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坂上鏡の昔話

《クラスメイト視点》


 俺の名前は坂上だ。突然異世界にクラスで召喚されて、魔王と倒せと言われた。


 自分の性格はよくわかってる。だから、こういうのは全部断ってきた。あいつと同じように。


 あいつとは石山進のことだ。やつは俺がまだ中学生で、大人しかった頃、



「こらー!待てや!こらー!」


 学校内で一番関わってはいけない存在と言われていた高3の岩友瞳先輩が怒鳴りながら石山を追いかけていた。


「うるせえ!」


と、石山が軽く蹴りを入れると、岩友先輩はきぜつして、保健室送りになった。


それを見て俺は、あいつに憧れた。


 同い年なのにあんなに度胸があって強い奴は初めてだった。


 それから三年間ひたすら筋トレをし続け、ボクシングジムへ通い、プロ選手も圧倒していった。


「もうこんなやつらしかいねぇのか?!堕ちたもんだぜ!このジムもよ!


 いや、俺が強すぎるのか!いや、失敬、失敬。」



 などと調子に乗っていた。自分は強くなりすぎてそのジムでは、何も学ぶことはなくなった。


 それからあちこちのジムに行ったが、結局同じような感じだ。


 今なら、俺が憧れたあいつに勝てるかもしれねぇ!そんなことを思いながら、強い奴らを片っ端からやっつけて行った。


 そんな生活を続けて、高1も終わるころ、あるやつが喧嘩をふっかけてきた。


「その格好、ヤクザだな?俺になんのようだ?」


「お前、最近調子乗ってるらしいな?聞いたぜー、うちの知り合いのボクサーとかみんなやられたってよー。」


「それの仕返しってわけか」


「まぁ、そんなとこかな?悪く思わないでくれよ?最近でしゃばりすぎてるお前が悪いんだからよ?」


 ヤクザは坂上の体を顔を見ながらあちこち触る


「お前、なかなかいい顔してるなぁー?」


「黙れ!」


と言いながら、坂上は突っ込んでいく。


「じゃあ、勝負と行こうか!フルボッコだどん!」


ばこっ!


っ?!痛!?!?


 坂上はヤクザのパンチをモロに喰らって、よろめいた。


「どうした!どうした!お前はこんなに弱かったのか?!俺みたいな下っ端のボスにまけるようじゃあ、全然威張れねぇぞ!」


「ぐっ、!」


痛い、強い、これがヤクザなのか。映画で見る時と全然違う強さじゃねぇか!


ヤクザはひたすら倒れてる坂上に蹴りをいれている。


 やべっ、意識が飛ぶ。こんなことなら、喧嘩なんて、しなければよかった。


すると、


「おいおい、こんな裏路地に殴り合ってるチンピラどもがいるじゃねぇか。」


そんな声が聞こえてきた。


「誰だ!」


「俺?そんなことはどうでもいい、なんで殴り合いで死者を出そうとしてるんだ?そこのお前は。」


「ははっ!これだから無知は困りますわ!こいつはこんなんじゃ死にませんよ。だってこの赤鬼組に喧嘩をふっかけてきた奴なんだよ!そこらのチンピラじゃねぇ。


それと、もう一度聞くが、テメェは誰だ?」


「ああ、そんなに知りたいか?じゃあ教えてやろう。

俺の名前は石山進だ。これからヤクザ界の歴史に名を轟かせる者の名前だ。よく覚えておけ、このチンピラカス。」



ぐしゃ!


 殴ったとは思えない音が聞こえた。


「おい、そこのお前、大丈夫か?」


 奴と戦い始めて数秒で石山は帰ってきた。


 おいおい冗談だろ?俺が勝てなかったやつをいとも簡単に。


「ああ俺は大丈夫だ。お前、あのヤクザのこと殺してないよな?」


「大丈夫大丈夫。殺したりなんかしない。手加減はしたから」


 こんなバケモン俺にはなれねぇな、


「救急車呼ぶか?」


「いや、大丈夫だ。」


 ここはかっこよく終わりてぇ。


「じゃあ赤鬼組、凸るか。」


「は?」


 石山の言ったことが謎すぎて、呆気に取られた。


「大丈夫なんだろ?じゃあ、行こうぜ。」


「でも、こんな奴に勝てなかった俺じゃあ、お前の足手まといにしかならない。」


「こいつ、一応赤鬼組の中ボスぐらいの強さだから安心しろって。」


「そうか。じゃあ行こうか!ぶっ潰したるわ!!赤鬼組!!!!!!」


「よっしゃ!!行こうぜ!!」



 それから共闘した石山と坂上は赤鬼組の親を仕留めた。(ほとんど石山が倒した)


「お前、その歳でなかなかやるじゃねぇか。」


「お前には遠く及ばないけどな。」


「そうだな」


「俺もお前みたいになれるかな?」


「無理だな。俺はこれからもっと早いペースで強くなるからな。今のお前じゃ追いつけないぜ。」


「ふん!お前みたいな奴は主人公の俺が最後に倒すんだ。」


「あっそ」


 次は絶対倒してやるんだからな!このゴミヤクザが!あと触られた時すげーキモかったな。触られないように気をつけよう。



「あん時が一番楽しかったなぁ、ヤクザ界の裏ボスって呼ばれてたっけ?」


 にしてもあのあと世界回って世界征服しようとか言ってたな。


 流石に冗談だって思ったけど、この世界から帰ってたらやってみてもいいけどなー。


「その為には、わたしが強くなる為に頑張んないと!」


 そう決意した坂上だった。


「坂上さん!今日もお疲れ様っす!」


 坂上の舎弟の1人が挨拶する。


「ああ、お疲れ。」


「ありがとうございます!!!!!!」


すぐに舎弟は戻って行った。


あの舎弟は坂上に喧嘩をふっかけて返り討ちにされた奴らの1人。


「なんなんだ、一体?」



 そういえば今頃あいつは何をしてんだろうか?


 そんなことを考えながら、塔から帰って行った。



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