新築探し
「拠点とかってどこにあるんですか?」
ブラックが進に聞く。
「ん?拠点?そんなのないよ」
進は当たり前のようにそう言う。
「ない?!ないんですか?!信じられません!」
「うるせー!ぶっ飛ばすぞ!」
「ごめんなさいー!!」
ブラックはしゃがんで体を丸くして謝る。
「拠点....ない....我々.....ホームレス....?」
ミーベルは今にも泣きそうな顔になっている。
「この人たちの仲間になったの、失敗かも」
「肯定...肯定」
「丸聞こえだっつーの」
「んーー.....やっぱり拠点がないのは色々ダメですよ。大体遠征に行くときの荷物とか、帰ってきたときとか、拠点が必ず必要になってきますよ。なので拠点は我々に選ばせてもらってもいいでしょうか?」
ブラックは流暢に話を進めていく。
えー?どうしよー。金は足りんのかな?30兆ぐらい渡した方がいいよな。
「いや、やっぱ家はみんなで相談して買うわ。後からサヤと凜の不満を受け入れるのめんどいし」
「そうだな、皆で決めた方がより団結力が高まって友情が深まるだろうな。そしたら信頼度が上がって我のことを師と敬い始めて、我直属の最強魔王軍を結成するのだ!!はっはっはっはー-!!」
とんでもない野望をお持ちで......
「ついたな。ここが俺たちがいつも泊ってる宿だ。名前はー...羊の羊毛刈り取り室みたいな?」
「「そんなところによく泊れたな....」」
「貴様らの部屋は我がさっきとっておいた。2人で1部屋でいいだろう」
「ええ、大丈夫です。ではお先に、おやすみなさい」
「ああ、お休み。明日からよろしくな」
ブラックとミーベルは宿に着いた後すぐに部屋に籠った。
きっと相当眠かったのだろう。
「俺たちも寝ようぜ」
「ああ」
サヤと凜、どっちかが必ず寝ていますように!
そう願い、扉を開ける。
ガチャッ
2人とも...夜更かしはお肌に悪いぞ........
「いらっしゃいませー!番号札を取って、椅子に座ってお待ちくださーい!」
ガヤガヤ.....
「どんな家があるか楽しみだね!進!」
「うんそうだね。でも一回膝の上から降りてくれない?周りの人すごい見てるから」
「わかった」
サヤは一向に降りない。
「.........降りるって意味、知ってる?」
「公共の場でそんなことしないで!進もちゃんと注意してよ!」
凜が進たちに注意する。
「まあまあ、落ち着いてくださいよ凜さん。確かに許せないですけど....」
「38番の番号札をお持ちの方~!こちらの席へどうぞ~!」
店員に呼び出される進たち。
「おっ!ちょうど呼ばれたな」
「行こ!早く見たい!」
サヤに手を引っ張られながらぞろぞろと進む一行。
うわっ人数多っ!不動産会社を遊園地と勘違いしてんじゃないの?この人たち....
まあそんなことは気にしないで社内成績1位をキープできるようにちゃんと接待しなきゃ!
「お客様~。今回お客様の家探しをサポートいたします。日丸と申します。本日はよろしくお願いします~」
「うっす」
何この見るからに高校生の子。挨拶まともにできないのかしら?子供だから当然家を買えるお金も持ってないだろうし.....。
「さっそくですが、家は物件をお探しですか?条件などを言ってもらえればそれに合わせてこちらからいくつか案を出しますので」
「そうだなー、どうする?」
「15LDK!」
「プール付き!プライベートビーチも!」
「超巨大な風呂とかも欲しいな」
「できれば3階建てがいいです」
「地下に何個か部屋が欲しい!」
「おいテメーらガキがぁ!!あんま夢見てんじゃねぇーよ!!!不動産舐めんな!!」
「「「「............」」」」
何その目....私が悪いみたいじゃん?.....。
「で....本当の条件はどうなんですか?!」
「本当の条件ってさっきのとかですけど.....」
「だーかーらー!ふざけるなら帰ってくれませんか!こっちも仕事なんで邪魔されたら困るんですよ!」
「えぇ......」
「進、家買えないの?」
「え?!か、買えるよ?なあ?みんな!」
「う、うん!買える!絶対に!」
「ほら!帰った帰った!」
「じゃ別の人に頼むかー」
「そうしよ!」
「56番の番号札の方~!こちらの席へ来てください!」
「こんにちは。サポート係の飯田琵琶です。早速ですがどのような物件をお探しですか?」
「20LDK!」
「プールとプライベートビーチと街!」
「大浴場!」
「地下施設!」
「7階建て!」
お前ら条件厳しくなってるぞ。
「.........ありますか?」
「失礼ですがお客様、お金の方は大丈夫なんですか?」
「そこは何とかなるんで大丈夫です」
「なるほど。では最高の豪邸をこちらで用意させていただくので少々お待ちください」
「「「楽しみ!」」」
子供か、お前ら。
「お待たせしました。さっきの条件はなかなか厳しいですが、それは本拠地を建てる時に言ってくれれば考えてくれるところはいくつかあると思います」
「うぃーっす」
「なので、こちらの海が見える丘上の元博物館などはいかがでしょう?お金が制限されないならばより快適な建物に改築できますので」
「ちなみに何円ぐらいすか?」
「そうですね、最高級クラスの建物に改築するとなると....あの広い面積全てですから300億は余裕で超えると思います。大体で申し訳ないですけど」
「わかりました、じゃあその博物館に明日行ってみようかな?」
「現物を見るということですね。かしこまりました。付き添いは私一人で担当しますのでご了承ください」
「明日......ですか?」
「はい。予定があるならいつでも調整できますよ」
「明日、俺らキング・オブ・拳出るんだけど」
「うむ」
「え?明日だっけ?じゃあ私たちも観戦するから行けないね。別の日でお願いできますか?」
「かしこまりました。いつにしましょう?」
「また来るんでそん時で。もし別の人に買い取られてたら別の部屋をお願いします」
「かしこまりました。本日は当店をご利用いただきありがとうございました」
進たちは不動産屋を出ていった。
「進!これあげる!」
凜が進に御守りを差し出す。
「御守り?」
「そう。明日大会なんでしょ?だからそれ!」
「ありがとな!大切に持っておくわ!」
「こ、これぐらい当然よ!愛する人が怪我でもしたら嫌だから」
可愛いー!その一言に尽きる!!
ブシャー-!!と鼻血を吹き出す進。
それを見た凜はとても嬉しそうだった。
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