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茶会に参加している人々に何も入っていない器が配られ、人々はバルコニーの人影に気付く。


「あれは!!??」

「あの黒い生き物はなんだ!?」


人々が和葉とクロの存在に気づきはじめたと同時に和葉は深く深呼吸し、胸に手をあて異世界にきてからのシアンとの日々を思い出す。


(最初の出会いは最悪だったけど・・・私はシアン王子が好きなんだ)


和葉のシアンの思いがあふれるとともに、あたたたかい金色の光があふれだし、あたりが金色の光の粉が降り注ぎ、その光の中をクロが天にむかって走り出す。


「リキュウさまと、クロさまだ・・・」

「なんと神々しい・・・」


人々がその光景に静まり返り、バルコニーをみつめている。


和葉は「ふっー」と一息ついて、姿勢を正すと道具を清め、抹茶を茶碗に丁寧に淹れる。そして、それを合図にクロが空を舞うように翔けると、天から金色に光る聖なる水(湯)が降り注いだ。


シャカシャカシャカシャカ。


静まりかえる中、凛とした茶筅の音が小さく響く。


(大切な人とのこの瞬間ときを、今を大切に・・・)


和葉が無心になると同時に和葉の点てる茶から一本の光が天に向かって立ち上がり、その光が星が降り注ぐかのように、人々の茶碗にふりそそぐ。


人々があっ気にとられ、器をおそるおそる覗き込むと、金色の光に包まれ、春の木々のような柔らかな薄黄緑色をした茶がそこにはあった。


震える手で人々は茶碗を持つと、あたたかい優しい光とほっと心がやすらぐ香りが鼻をぬけ、自然と顔がほころんでいく。


「さぁ、皆の者。どうか遠慮せずにリキュウさまのお茶を頂いてほしい」との王の声に、清き神の飲み物のようなお茶を飲めずにいた人々も、一口、また一口と口にする。


「おいしい・・・」

「こんな気持ちになるのはいつぶりだろう」

「なんと清らかな気分だ」


人々が笑顔で茶を楽しむと同時に、人々の中にいた紫の薄いもやのかかった人々のもやも消え、眉間にしわがよっていたり、イライラしていた者たちも穏やかな顔になっている。


その中である親子がこんな会話をしている。


「ルアン、桃の菓子は食べないのかい?」小さな男の子の母親が、子供の皿にのこった桃の饅頭を不思議そうにみている。


「母さん、これじぃちゃんに持って帰ってもいいかな?こんな美味しいもの産まれてはじめて食べたから、じぃちゃんにも食べさせてあげたいんだ」と桃の饅頭を嬉しそうに眺めながら母に話すルアンの背後から、「だめよ」と声がきこえる。


「え!?」と驚いて、親子が振り向くとそこに、イリスとリシェルが立っていた。


「イリス姫さま!?ど、どうしてダメなんですか?」とルアンは泣きそうな顔でイリスをながめている。


「それは、ここで食べなきゃだめよ」


「でも、病気で今日これなかったじぃちゃんに食べさせてあげたくて・・・」


「もちろん、おじいさまも一緒に」とイリスがにこっと微笑むと、


「ルアーン」と老人の声がきこえる。


「え!?じいちゃん!?」ルアンが驚きの声をあげると、母親もびっくりして老人にかけよる。


「お父さん、どうやってここに??身体は!?」


「ほれ!この通りピンピンしとるわい」と老人は嬉しそうに身体を動かす。


「じぃちゃん!?どうして」


「王さまがリキュウさまのお茶を飲めるようにと、今日王宮にこれなかったわしのような病の者達にも使いの者を出してくれてのう。その方と一緒にほれ、突然器にあらわれたピカピカに光った茶を飲んだら、ほれこのとおり!!!」


「じぃちやん!!!」ルアンが嬉しそうに老人に抱きつく。


「それにな王宮ではそれはみたことのないうまい菓子も食べれるというのでな、いてもたってもいられずこうして連れてきてもらったのじゃ」と老人が笑っている。


「イリス姫さま、なんてお礼をいったらよいのか」と母親が涙ぐんでいる。


「私はなにも。お礼はリキュウさまとクロさまに」とイリスがバルコニーにむかって礼をすると、家族は膝をついて手を合わせる。


「さぁ、菓子はまだまだありますよ!いっぱい召し上がってくださいね!」


「うん!」とルアンがとびきりの笑顔で返事をする。


「これで、ルアンに漁の仕方を教えてやれるぞ!」と嬉しそうな老人にルアンが笑顔を少し曇らせ、

「でも、じぃちゃん。黒い霧のせいで船はだせないんじゃ・・・」といいかけたところで、一人の騎士が息も絶え絶えに走りこんできた叫んだ。


「至急、ご報告申し上げます。黒い霧が、我が国を覆っていた黒い霧が跡形もなくなっています!!!」


おぁぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!


人々は抱き合い、喜びあい、茶会は最高に盛り上がり、歓喜の中お開きとなりました。



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