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決意

「導師、どうやら話はついたようですね」

何も知らない捜索隊の一団は子供たちと一緒にいる導師の姿を見つけるとどんどんと近づいてくる。

「来るな」

導師はそう叫ぶがその叫びは彼らには届かない。

射程圏内に彼らが到達した瞬間にグージェスは地雷の起爆装置を踏み抜く。

万事休す、誰もがそう思ったがあたりは静寂に包まれたままであった。

「どうしてだ、どうして爆発しない」

グージェスは何度も、何度も起爆装置を踏むが、うんとスントもいわずにいた。

「もうやめにしよう。なあ、グージェス、わかっているはずだ。俺たちがやってきたことはまったくの無駄だってことだ」

「それでいいのか」

「いいも悪いも、現実を受け入れるしかないだろう」

「わかっているさ、わかっているけれども」

すべてを諦めたような表情でグージェスはアレンに怒鳴りつける。アレンはそれを黙って受け入れられる。

「俺だって……。でもな、現実を知った今は……」

アレンの目にも涙があふれる。

「お前さんは冷静だな。なんとも思わないのか?」

「私だって……。でもね、あの二人見てたら何だが冷静に考えられるようになったの。なんでだろうね。多分何もかも終わったって安心しているみたいね」

導師に問いかけられたヴァネッサは自分でも驚くほど冷静にそう答えた。

「それで。私達はどうなるの?」

「とりあえずはここを出る。町で暮らすことになるだろう。まずはゆっくりと休むが良い。これからのことはおいおい考える。悪いようにはしない。我々に任せてほしい」

「いいの? 私達随分と迷惑掛けたのに」

導師は今後のことは任せてほしいと言ったがヴァネッサは罰を受けるのではないかと不安を口にする。

「心配ない。むしろ我々に責任がある。今まで君たちをほったらかしにしてきたことの罪滅ぼしをさせてほしい」

捜索隊の責任者はそう言って頭を下げた。

「二人共聞いた? そういうことよ」

ヴァネッサはすべてを受け入れた。だがアレンとグージェスはまだわだかまりがあるようだ。

「俺たちはここでの生活しか知らない。果たして暮らしていけるのか? そもそも受け入れてもらえるのか」

「なるようにしかならないのかもね。だけどここにいるよりかは……」

「そうかも知れないが……」

3人の会話はそこで途切れる。3人ともここから離れる事に不安があるのだ。導師も捜索隊のメンバーもその様子をただ黙って見ている。

「行きなさい。私達のことよりも自分たちのことを考えなさい。貴方達はまだ生きている。生きているのなら……。貴方達には未来がある。生きている限り……」

3人の耳にそう囁く声が聞こえた。それは3人に旅立つを促すようであった。

「父さん、母さん……」

アレンとヴァネッサの目にはそれぞれの両親の幻影が見えていた。

「グージェス、お前には親はいなかったから見えないだろうが……。俺たちには見えたんだ。行こう。未来を探しに。お前も一緒だ。3人なら大丈夫だ」

三人は旅立ちを決意した


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