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「はやく鑑定魔法を」
「はっ!」
エメラルドの瞳の男性の後ろにいた男性が急いで和葉の前に手をかざすと、ゲームでよくみるステータスウインドが和葉の前に浮き上がった。
「え?なにこれ?すごい」
突然のステータスウインドに驚く和葉をよそに、三人が固まる。
「スキルなし・・・」エメラルドの男性がつぶやいた。
後ろの二人のおつきの男性も顔をこわばらせている。
「異世界からリキュウ様ではなく、こんななんの役に立たない女を連れてくるとわ!時間の無駄であった。もどるぞ。」
「はっ!」
「お、お待ちください!シアン王子!リシェル様が覚めるまでしばお待ちください!」と
先ほどの魔法使い風のおじいさんが王子の前にでると
「どけ!」と、老人をつきとばし去ろうとする王子をみて、和葉が立ち上がる。
「あんた、さっきからえらそうに何様!?お年寄りはいたわるように教えてもらわなかったワケ??
あんたみたいなのが王様になったら、この国の人はほんと苦労するわね!」
「なんだと?」王子が足をとめてふりかえった。
「もう一度、いってみろ」
「何度でも言ってあげる!お年寄りは大事にしなさい!あんたみたいなのが王様になったら、この国の人は苦労するわ!」
「・・・・・」王子が、下を向いてだまっているかわりに側近達が
「不敬だ!」「王子に向かって、なんたる態度!」など騒いでいる。
王子が何か言いかけたその瞬間、ドアがひらいて王子以外のものがひざまづく。
「シアン、これはいったい何事ですか?」
「姉上・・・」
シアン王子と同じブロンズの長い髪にエメラルド色の瞳の美しい女性が尋ねた。
「リシェルが異世界から救世主リキュウさまをお招きすることに成功したと先ほど報告を受けましたので、リキュウ様にご挨拶させていただこうと参りましたが・・・」
「姉上も無駄あしでしたね。リシェルが間違えて、このスキルなし女を異世界から連れてきたようですよ」
シアン王子が姉上と呼ぶ女性がをじっと和葉をみつめている。
「では、姉上。私は、忙しいので失礼します」
王子が側近達と足早に部屋を出ていくと、先ほどの魔法使い風の老人が彼女にぼそぼそと耳打ちしている。
(きれいな人・・・)と和葉が見惚れていると、
「じいやを助けてくれたそうですね。ありがとうございました。私はイリスと申します。お名前は??」
「大谷・・・カズハ オオタニです」
「和葉様、突然のことでお疲れのことでしょう。お部屋を用意いたしますので、今日のところはゆっくりとお休みください」
「あっ、あの、元の世界には帰して頂けるのでしょうか?」
イリスはじいやとよばれる魔法使いの方が小さく横に首を振るのををちらっとみてから、
「ごめんなさい。私どもとではなんとも・・・リシェルが目覚めるまで少しお時間いただけますか?」
「はい・・・」
こうして、和葉の激動の異世界が1日目が終わりをつげた。