勇者たちの試練 序説
そのあともう1試合行われ、キングオブnew拳の1日目が終了した。
結果は、ミラクルナイトvsライトニングで、ライトニングの勝利。
「今日はすごかったですね!進さん!隕石をどうやって消したんですか?」
パルが進に聞いた。
「あー、あれね!驚くなよ?!あれはなー!自分でパンチしたら消えたんだよ!」
ニコニコしながら答える進。
「すっげー!!やっぱ進さんが一番ですね!」
「あったりめぇよー!!」
「あんな隕石我でも消せたわ!いばるな!」
とファスが進に言う。
「あん?やんのか?やんのか?」
「やってやるよ!この前はたまたま負けただけだ。調子に乗るなよ進!」
バチバチバチ!!
「お、落ち着いてください!二人とも!今から帰るんでしょう?気持ちよく帰りましょうよ!」
「じゃあ誰が一番早く帰れるか競争な」
と進が提案する。
「ああそうしよう」
それに賛同するファス。
「僕はやめておきます.....」
お互い本気モードに入り、走る用意をしてる。
「スタートの合図はパルがやって!」
進が言う。
「分かりました。よーいスタート」
ビュンッッ!!!!
あっという間に二人は見えなくなった。
流石だなぁ....僕もあの二人といつか並べるようになりたいな。
そんなことを思うパルだった。
ここは神殿のトレーニングセンター
そこで勇者一行はある人に指南を受けていた。
「せいやぁ!!」
キン!
「ふっ!」
バコッ!
「ぐはっ!?」
「まだまだ鍛錬が足りませんぞ勇者殿」
「ご指導ありがとうございました!!」
剣崎が深々と頭を下げる。
「剣崎君が手も足も出ないなんて.....あの人何者なの?」
剣崎を取り巻く女子たちがひそひそと話し出す。
「ほらそこ!次はあんたたちだよ!魔法教えてあげるからこっち来な!」
「「「すみませーん!」」」
急いで走っていく女子たち。
「今日はよろしくお願いします!相沢です!」
女子のうちの一人があいさつする。
「あぁ、よろしくー。一応国家魔術師やってるナインよ。君たちみたいなガキ!に教えるのは非常に面倒だけど、やるしかないから仕方なくやってるの。ついてこれる?」
「「「はい!!」」」
「私の弟子になる?」
「「「いいえ!!」」」
「やーめたっ!!誰がこんな仕事好き好んでやんねん!!ガキのお世話は勘弁じゃ!」
「待ってください!弟子になりますからー!」
「嘘だよ!冗談が通じないねぇー!以前出会った男の子はノリがよすぎて引いてしまったけど!」
「「「びっくりしたー-!」」」
安堵したように相沢たちは息ついた。
「じゃあまずは基本から。人間にはそれぞれ得意な魔法と不得意な魔法が存在するだろ?でも実はそれは偶然じゃなくて、体の構造に秘密があるんだ。だから君たちにはそれを理解してもらって、より幅広く魔法を使えるようになってほしい」
淡々と話し始めるナイン。
「属性は色んなものがあって、例えば炎」
ブワッ!
ナインが手から炎を出した。
「すごい!何も言わずに出た!」
「これぐらいすぐできるよ。それでこの炎がどういう原理でここに生まれるか知ってるかい?」
ナインは女子たちに問いかけるが、誰一人わかるものはいないようだ。
「正解は体の中に溜まっている『魔気』と呼ばれる気から体へと伝っていって炎が生まれる。まぁこの『魔気』の使い道は他にもあるが....それは今覚えることじゃぁない」
「そもそも『気』って何ですか?」
「そんなの名付けた奴に聞け!色々使える便利なものだ!」
「「なるほど!!」」
「けど君たちには魔気を感知できないだろうから私がサポートしてやるんだ。早速やってみるぞ」
シュオォォーーン
ナインが何かに集中し始めると、相沢たちにも何か変化が起こってきた。
「あ、熱い!なにこれ?!」
「体の真ん中に変なのがある?!」
手を胸に押さえつけてそういう女子たち。
「それが魔気の中心部分だ。さらにそこから集中させていくぞ。ふっ!」
ボワァァーーン
「すごい!体にすごい通ってる感がする!」
「これが魔気の通り道!」
「これが魔気の構造だ。それを理解すれば魔法が格段に上達するぞ」
「「「なるほど!!」」」
メモメモ
「はいこれ」
ドスンッ!!
ナインは相沢たちにものすごい量の参考書を押し付けた。
「な、なんですか?これ」
「これは参考書だ」
「やるんですか?」
「あたりまえだ」
「何日で?」
「1週間後」
「「「無理!!!」」」
「いや!君たちならできる!私だって高校生の時これくらい日常茶飯事だったぞ!異世界で勉強はしなくてもいいと思ったか!!残念だったな!何事にも知識は必要だ!!!」
それから相沢たちは強制的に勉強をさせられた。
「ついてねーな!アイツら!俺あの人だけには訓練してほしくねーわ!顔はすげえ好みだけど」
「まったくだ。魔法は実践あるのみ。あんな無意味な参考書を何冊も読んだところで時間の無駄でしかない」
それを遠くから見ていたクラスメイトの城之内と新庄が批判する。
「さっさとダンジョン行こうぜ新庄。レベル上げだ」
「ああ。剣崎たちも連れて行こう」
そう言って剣崎グループと一緒にダンジョンに行った。
「炎魔法!フレイグレイ!」
ブオヮッ!!
新庄の炎魔法により、目の前の敵が焦げて灰になっていく。
【新庄 誠】 職業 大賢者 レベル 200
筋力:2000 知力:5000 魔力:30000 素早さ:1700
『スキル』
マナ補充:魔力を自動で回復する
炎魔法(レベル6)
豪速:素早さをアップさせる
「おーらよっ!」
城之内が棍棒を握りしめ、思いっきり魔物に振るう。
「ぐぎゃぁぁ!!」
魔物から肉塊が飛び散る。
「くっそ!べたべたじゃねぇか!おい女子!クリーンしてくれ」
女子にそう呼びかける城之内。
「うるさい!こっちは剣崎君の身の安全を第一に考えてるんだからあんまり話しかけてこないで!!」
城之内など眼中にないように女子たちは忠告だけする。
「チッ!!連れてくるんじゃなかった!」
「失敗でしたね....」
「みんな!今日はこのままジャンジャン進んでいくぞ!!」
剣崎がそう言うと、みんな納得したようにコクンと頷いた。
なんてったってこの先は、推奨レベル500の看板が置いてある未開拓領域なのだから。




