状況整理
「お?やっと起きたか。」
進が上からファシアスに声をかける。
「、、、、何故我が生きているんだ?」
ファシアスは進との力比べに負け、自分は死んだと思ったらしい。
「生かしといてやったんだよ。」
「はあ、何故敵を殺さずに生かそうとするんだ?仲間を傷付けた奴だぞ?」
「そんなのは知らねーよ。お前は俺と同じぐらい強い。だから大きな戦力になるんだよ。お前は。」
「なるほど、つまり我を兵にしようということか!実に面白い!その提案受け取ろう!」
そういってファシアスは急ぎながらイヤホンみたいなものを取り出した。
「何してんだ?」
進が聞くと、
「ああ、これはちょっと我の国に連絡をと、な。」
な、なに~?こいつ、自分の国を持ってるのか~?すごいな、、
「もしもし?ファシアスだ。ちょっと急用ができたから帰るのいつになるかわからなくなった。でもお前さえいれば国は回るよな?ということでよろしく頼んだ。」
「----え?ちょっと待って」
プツー-
切った。
「大丈夫なんですかそれ?さっきの人絶対困ってますよ。」
パルがファシアスに言う。
「我は国で一番偉いからな。なんてったって魔王だから!」
と当たり前のようにほざくファシアス。
「魔王?そういえば協会の神父がそんなことを言ってたような?」
「魔王だったんですねー。ファシアスさんって。」
ハッとした顔で進が言う。
「そしたらこれで世界の滅亡の危機は免れたな!俺は今世界を救ったということか!」
「そういうことですよ!やりましたね!進さん!」
「お前たちは何を馬鹿なことを言ってるんだ、、、我だけが魔王なわけないだろう。」
ギョッ!っとした顔をパルが見せている。
「僕は世界で一番凶悪な生物として教えられていましたよ、、」
「ちなみに何人いるんだ?魔王たちは。」
「いい質問だ。なんとその数たったの十名!順に言っていこうか?」
「う~ん、覚えるの無理!!」
「じゃあ、一人ずつ言っていくぞ。
炎の国 バーノボアから イイマル・ソロ君でーす!
彼は炎を操っていまーす。国の中には火山があって、よく噴火してまーす!
次!
水の国 ブルー・ホエールから 渚・花蓮ちゃんでーす!
あの子は清楚で可愛い!完璧美少女!しかも我の遊び相手も務めるなかなかの強さ!
炎の国の火山噴火の後処理をよくしていまーす!水魔法で。
国は滅茶苦茶キレイ!だからあなたちは入っただけで即刻死刑!!なぜならー、汚いから!!
「この人、、、」
パルが言葉を失っていた。
「ハイハイ!次!
大地の国 地底帝国から モグラ・ナナハチ君!
彼はなんと!モグラ種族!唯一の生き残り!地下に国を築いており、領地の面積は不明!
すごいのは地下鉄を作ってあらゆるところを移動できるようにしたのです!もはや、尊敬!
得意は土魔法!よく乗り物を作っています!土の、、、
次、行ってみようか。
次は、、、あっ、こいつか。まあ説明しなくていいでしょ。うん。
次ー!」
「おいおいおい!ちゃんと説明してくださいよ!!嫌いなんですか?その人のこと。」
「黙れ!!我の喋る時間だぞ!!お前に喋る権利がどこにある!」
「ひどい!!」
「まあいいか。説明してやろう。
光の国 リヒト・ボスから ライト・アテール
こいつは国を今離れていて、別の魔王のとこに行ってる。
属性は光で、光の速さで移動する。性格は生意気だが、ムカついて殺さないようにすることだな。」
自分の経験談みたいに注意するファシアス。
「今出てきた奴らは、四人か、、、てことは残り六人もいるってことか!覚えられるかなー?俺。」
進が不安そうに嘆いている。
「あっ、僕が覚えるので聞かなくていいですよ。どうぞくつろいでいてください。」
そうパルが気を利かせると、
「助かる!じゃあ俺は死神のとこ行ってくるわ。じゃ!」
と言って進は死神のところへと消えていった。
「おお、見事な芸だ、、どういう原理であの魔法は作動してるんだ?」
ファシアスは自分には到底理解できない魔法、いや魔術を解き明かそうとしていた。
「何してるんですか、ファシアスさん。早く説明してくださいよ。」
そうパルがファシアスを正気に戻そうとする。
「ああ、すまん。では続けようか。えーと次は五人目だな。
獣の国から ビースト・サード君です。
この子は我が魔王になってから約五十年たって入ってきた新参者だな!
得意とするものは『神の手助け』という身体強化系のスキルだな。
ちなみに、獣の国の国民たちは狂暴で、そこらのドラゴンより強い奴らがうじゃうじゃいる。
そしてその中の頂点がビースト・サード君というわけだ。だから今はまだ行く時ではないよー。
ライトが居候してるのはここだな。
じゃあ、次ー。
境界線から プロト・ガトール君です。
ちなみに境界線とは、もともとこの世界は五つの世界に分かれている。
一番下が人間たち、二番が我ら魔物たち、三番が天使たち、四番が神たち、五番はまだ解明されていない。
そこで、魔族と天使の間には境界線という壁がある。理由は神と天使は魔族と敵対関係だから。
そこを管理してる国が境界線ということだ。
プロトは魔王の中でも強い方だから、そこに国を置いている。
ああ、、、、そのうち、、、いや、何でもない、」
ファシアスはどこか遠くをみつめて言うのを途中でやめた。
「そんなことが、、この世界は複雑ですね、、まだまだ知らないことがたくさんありますねー、僕はこの世界をすべて知ったつもりでしたが、、どうやら全くの勘違いだったようです。」
パルはそういった。
「まあいい、あと三人だな、
エルファー国から ユミ・エルファーと、ミナ・エルファーだ。
奴らは姉妹だが、それぞれ魔王だ。
得意は二人とも草魔法で、国は自然豊かでほとんど草木であふれている。」
「なるほどー。」
「やっと最後、、
国は持ってないが、一応歴代魔王の中で一番強い。しかも性格すごいチャラい。
得意は剣の扱いだな。あいつの剣撃はやばかった、、、
今はどっか行ってるからどこにいるかはわからない。
ざっとこんなところだが、なにか質問はあるか?」
「いえ、特には。」
「そうか、では進の言っていた国に行こうではないか。」
「それが、、、まだないんですよー国。」
と言いづらそうに言うパル。
「何?国がない?どういうことだ、それは?」
事情を聴かれたので、パルは進の言っていたことをすべて伝えた。
「っ?!昔滅ぼされた国、、、世界で一番強かった戦力、、」
何か考え込んでいるファシアス。
「どこにあるのか心当たりでも?」
とパルが聞く。
「いや、そういうわけではないが、、まあいい!とりあえず進が帰ってくるまで待とうか!!」
「そうですねー。」
一方そのころ、
凜とサヤは進に言われた通り、どこかに隠れていた。
どんどん攻撃の威力が高くなっているのを見て、サヤが危険を感じ取り、もっと別の場所へと移動していった。
そしてたどり着いたのが、この洞窟というわけだ。
この洞窟は奥が続いており、火もともされていた。
「とっさに逃げてきたけど、ここっていったいどこなの?ただの洞窟ってわけでもないし、奥になんか変なの続いてるし、この世界の洞窟ってそんなものなの?サヤ、」
凜がサヤにいろいろと聞く。
「わかんない、とりあえず進んでみる?」
とサヤが提案した。
「え?なんで、」
「だって進たちが戦ってる間私たち暇だから、、、」
この女、夫が心配じゃないのか!
「え、えー。おとなしく待ってた方がいいんじゃない?何があるかわかんないし、」
とその提案を拒否する凜。
「そうなの?じゃあ私一人で行く。」
「はあ?サヤさー、今はおとなしくしてないとだめでしょ?危険な場所だったらどうすんの?」
と少し切れ気味に凜が言う。
「行きたいのに、、」
「ダメだよ!一応サヤも仲間なんだし、、」
「、、、、わかった。」
「ありがと、とりあえずここで見守ってよ!進が勝つ瞬間を!」
「うん、そうだね。」
それっきり、会話はなかった。だが、サヤが凜にくっついてる。
凜の引き留めの行動で、サヤの命が救われたことはのちにわかるのでした。
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