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~リキュウの庭~
「ここは・・・」
風が吹き、桜が舞い散る姿にみとれるシアン。
「シアン王子。こちらへ」リシェルが庵へとシアンを案内する。
「私はこちらで待機しておりますので、シアン王子は中へお入りくださいませ」
「あぁ」
(イリス姫は、庵のにじり口に驚いていたけれど、王子は普通に入ってたな・・・?)と和葉がみていると、クロが「はやく茶の準備をしろ」と和葉をせかす。
あわてて、庵の中に入ろうとする和葉に、
リシェルが「和葉さま、クロさまよろしくお願いします」と一礼する。
庵の中に入ると、シアンはキョロキョロしながら中をみている。
(以前、どこかでみたような・・・そんなはずはないか)とシアンは首をふって、腰をおろした。
「こちらで少々お待ちください。お茶のご準備をしてまいります」シアンを残して、和葉は奥の部屋に入ると、小声でクロに話かける。
「クロどうするの?」
「我に良い作戦がある」
「良い作戦??」
「和葉は茶を淹れることに集中してくれればよい」
「わかった」
「器はそうだな。これにしてくれ」
「これ??」
「そう。この器だ。」
クロがある器をみながら、微笑んでいる。
「わかったわ?じゃぁ、私はお茶の準備をするね」
「あぁ」と返事して、クロは尻尾をふっている。
(大丈夫かな??この器で・・・)と、クロから渡された茶碗を見つめながら、和葉はシアンの待つ部屋のふすまをあけた。
~庵茶の間~
(クロに何か考えがあるようだし、今はお茶を淹れることに集中っと・・・)
和葉は深呼吸をし、茶を淹れ始めた。
ふわりと茶の香りが、漂う。
(なんて癒される香りだろう・・・さわやかでそして、心地がよい・・・)
「この香りどこかで・・・」
と、シアンがつぶやくと、クロはシアンの前にお皿にのった和菓子をおいた。
突然、あらわれた和菓子に驚きつつ、その和菓子を真剣な顔でみつめるシアン。
お皿にはピンク、白、グリーンの三食の花見団子がちょこんとのっている。
「シアン様、どうぞお召し上がりください。こちらが、私の国のお菓子でございます。団子といって、この櫛の部分をもって一つづつお食べ下さい」と和葉が和菓子の説明をすると、
「だんご・・・」シアンはそうつぶやくとまるで小さな子供のように和菓子にかぶりつき、あっという間にたいらげ、黙ってうつむいている。
(お腹すいてたのかな?)と和葉はその様子をみながら、シアンの前に茶をおいた。
「シアン王子、こちらが私の国のお茶です。どうぞ、お召し上がり下さい」
なにやら小さい子供が描いたようなきつねの柄の器をみつめる王子。
「・・・」
「シアン王子??」
シアンはそのまま黙って一口、お茶を飲むとシアン王子を覆っていた薄い黒いもやのようなものも消え、王子は茶碗をみつめながら、一筋の涙を流した。
「え?王子?」




