キングオブnew拳 ①
「さあさあ!皆さんお久しぶりです!今日も司会のアンジェリーナです!キングオブ・new・拳の始まりです!!」
「「「うおぉぉぉー--!!!」」」
新たな会場の席も満席状態になっている。観客からの歓声は新たな会場というわくわく感からか、より一層大きく聞こえる。
「えー、今日の試合はこの前の対戦試合で勝った者のみ参加になります!出場者はこちらです!」
会場の天井に付いてるモニターに参加者が映し出される。
「「「おおぉー--!」」」
観客は新導入のシステムに驚いている。
「パパァ!あれなんて言うの!?私初めて見た!」
「あ、あれはねー.........ちょっと横の人!あんただよあんた!」
「僕ですか?」
「そうだよ!あの天井にくっついてるもの、あれなんて言うんだ?」
「あれはモニターっていって、テレビと同じようなものですよ」
「はぁー-!教えてくれてありがとう。あんた博識だなー!さては研究者の人かい?」
「一応そうですよ。今は特に何も研究してませんが....」
「やっぱりそうか!研究、頑張ってくださいね!陰ながら応援していますよ!ノータ!あれはモニターっていうんだぞ!テレビと同じ.....」
この国の人ってこういうの知らないんだ。じゃあ誰がモニターの作り方を教えたんだろう?すごい精密な部品を巧みな技術で組み立てて完成する一級品のはずなのに.....。
「次!ストーンマウンテンゴー!」
モニターに進が映し出される。
「おっ、進さんだ。頑張れー!」
「あんたあのお兄ちゃんと知り合いか?」
さっきモニターについて聞いてきた男の人が話しかけてきた。
「はい」
「あのお兄ちゃん、強そうだなー。あのお兄ちゃんが戦ってる試合を会場で見てたんだけど、すごい余裕そうだったんだよなー。こりゃまた逸材が生まれてきたなって思ったわ!」
「確かにメチャクチャ強いですよね。あの人。僕もいつかあんな風になれたらいいなって思ったりします」
「あんたもなかなかいい素質だ!俺には見えるぜ!あんたがいつかあの男と並ぶ日がね!」
と熱くなっている男。
「それはありがとうございます!そうなるように僕も強くならなくちゃ!」
「おお!いい意気込みだ!ははっ!さっきの教えてくれたお礼に俺が稽古をつけてやろうか!俺結構強いぞー?」
「パパ強ーい!」
娘さんだ。可愛いなー。まだ五歳ぐらいじゃない?僕もこういう子供欲しいなー。
「あなた!こんなところにいたの?」
突然後ろから女性の声が聞こえてきた。
「天!遅いぞ!どれだけ待ったと思ってるんだ?」
「うーるーせー。僕は落ち込んでたんだよ?夫として慰めたりできないの?まったく.....」
「すまんすまん....ほら、こっちに席あるぞ」
「ん。ありがと」
うわっ、こっちくる。
パルデンスの隣に一つ空席を作る男。
そしてそこに座る天。
パルデンスは天の方をじっと見つめている。
「な、なんですか?私の顔になんか付いてますか?」
その視線に気づいて話しかける天。
「すみません!何でもないです!」
「そうですか。もう試合って始まったの?」
「まだだよ。もう始まるっぽいな」
そう男が言うと、会場の地面が突如なくなった。
ざわざわざわざわ.......
観客は当然ざわつく。
「なんだなんだ?何が起こるんだ?!」
隣の男がそれを見てはしゃぎ始めた。
「ちょっと声うるさい。ボリューム落として」
「皆さーん!やってまいりましたキングオブnew拳ぃぃ!!!」
「「「いえぇぇー--ーい!!!」」」
「今日も今日とてこんにちはみなさん!突然の出来事に驚いた方も多いでしょう!なのでキングオブnew拳
について軽く説明したいと思います!ルールは難しくありません!ただ相手を戦闘不能にさせればいいだけです!ただし!ステージがどんどん変わっていくのでその環境に適した戦闘スタイルで戦わなければいけません!それが今回の醍醐味です!」
「実戦での格闘を再現するということなのか!素晴らしい!もっと盛り上がりそうだ!」
「それではー第一試合!ジャスミンvsリオー-!!どちらも大人気の大物選手だー!未だに決着がついてない2人!今日こそ決着はつくのか!ステージは森!ではよーい!スタートぉ!!」
「リオちゃん。この前とは比べ物にならないほどオーラが増してるね。しかも隠してる状態で....しっかり制御できないのかな?」
ジャスミンがリオに軽い愚痴を放つ。
「そっちこそ。相変わらず馬鹿でかいオーラがあふれてるよ?どっちが制御できてないのやら?」
リオがジャスミンにカウンターを入れる。
「「ぐぬぬぬぬっっ!!」」
「何をやってんだかあの二人は.....」
それを見ていた男は呆れたような声を出して言った。
「あの人たちと知り合い何ですか?!」
「ん?ああまぁな」
「えぇ?!リ、リオ様と?!?!」
「それはどうでもいい!試合に集中しろや!!」
「す、すいません!」
「はあー-!!」
シュッ!
リオの高速の足がジャスミンを追う。
「遅い!」
そう言って軽々とかわすジャスミン。
「まだまだあー!!」
シュッシュッシュッ!!
次々に繰り出されるリオの見えない蹴り。
だんだんとその速度は増していき、ジャスミンも捉えきれなくなってきた。
「どこどこ?!あっ.....!」
ボスッ!!
ジャスミンの腹にリオの蹴りが直撃した。
リオ....もう術式を使ってるでしょ....なら私も遠慮なくっ!
「嵐拳!楓拳!」
即座に間合いに入り、風を纏わせたパンチをぶつける。
シュッ!!
「凪汐流法!水帆!」
突然リオの手から水が出てきて周りの木々を根こそぎ巻き込んでジャスミンへと流し込んでいく。
ブワァァー-!!!
「「「なんじゃそりゃああー-!!!???」」」
「なにそれ....?」
「ははっ!!リオ!ついにお前もこっち側の人間になったか!」
男がリオに向かって叫ぶ。
「ゴランドさん!一体あれは何ですか?!魔法らしきものではありませんが!」
「あれは、術式を完璧に使いこなす、術式解放ですね。術式とは格闘家が使う流派のことです。術式解放は一般的にはなんと言ったらいいのでしょう....スキルのレベルがマックスになるみたいな感じでしょうか?」
「おお!なるほどぉ!!相当強いというわけですね!」
「相当どころではないですよ。あれが人類の中で最強の技です」
「なんとぉぉー-!!最強の技ー-!!!」
「凪汐流法!岬創!」
リオの拳になにかが宿り、ジャスミンの顔を殴り倒す。
ゴッ!!
「ぐはっ!!」
「嵐拳!......風月っ!!」
ジャスミンがそう唱えると、リオが吹っ飛ばされた。
シュワッ!!
「うぉぉー?!」
「ま、まさかあっちも!!」
「あれは!ゴランドさん!」
「ええ、彼女も同じく術式解放してますね......」
「まじですか?!」
「マジです」
「はぁー-!!!嵐拳!暴風!」
リオめがけて一直線に暴風が進む。
リオは走り回ってうまい具合に木の陰に隠れる。
バキッ!ゴキッ!メキッ!
風が通り過ぎたところは悲惨に何もなくなっていく。
「こんなの当たったらひとたまりもないよね!リオ!」
「その前に終わらすから大丈夫。凪汐流法!渡湘!」
その刹那、リオがジャスミンの視界から消えた。
ヒュオッ!!
「?!」
後ろっ!
「これでしゅーりょー」
リオがジャスミンの後ろに回り込み、首トンする。
「!.......」
バタッ!
ジャスミンはそのまま前方へと倒れた。
「「「えぇー--!!!!」」」
観客たちは一体何が起きたのかわからなかった。
「しょ!勝者!リオ!」
「勝者はなんと圧倒的な力でリオ様が勝ちましたー!!これは誰も予想してなかったでしょう!」
「リオ、すごい強くなっています。リオが使っているあの術式は、非常に珍しい『金剛式』と呼ばれているものですから、『銀角式』や『銅抗式』よりも圧倒的に強い力が発揮できるんです」
「そんなものが世の中にはあるんですねー!私初めて知りました!皆さんも知らなかったでしょう!これは武術界に大きな進展をもたらすでしょう!!」
「あっ!しまったー-!言ってしまった!」
ゴランドが突然叫びだした。
そしてリオがゴランドを睨む。
お前何してんねん!!
あんだけ私に自慢してきて秘密事項だって言ってきたのに!私だってみんなにこのこと自慢したかったのに!!
.....許さない....この後勝負申しこむかー.....多分負けるけど。
「と!とにかく第2回戦を始めていきましょう!ガンマンvsファス!次のステージはこちらです!」
ウィーーーーン
床が新たなステージに変わっていく。
「そう!次のステージは草原ステージです!何もないただのステージ!今までと同じように戦闘すればいいのでやりやすいでしょう!それでは!レディー!ファイト!!!」
「君、すごい細いねー。男の分際で」
「貴様に我を分際呼ばわりできる権利はないぞ、このドーピング筋肉」
その言葉にガンマンはピクリと反応する。
会場もファスの一言で会場中が凍り付いた。
「な、なにを言っているんだい?細ゴボウ君」
「しらばっくれるのか......前の試合、見させてもらったが筋肉が変に動いていたぞ。友人に教えてもらった情報によるとモリニンクという薬を飲んだ時にでる症状らしいな。そのモリニンクは身体能力を異常に底上げしてくれる、ドーピング薬らしい。ビデオ確認してくれればいい」
「そ!そんなことねぇよ!余裕があったから自分で動かしてただけだ!ほら!今動かしてやるよ!」
ピクピクピク
「「「き、きもいっ」」」
「ほらな!嘘ついてんじゃねぇーよ!」
「じゃあその動き止めてみろ」
「は?」
「その動き、止めて見せろよ」
「なんで」
「自分で動かしてるんだったら自分で止めれるはずだろう?」
「そ、それは.....」
「まぁいい。こんなことは今話しても仕方がない。普通に戦うとしよう」
「はっ!いいのか?どうせ口で陥れようとしたけどもう策が浮かばずに戦いに移行したか!俺の方が強いんだから無理スンナ!!www」
ガンマンは自信満々にしゃべりだす。
「そんな野郎やっちまえ!!俺らは本当の拳の戦いが見たいんだ!!ファスさん!!どうかあいつを静めてくれ!」
一人の観客が場内に言葉を投げかけた。
「そうよ!!あんな奴なんてこの大会にふさわしくないわ!!やっちゃって!!ファスさん!!」
「イケイケ!!ファスさん!」
「「「「ファースさん!!ファースさん!!ファースさん!!ファースさん!!」」」」
「言われなくてもそのつもりだ」
そう言ってファスは目つきを変えてガンマンへと歩き出す。
「おぉ~、怖い目つき。ちびりそうだよー」
ガンマンはファスが来るのを堂々と持ち構えている。
「氷結極闘門 氷原の巻」
キンッッ!!!!
そうファスが唱え地面を踏むと、ガンマンと地面が同時に凍った。
「「「「「えええー---!?!?!?!?」」」」」
「おいおいあの選手も使えんのかよ....」
ゴランドは思わず言葉にしてしまった。
「なんとぉぉー-!!あれは例の術式解放というやつなのかぁー!!まさか彼も使えたとは!さすがキングオブnew・拳!今までの選手とはまるで違う!!」
「「「うおぉぉー-!!!!」」」
「勝者!!ファス!!!」
審判がガンマンの安否を確認しに行った。
すると、
「す、すいません!ちょっとこっちに来てくれませんか!」
と審判がわきで待機してる医者たちに声をかけた。
「どうしましたか?なにか問題でも?」
そう医者の一人が言う。
「このガンマン選手がさっきから動かないし、脈を図ろうとしても読み取れないんですよ」
「なるほど....私たちで調べてみます」
医者たちは数人でガンマンを取り囲んでぶつぶつ呟き始めた。
「この症状は......なんだと思うかね?そこの君」
「これは病院で検査しないとわかりません」
「緊急処置の仕様がない。早く連れて行った方がいいかもしれません」
「了解!」
ピーポーピーポー!!!
しばらくして会場に救急車があらわれて、ガンマンを運んで行った。
「皆さんお騒がせして申し訳ありません!さっきの選手が重傷だったため病院に運ばれました!では引き続き試合を続行していきましょう!!第3試合!!ゴッドメンvsエルファーナ!!レディー!!ファイト!」
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