあげて下さい!」
「すぐにあの場であやまなければならなっかたもの、シアンの立場上、皆の前で頭を下げることが難しくすぐに謝れず本当にごめんなさい」
「いえ!本当もう大丈夫ですから!!」と慌てて手を振っていると
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~(お腹の音)
(そういえば、昨日の朝から何も食べていないんだっけ)
顔を真っ赤に赤らめる和葉をみながら、イリスはくすっと笑って
「お許し頂きありがとうございます。いろいろ尋ねたいこともおありでしょうし、私も和葉さまにお伺いしたいことがあります。まずは朝食を食べてから、お茶でものみながらゆっくりとお話しましょう」
そういって、イリスは部屋の呼び鈴をならした。