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クランについて

キングオブ・拳のBブロックとCブロックの試合が終わり、解散となった。


周りの選手たちは颯爽と荷物を詰めて帰っていく。


 ふー.....俺も帰ろ。


「ちょっといいかい?ストーン君」


進も帰ろうとしたがリオ様に引き留められた。


「なんですか?」


手をつかまれて逃げようにも逃げれない。



ニコニコ~ッ!!


「だからなんですか!」


「ごほん!.....君、ぜひ5級クランの『太陽の拳』に入ってくれないか....?」


突然仲間に入ってほしいと言ってくるリオ様。


「えぇーと....ごめんなさいー.....俺も仲間がいるんで」


「えぇー?!?!断っちゃうの?!仲間?!」


「まぁ一応結構いるんで無理っすね」


しかもクランってなんだ?よくわかんない物には関わるなってサヤに言われたからしっかり守んないと!


「なるほどー..では仕方ないなー。うちのとこにはこの国の7級ハンター全員いるんだけどなー。あーあ!!しょうがないなー!!!もったいなっ!!!」



凄い声量で叫びまくるリオ様。


 ガラス割れますよそんな高い声出したら...。



「気が変わったらここに来てくれ!」


進に1枚の紙切れを渡してリオ様は去っていった。



「なんじゃこりゃ......?」


その紙には子供の落書きで書かれた地図みたいな絵があった。


「おいおいおい...これはひどい.....」


 リオ様はおちゃめなとこもあるんだな。


進はリオをポジティブに受け止めた。


 そうういえばパルがリオ様のファンだったな。これも教えてあげよう。


「進」


突然背後から名前を呼ばれる。


謎の殺気を感じる。


 なんで?


すぐさま振り向く進。



そこには殺気がすごい凜の姿があった。



「おう凜、さっきの試合ちゃんと見てくれてたか?まぁ一瞬だったから面白かったかどうかは別だけどな。」



ズカズカズカ!!


走ってこっちに向かってくる凜。


 速いっ!もう間合いに入られただとぉぉ?!



「スキル発動  絶対魅惑の香り!!」



ドクッッ!!!



 あれ?今一瞬変なの来た。この感覚....一回味わった気がする。


 意識が.....保てない....


「ふふっ、これで完了。進さっきの女の人だーれ??」


「あの人はこの大会の優勝候補であるリオ様です」


「進はあの人のことどう思ってるの?」


「顔もすごい可愛くて、いい匂いして、ボディーラインも綺麗で、魅力的な女性です」


「へー!そーなんだー!」


と顔にイライラのピキピキを入れながら言う。


「じゃーあー!私と!その、オ・ン・ナ どっちが可愛い?」


「凜さんです」


「スキル解除。最初からそういう態度とれっての!」




進はハッとして目を大きく開けた。


「っうわぁ?!ここは?!あぁ変わってない。気失ってたわ」


「そうなのー?これって気失うんだー.....」



そのまま進と凜は何事もなかったかのように宿に帰っていった。




「ただいま」


サヤが宿に帰ってきた。


「おかえりサヤ。ていうかどこに行ってたんだ?試合が終わった後どっか行ったのか?」


「うん。アドベンチャークラン行ってた」


「なんで?」


「私たちのクランを作ろうと思って、手続きしてた」



 クラン......?リオ様もそんなこと言ってたような気がする.....流行ってるのかな..クランとやらが。



「クランの名前は『ノック』。どう?いいでしょー?」



 すっごいいい名前!すごいっ!



「どうやって考えたんだ?」



「進が私の部屋に入るときにノックしないから、『ノック』にした」


 あの宿の部屋、俺の部屋だけどな......勝手に人の部屋忍び込んで自分の部屋とか言っちゃうの?



 でも可愛いから許す!!


「理由は聞かれても適当に誤魔化そうか」


「うん」


でも俺らのクランとか誰も入らんやろ。別に理由とかばらしてもいいのかな?



「それで?クランって何すんの?」


「何するか?んー-、チームみたいなものだよ。いちいち各自で集まるより、チームの信頼関係のある仲間と一緒に戦闘した方が連携も取りやすくなって魔物との戦いの勝率が上がるでしょ?それを考えて作られた制度」


ふーん。


「ちなみにクランの人数って大体どのくらいなの?」


「普通の2級クランとか3級クランとかなら50人くらいかな?でもそのクランのリーダーたちは大体4級くらい」


「ふーん」


「で、すごいのはここから!4級クランはリーダーが6級なんだよ。さらに規模も増えて70人はいる。もっとすごいのは5級クランでクランの中に7級が一人いないといけない。人数はわかんない」


 へー。級が上がるごとに仲間がどんどん増えていくのか。でもそれだと指示が出しにくいな。


「ちなみにもっと上はないのか?6級とか7級とか、そこらへんの」


進はもっとクランについて聞いた。


「もっと上かー、あることにはあるよ。6級はリーダーがもちろん7級で他のメンバーが全員4級以上じゃないとだめなの。だからクランの強さが5級から格段に上がっていくんだよ」


「強そうだな。そのクランは」


「でももっとすごいのは一番上の7級クラン。あそこクランの条件は色々噂されてるけど、確かリーダーが測定器の水晶を壊すのが一つ。メンバーが7人以上で全員7級らしい」


「ハードルめっちゃ高くないか?無理だろ、そんなの.....」


「そんなに悲しい顔しないで。進。進はもう水晶を壊してるんだから、後はみんなを育てていくだけで7級クランになれちゃうんだよ?イージーでしょ?」


にこっと笑いかけてくるサヤ。



「可愛よ.....」


「ん?なにか言った?」


「あー、いやなんも」


 口に出してたか。


「そう?ならいいけど」


「ん、」


「そういえばこの国の次ってどこ行くんだっけ?」


「あー、それね。次の国はなー、マウント・ゲートってとこ」


一瞬きょとんとした顔をとるサヤ。


「何その国、聞いたことない」


「俺もちょっとしか聞いたことない。あるお店入った時にちょうど聞こえてきてさ。その国はなんと山にできてるらしくて、魔物が強いせいで住民が少ないらしい。山って言えばてっぺんとるって言ったからな。そん時にとっちゃいます!」


「距離は?」


「わからん。そこら辺の詳細はファスからでも聞こうか」


「なんでファスに聞くの?なにか知ってるの?」


「一応あいつって魔王だし、何でも知ってるんじゃないか。なんて思ったんだけど」


「なるほどね。わかった」


「この後ファスとちょっと出かけるから」


「どこに?」


「秘密」


そう言うとサヤは顔をぷくっと膨らませる。


「むー--」


「色々事情があるんですー」


「まあそれはいいんだけど。そのクランの証として色々作れるらしいから、それは残りの私たち3人で作っちゃうね」


「了解、......ふぁー--。ちょっと眠いわ。少し寝かしてくれ」


「いいよ。私も寝る。っていうか!もう夜なのにこの後出かけるの?しかも男二人で....」


「それも秘密だ」


「むー----」


そう言ってサヤは進を抱き枕にして眠りについた。

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