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悪役令嬢RPG  作者: 茶柱
プロローグ
3/10

第三話 状況整理

(スターチスさん!今俺に近づいちゃダメだ!)

「どうかされました?」


 スターチスが目線の向きを変える。


「あら……あのティーカップが割れてる……」

(まずい……)


 今スターチスが近づくのはまずい。さっきの能力がまた作動したらスターチスさんもドットの姿になり敵キャラになってしまう。もし敵キャラになってしまったら最悪スターチスさんが死ぬ! さっきの戦闘システムは確実にドラコミッションの戦闘システムと同じだった。ずっとやり込んだ俺だからわかる。字幕のフォントもBGMも同じだったから本当だ。


 ドラコミッションには戦闘中に一つルールがある。

 一度戦闘が始まると敵キャラのHPを1/4まで削らないと「にげる」が使えないというルールだ。これは公式がすぐ「にげる」をするプレイヤーに対して対策したルールだ。だがこのルールはすぐさま炎上しネットでは悪手だと批判された。それもそのはず、ゲームの中盤だと雑魚キャラよりもより強い敵に戦おうとするため雑魚キャラのエンカウントが鬱陶しくなるのだ。だからみんなすぐに逃走できないのにイライラする。それが炎上の理由だ。まあアイテムを使えばすぐ逃げられるんだけどね。


 問題は今この状態だ。もしスターチスさんと戦闘になればHPを1/4まで削らないと「にげる」を押せなくなる。そしたらきっと本体の方も大怪我になるはずだ。

 

「だっ大丈夫ですよ、落としただけなんで!」

「すぐに拾わないと……」

「ああ!大丈夫来ないでください!」

「?」


 もう発動条件は理解した。RPGシステム発動中に触ったものと強制バトルをさせられる。現実の強さがバトル内の強さに関わるかはわからないがだとしても戦うメイドじゃない限りHPも少ないだろう。


(スターチスさんが部屋を出ないとスキルの解除ができない……なんとか外に出さないと……)

「このゴミは俺……私が片付けるのでスターチスさんはゴミ箱を持ってきてください」

「ゴミ……。はいわかりました。すぐに袋を持ってきます」

(よかったぁ〜。これで解除ができる……)

「! お嬢様手が!」


 スターチスの言葉に驚き手のひらを見る。ティーカップの破片が手に刺さり血が流れていた。


(割れた時に刺さったのか!?)

「すぐに破片を抜いて水に浸けなければ!」

(まっまずい!)


 スターチスが高速で俺の手のひらを触れようとした。

俺はその手をギリギリでかわしてスターチスさんに命令する。


「自分でしますからあっち行っててください!」

「……」

「すぐに水を持ってきます……」


 そういうとスターチスさんは部屋を出て行ってしまった。そしてなんとかRPGシステムは解除でき、怪我の治療もできた。回復魔法を間近で見ることができてテンションが上がってしまったがその逆でスターチスさんは終始無言だった。


 さすがに強く言い過ぎてしまったかな?今度謝ろう。

と医務室で考えていると看護師さんが誰かと話し始めた。


「このくらいの怪我大したことないぞい」

「ああ立たないで下さい、怪我は完璧に治って……」

「フォッフォッ大丈夫じゃよスーナさんこのぐらい門番ならどうってことは……」


ボキッボキバキッボキンッ


 エグいほどの骨折の音がするとおじいさんはバッタリと倒れてしまった。この人はこの屋敷の門番兼警備員兼雑用のトレディさん。かなりのご高齢だがこれでも門番の仕事をキチンとしているらしい。治療を受けている理由は屋根に逃げた迷い猫を降ろそうとして屋根から落ちたとのこと。

 かなり丈夫なおじいさんだがさすがに心配で声をかけてみた。


「フォッフォッまさかクロエお嬢様がワシなんかを心配してくれるとはまだ世も捨てたものじゃないですな……」


「あはは……」


「おっと、今の言葉訂正させてくれますかな?もうゲンコツをくらうのはごめんですじゃ」


 クロエさんはどれだけバイオレンスな人だったのだろうか?今のところ嫌なイメージしか湧かないんだが。


「もう!勝手に動くから骨が折れるんですよ。はい牛乳飲んで!」


 看護師のスーナさんはそう言うと牛乳が入った瓶をトレディさんの口にぶっ刺す、そして呪文を唱えた。


「サキュレートヌート!」

「ギィヤァァァァ」


 魔力が溢れだしているのだろうか、ものすごい迫力を感じる。トレディさんの体が痙攣(けいれん)を始めて暴れている。魔法が終わるとトレディさんから白い煙が立っていた。


「なんですか今の!」


 魔法にまた興奮してしまった俺はスーナさんに問いただしていた。


「いっ今のは身体中のカルシウムを直接骨に送るっていう魔法でこれを使うと一瞬で骨折が治るんです。」

「へぇー凄いですね!」

「前は馬鹿にしてたくせに……」

「え?」

「あっいやなんでもないです!ホントにホントです!」

「そそうですか……」


他の警備員達にも挨拶をしてみたがどの人からも親しい反応は返ってはこない。

 異世界(こっち)に来てから色んな人達と話をしたがスターチスさん以外皆んな俺に驚いてる気がする。

ここから推測するに……まあ誰でもわかると思うけどこのクロエ・クレイさんは嫌われてるのではないだろうか? 多分本人の性格のせいだろう。きっと急に優しくなったクロエさんに困惑してるんだな。

 おそらく仲の良かったであろうスターチスさんもある程度の罵倒とかはされていたのではないか?


(まあ性格のおかげで男性に好かれてはいないのが唯一の救いかな……)


 窓から庭を見る。すると門の前に馬車が止まってるのが見えた。なんで馬車? 誰か来たのか? じっと見ていると1人の男がトレディさんと話している。そして窓から見ている俺に気づいた。


「クロエさーん!! 花束を持ってきましたー!!」

「うるせー!」


 男の声が部屋中に響き渡る。あまりの大声に頭が痛くなってきた。窓を閉めてるはずなのになんでここまで聞こえるんだよ!


「一体誰なんだ?」


 門を無理矢理突破してきたのでその姿が見える。その姿に俺は圧巻した。その人は青髪で高身長、そしてイケメンだったのだ。髪型まで俺がなりたい姿と同じだった。


「いいな……。あの人」


 



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