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涙を流したシアンに声をかけようとすると、クロがシアンの目の前にたった。
「思い出したか、泣き虫坊主」
「お師匠さま」
「おししょうさま!?」
和葉は、驚きながら二人を交互にみた。
シアンは残りの茶を飲みほすと、どこか毒気が抜けたようにすっきりとした顔している。
そして、突然和葉の方をむき、頭をさげた。
「和葉さま、おいしいお茶をありがとうございました。そして、これまでの無礼をお許し下さい」
「な、頭をあげて下さい!私はもう怒っていません。イリス様や国王陛下までもが謝って下さいましたし・・・」
「姉上や父上が・・・」
「それに謝るならあのおじいさい魔法使いに謝って下さい」と和葉がピシッという。
「そうだな。じいやにもひどいことをしてしまった。それに姉上にも長い間、ひどい態度をとってしまってなんて詫びたらよいのだろう」
横柄な態度だったシアンの素直な様子をみて、戸惑いながら和葉は尋ねる。
「あの、いったいどういうことなんですか??シアン王子とクロは知り合いなのですか?」
「あれは坊主がまだ小さい頃、庭で精霊と遊んでおってここに迷い込んできたんじゃ」
「でも、ここは封印されていたはずじゃ?それに人には精霊がみえなくなっていたのでは・・・?」
「封印されても精霊達は外の世界と自由に行き来しとたから、精霊と一緒にここに迷い込んできたのじゃ。無垢な心もつ子供にはまれに精霊がみえる者もいたようでな」
「なるほど」
「坊主は来たは良いが帰り道が分からなくなってか、ワンワン泣いて泣き止まんから我が団子をだしてやったんだ。最初は不思議そうに眺めておったが、菓子だとつげるとそれは嬉しそうにほおばりよって」
「それから毎日ここにきては、団子を食べて、庭で精霊達と遊んでおったよ」
「あの茶碗は?」
「あれは、ある日一緒に団子を食べながら、リキュウのおやじや茶の話をしておったんだ。この団子には茶があうぞなんていってな。あぁー茶が飲みたいって話してたんだ。そしたら、坊主は『僕がリキュウさまのようなお茶を淹れる人を探すよ。それで、僕は和菓子をつくる人になるんだ!そして、おっししょうさまに毎日おいしいお茶の時間をプレゼントするよ』って笑顔で言うもんだから、うれしくてな。いつか一緒に茶を飲む日の為に坊主用の茶碗を作ってやったんだ。坊主は喜んでな、嬉しそうに器に我の絵を描いていたよ」
(それが、この茶碗かー)と可愛いきつねのようなクロの茶碗を微笑ましくみつめる和葉。
「それからは、ここにくると和菓子づくりを教えてやったんだ。それがある日をさかいにピッタリとここに現れなくなってな・・・」
クロは寂しそうな目で、話おえてシアンをみる。
そして、シアンは話はじめた。その日起こった出来事を。




