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忘れえぬ過去⑥

導師が話した内容は彼ら3人にとっては衝撃的なものだった。

戦争の原因をつくった国はすでに滅ぼされ、終戦協定により戦争は終わり、敵味方という括りはなくなり、一致協力して戦後復興に当たっていることなど。

隔絶した環境にいた彼らはいまその事実を初めて知った。

それらを話し終えたあと導師はおもむろに姿勢をただし

「決して忘れていたわけではないが……。結果としてこのような事になってしまい誠に申し訳ありませんでした。あなた方に耐え難い苦痛、悲しみを与えてしまったこと、深くお詫び申し上げる」

先程までとは違い目上の者に話すような言葉遣いで謝罪する導師。しかし3人にはその謝罪は届いていなかった。

放心状態になってその場で固まるアレン、うずくまって涙を流すヴァネッサ、

「なんで、なんで、いまさら、なんだよ」

そう叫びながらぐージェスは導師に殴りかかる。それを避けることなく導師はその場から動かず一方的に殴られるだけだった

何十発と拳を打たれた導師の顔は傷だらけになる。だが導師は動かない。やがて泣きつかれたのか力尽きるようにグージェスはその場にたおれこんだ。

「気持ちはわかる。だがお前たちは……」

導師は誰にも聞こえないようにつぶやきながらグージェスを抱きかかえながらアレンとヴァネッサに近寄る。

「お前たちはどうだ。殴って気が済むならいくらでも殴れ。にくいと思うならワシを殺せばよい」

導師は優しく、しかし、力強く語りかける。

「もういい。何をしたって何も変わらない。俺たちがやってきたことは無意味だったんだ」

もう何もやる気がないとばかりに二人はその場に座り込む。

なんの動きもなく時は過ぎていく。導師はその間動かない。やがてグージェスは目を覚ます。

「目覚めたか」

導師は抱きかかえたままグージェスに声をかける。

ぐージェスはそれに答えはしない。導師から離れるとある方向へ走り出す。それに気付いた二人が慌てるようにあとを追いかける。

「だめだ、それはもう必要ない」

二人の叫びに導師は危険を感じ後を追う。

グージェスか向かった先にはなかなか帰ってこない導師を探しに来た捜索隊のメンバーがいた。そしてグージェスと捜索隊の間にあったのは地雷のようなものが剥き出しの状態でおいてあった。

それはかれらが追いこまれた時に使う最後の武器、対象をここに誘い出し自分ごと破壊するためのもの、もし爆発すれば森の大半が焼けてしまうほどの威力がある。彼はもはや死なばもろともとばかりに自爆テロのような事を実行しようとしていた。

そのことを知らない捜索隊はグージェスを発見し保護しようと彼に近づいていく


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