世界大会 キングオブ・拳 Bブロック② 【石山進視点】
客席から盛大な歓声が聞こえる。
この大会ってそこまで大きかったの?知らなかったー。
俺の試合ってもう次じゃん!....緊張してきた...
「そこの君」
そう進に声をかけてきたのはリオ様と呼ばれている人。
「はい...?」
「緊張してるみたいだね。そんな君にお姉さんから一言!いいかな?」
「大丈夫です....」
「そうか!では一言.....お前ならやれる!お前にできないことなんてないんだから!」
.....俺大丈夫ですってちゃんと言えてなかったかな?しかも全然緊張解けてない....
「どうだ?緊張はなくなったかい?」
「はい....緊張、なくなりました」
その言葉を聞くと、リオ様は嬉しそうな顔をした。
「そうかそうか。緊張は解けたか....それはなにより。これで君も試合で本気を出せるね。お互い、恥じぬ試合をしよう」
そう言ってリオ様は去っていった。
あれが優勝候補のリオ様か.....
確かに試合前の敵に優しくするなんて、熟練の猛者じゃないとできないな。
リオ様があの場から去っていった瞬間、会場が沸き上がった。
うひょー!あの人相当人気だなー!話せただけで奇跡じゃん。
「せっかくだしここのテレビでちょっと観戦してみるか」
選手たちは試合前に一つの楽屋にブロックメンバーごとに入らされる。そこの楽屋には休憩室としても使われてるので、テレビなどの設備が揃っている。
「ポチっとな」
テレビの画面にはリオ様と男が映っている。
「さあ!では試合開始です!」
ゴォォォーン!
始まりの鐘が鳴らされた。
「ふっ!」
リオ様が低い姿勢から速攻、相手の間合いに入り込む。
「っ?!未来が...見えない....」
どうやら相手は少し先の未来が見える能力らしい。
だが、リオ様の速度に処理が追いついてないのか.....
「はっ!!」
掛け声と共にリオ様が相手へパンチを放つ。
ヒュォォッ!!
風を切る音が聞こえ、相手が場外の壁へ吹っ飛ばされた。
「ッ?!.....馬鹿....な.....」
そう言って、相手は気絶した。
「「「おぉぉぉー--!!!!!!」」」
「リオ様ー--!!!!」
「かっこいいー-!!!」
「圧倒的だーー!!」
「私には何が起きたか全くわからなかったのですが....見えましたか?」
「いえ、見えませんでした。ゴランドさんは....見えましたか...?」
「いえ、私も見えなかったです.....彼女、この前よりだいぶ成長してますね....リオの相手も今大会の優勝候補だと思ってましたが、リオが想像以上に強くなっていてびっくりしてます」
「なんと?!チャンピオンでさえも見えない速度ー!!彼女は我々の想像より、格段に強くなっているー!」
「「「「うおぉぉー--!!!!!!!!」」」」
うるせー....観客たちリオ様のこと好きすぎだろ....
「それではリオ様!一言お願いしてもいいでしょうか!」
「いいですよー」
営業スマイルをかますリオ様。
「「「ズ!ズキューン!!!!」」」
圧倒的団結力......
「みんなー!今日は見に来てくれてありがとー!久しぶりのこの大会。絶対優勝してやるって気持ちでずと修行してましたー!この大会でここにいるみんなを私の虜にしちゃーうぞ?以上!」
「「「ぎゃぁぁー---!!!!!」」」
「血よー!吐血してる人がいるわー!あっ、私もだ....」
ブシャー-!!
「おーっと!ここで大量の吐血者が確認されました!輸血パック持ってきてー!」
うわっ....輸血パックこんなに用意されてるんだ....リオ様すげー。
素直に進はそう思った。
「ふー、お疲れー」
「お、お疲れ様っす!ブシャー-!!」
「おーおー!大丈夫?」
「大丈夫です!では!!」
みんな鼻血出てるけど、私ってそんなにかわいいのー?まーいっか!
「ふ~、最後の試合はあの私が声をかけた男の子だねー。見守ってあげよう」
「さあ!今日も終わりに近づいてまいりました!最終試合!ストーンマウンテンゴーvs田中たかし!」
「レディー!ファイッ!!」
ゴォォーーーン!!
あー!怖い!メチャクチャ見られてる!サヤがいればもうちょっと軽い気持ちでいられるのに!!
「こんにちは!ストーンさん!僕は田中たかしです!僕の流派は暴力道っていって戦闘に特化した流派らしいよ!僕、小さい頃からずっお父さんに武術を叩き込まれて、いっぱいきつい思いしたんだー。だからさ!一緒に感じてよ!その痛みを!行くよー!」
そう言ってとてつもない早さで田中たかしはパンチを打ってきた。
「「「っ?!」」」
観客席の人たちがこの技を目で追い切れておらず、その速さにとても驚いている。
「速い!ゴランドさん!あの速さ!リオ様と同じぐらいですか?!」
「まさかっ....あれは速いですがリオほどではないですよ。でも一般人なら余裕で死に至る流派を扱っていてあの速さなので、相当危険でしょう....私も一回だけ食らいましたが、まじで死にそうになりましたから....」
「相当危険な技........気を付けないと死にますね.....これは......」
「「坊主ー!!死ぬんじゃねーぞ!」」
「「頑張れー!!」」
と進を応援する観客と、
「「そんな奴やっちまえ!!」」
「「この国の英雄を語るな!!」」
と田中たかしを応援する観客の二つに割れた。
「はははは!!もっと!もっと!追い詰めていこう!!ははははは!!」
田中たかしがバーサーカーみたいになってる......
こいつ弱いし、リオ様みたいに一瞬で終わらせていいよね?「いいよ!」あっいいんだ。じゃ遠慮なく
「ほーらよっ」
進が突っ込んできた田中の顔面に蹴りを入れる。
すると、田中たかしが蹴りを入れられた反動で後ろに飛ばされて、壁に激突した。
ガラガラと壁の破片が観客に降っていく。
シュッ!!
素早く移動し、その観客を破片から守る。
「大丈夫か!サヤ!凜!」
「「っ?!」」
サヤと凜がビクッと体を反応させる。
「ここでトラブル発生です!すぐに対処しますので!少々お待ちください!」
運営が修理係を呼び出して一瞬で直した。
はえー!さすが世界大会やなー!
「来てるんだったら言えよ。変装までして......」
「だって試合終わった後に行くつもりだったんだもん.....」
「私の完璧な変装コーディネートが破られるとは!」
「いや、サングラス付けただけじゃん。」
「早く!試合に戻って!第二ラウンド始めちゃいなよ!」
「ほんとだ。じゃあ終わったらまた後でな。」
戻っている俺にサングラスを外して笑顔で手を振ってくれる二人。
ん~~!たまらんっ!
「ちょっと待ってください!!」
修理係が運営に何かを報告している。
そういえば田中たかし.....あいつ死んだんじゃね?
「えー、ここで大事なお知らせがあります。さっきの戦闘で田中たかしさんは気絶したとの報告がありました!よって、勝者!ストーンなんちゃらー!」
「「「「うおぉぉぉー---!!!!!!」」」」
「すげーぞ小僧!」
「あなたやるわね!」
「とんでもない野郎だぜ!!」
「ありがとう!!みんな!ありがとう!!」
「では一言お願いします!」
「えー、こんにちはー.....とりあえず勝ててよかったです。これからも応援よろしくー......」
はぁ...はぁ....緊張した....
「ありがとーございますー。ではCブロックに移りまーす!!」
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