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忘れえぬ過去④

「本当に居たのか? とうてい生きているとは思えんが」

「流れ着いた流民の可能性もあります。いずれにしても捜索する意味はあると思われます」

「そうだな。あそこはぜひとも復興させねばならない。再び蘇らせる。これは使命だ」

若きリーダーのもと、軍人たちはかの地へ赴いた。

「僅かな痕跡も見逃すな。報告通りなら生存者がいるはずだ。現地の者だろうが流民だろうが必ず保護しろ」

号令の元、彼らは一斉に捜索を開始する。

「あれだけの大人数を相手にするのか」

「いまさらビビるな、道連は多いほどいい」

「そうだな、だが、せいぜい2、3人ってとこだろう」

「それでいい。少しでも減らしておけば。残っている味方の負担を少しでも減らせれば」

彼らは戦争がすでに終わっていることを知らなかった。まだ生存している味方がいるはず。そう信じていたのだ。

「行って来る。先にみんなの元へ……」

グージェスは右手を胸に当てて別れの挨拶をする。

「すぐに行く」

アレンとヴァネッサはそれに応える。ヴァネッサ手製の武器を携えグーヴェスは森の中へ消えていく。


捜索は困難を極めた。入り組んだ地形に起伏の激しい大地、鬱蒼とした森林は昼でも薄暗い。

「本当にいるのかよ」

「目撃したっていうんだから信じるしかないだろう。さっさと見つけて帰ろう」

彼らに疲労の色が見え始めていた。最初の頃の警戒心は徐々に薄れていく。そして行動が緩慢なものになっていく。そんな彼らにグーヴェスは攻撃を開始する。

「ぐわっ!」

グーヴェスが投げつけたヴァネッサ手製の投擲ナイフは警戒心が切れかけた兵士のクビ筋に命中した。

「衛生兵!!」

重傷を負った兵士を治療するため呼ばれた衛生兵はグーヴェスの姿を捉える。

「あいつだ。あいつがやったんだ」

その言葉に兵士たちは逃げるグーヴェスを追いかける。

「まだ子供じゃないか。なんでこんなところに」

「あれが生存者か。確か目撃したのは子供だと報告にあったな」

「だとしてもなぜ攻撃した? 俺らは保護しに来たんだぞ」

「わからん。ただ俺たちは命令を遂行するしかないんだ」

兵士たちはとまどいながらもグーヴェスを追いかけていく。


「攻撃されただと?」

報告を受けた捜索隊のリーダーは戸惑いを隠さない。

「終戦を知らないのかもしれませんな。こんなところにいたのなら情報が届かなくても仕方ないことでしょうな」

「ということは我々は敵だと思われていると?」

「そういうことになりますな。一旦引き上げましょう。我々はあまりにも無知じゃった。作戦を練り直すのじゃ」

「直ちに全員に伝えろ」

相談役としてリーダーに意見具申した老人の意見に従いリーダーは撤退を命令した。ただその命令は全員には届かなかった。


グーヴェスを追いかけ兵たちは奥へと入っていく。その先にいたヴァネッサによって兵たちは次々に射抜かれていく。

「クソがっ! こんなのに簡単に引っかかるなんて」

倒れていく仲間たちを見ながら叫びを上げた最後の兵士にグーヴェスはヴァールのような形状のもので叩きつける。

気絶した兵士を無視してグーヴェスは今来た道を引き返す。

一瞬ヴァネッサの方を振り向いた。

「死にぞこなった。まだやるよ」

と言うように





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