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それから和葉、イリス、シアンの三人はそれぞれ大茶会までの準備におわれた。
イリスはお茶会の案内の手配や会場の配置や設営、その案内状をリシェルが魔法を使って招待客に届けている。シアンは王宮で選ばれた菓子職人達と和菓子の試作にと毎日忙しそうにしている。
和葉はというと、茶を素早く淹れる練習がうまくいかず、少し疲れた様子でクロとお茶を飲んでいる。
「クローどう考えても一人で国中の人にお茶を淹れるなんて無理なのような気がするんだけど、利休さんはどうやってその、昔大勢の人にお茶を一度に点てたの?」
「ん?リキュウのおやじはいつも通り茶を淹れとったぞ」
「でも、それでは日が暮れるどころか夜が明けちゃうよ」
「そういえば、あの時いつもの茶を淹れる様子と何か違ったような」
「なにかって・・・」とカズハが言いかけると、庵にシアンがやってきた。
「師匠!あっ、カズハもここにいたんだ!ちょうどよかった。大茶会にだす菓子の感想を聞きたくて」といって、シアンがせいろのようなものを取り出した。
「わぁーかわいい!」
ふたをあけると、少し湯気がたちあがり桃のカタチをしたふっくらとした菓子が並んでいる。
「これは、桃のお饅頭?」
「そうなんだ。師匠から、桃には魔除けの効果があるときいて作ってみたんだ」
「どれ、さっそくいただこうか」ほんのりとあたたかい桃の饅頭をクロが手に取る。
「カズハもどうぞ」とシアンが桃の饅頭を手渡してくれると、手がふれてドキッとするカズハ。
「うまいぞ、シアン!」パクパクとかぶりつくクロ。
和葉も恥ずかしさで顔を赤くしながら一口食べて、「おいしい!」と目を輝かす。
その様子をいとおしそうにみつめるシアン。
「カズハは、本当に幸せそうな顔でたべるね」
「だって、本当においしいんだもん、こんなの作れるなんてシアンは本当にすごいね。この中のあんこの甘さも大好き」とシアンの顔をみると、シアンが真っ赤になっている。
(え、その顔反則なんですけど)と和葉もつられて顔が真っ赤になる。
「ありがとう」とシアンが照れながら笑う。
「あっ、あのお茶淹れてきますね」
その様子をニヤニヤしながらみつめるクロ。
(平常心、平常心よ)と心を落ち着かせながらお茶の準備をする和葉。
シャカシャカシャカシャカ。
シアンにおいしいお茶を飲んでもらいたいとシアンの顔を思い浮かべながらお茶を点てていると、いつもの小さな金色のキラキラした光があたり一面を照らすように輝きだした。
「え?」と和葉も異変に気付く。シアンも驚いて私をみている。
「これは、一体?」




