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~現在~


「ひどい・・・」和葉は眉をひそめた。


「だから、その時理想の後継者になると決めた。そう決めてから、なぜか精霊達の姿がみえなくなり、今日までお師匠さまのことも忘れてしまっていた」


「それは、きっと邪気がうまれたからだろう」


「邪気?」


「そう、憎しみや嫉みを好む魔だ。お前は長い間、そやつらに憑りつかれていたのだろう」


「まさか・・・この国を覆っている黒い霧と関係あるのですか?」


「なんともいえぬが、邪気は誰の心にも生まれる。だから、気に病むな、お前は小さいのによくがんばった」そういって、クロはシアンの頭をポンポンとなでた。


「お師匠さま・・・うっ」


シアンは、今までずっと泣くのをがまんしていた分の涙を流した。


和葉は、その様子にもらい泣きしながらそっと入口から出て、リシェルにうまくいったよのサインを送って、シアンが落ち着くまでリシェルと今までの出来事を話すことにした。


しばらくして和葉とリシェルがが庵に戻ると、クロとシアンが楽しそうに話しをしている。


「久々にたべた三食団子はどうだった?」


「美味しかったです。お師匠様のお菓子は世界一だ。あの頃、菓子を作っているときは本当に楽しかった」


和葉は、シアン王子の顔に顔近づけて話した。


「あのシアン王子!お菓子を作れるのですよね?」


「いや、その小さい頃にお師匠さまに少し教えてもらっただけだがら、作れるとまではいかないが・・・」


「実は、イリスさまが大茶会にむけて、お菓子を作れる方を探しておられるのです」


「大茶会?」


リシェルが今朝の王の部屋での出来事をシアンに説明する。


「なるほど、それで姉上は菓子を作れるものを探しておられるのだな」


和葉がニコニコとシアンの顔をみている。


「え?そのお役目、私が?いや、それは無理ですよ。まして姉上とは・・・」


「シアン王子。先ほど和葉さまより王子の幼き頃の話をお伺いしましたが、王妃様の葬儀の日より変わられたのは、シアン様だけではありません。あの日より、イリス様も一般の姫君が学ぶ事以外は学ばなくなり、お部屋にこもられるようになりました」


「そういえば、あんなにおてんばだった姉上がいつのまにか外で遊ばなくなられていたような」


「そうなのです。あの心無い声をきいたのは、シアン様だけではありません。イリス様もまた心を痛められ、自分のせいでシアン様が悪く言われているとお思いになり、姫らしく過ごされるようになったのです」


「そうだったのか。姉上が・・・」


「シアン王子。先ほどイリス様に謝らなければとおしゃっていたではありませんか?私も良い案があるのです。手作りの和菓子とともに、お茶会をされるのはどうですか?」と和葉が興奮気味にシアンに提案する。


「お茶会?ですか?」とシアンが今一つ理解ができないように考えこんでいる。


「和葉、良い案だな。姫さん、お茶好きだしな」とクロが乗り気なのようで、しっぽをふっている。


「姉上は許して下さるだろうか?」


「イリス様はいつもあなた様の事を気にかけていらしゃいましたよ」とリシェルが微笑む。


「そうよ!イリス姫と仲直りして、和菓子の腕も確かめてもらえれば一石二鳥じゃない?」


「イッセキニチョウ?」


「そう!一度で二回目的を達成できるってこと」


「プハッ」シアンが笑い出した。


はじめて、笑ったシアンの笑顔をみて、ちょっと頬を赤める和葉。

(ツンしてたイケメンの笑顔の破壊力は半端ない・・)


「和葉さまはおもしろいですね」


「今更、居心地悪いのでカズハでいいですよ」と和葉が照れながら答える。


「では、カズハ」とシアンが微笑む。


「そのイッセキニチョウ作戦で姉上に許しをこい、認めてもらえるようお師匠さま、また菓子の指南役をお願いしたいのですが」


「もちろんだ!」クロが嬉しそうに尻尾をふる。


そうして、シアン王子の和菓子づくりの日々がはじまった。

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