case.1 歪んだ愛と呪いの欠片⑧
「じゃ、簡単な取り調べするわね」
瀬名の質問に簡潔に話す安藤と、それに細く説明をする美咲というやりとりが数十分続き、その内容を後ろの書記が書き連ねる。
ある程度まとまったところで、
「悪いね山内くん。ちょっと個人的な話なんだ。出てもらえる?」
「はい!」
おそらく後輩であろう山内と呼ばれる人は部屋を出た。
「さて、ここからは個人的な会話だ」
「あのー、私も席を外した方がいいですか?」
おずおずと手を挙げる美咲に、安藤へ指示を仰ぐ瀬名。
安藤は大きく溜め息をついて、同席の意を示す。
「なるほど、信頼はしてるのね。まぁいいわ。美咲さんは少年のことどこまで知ってる?」
「ほとんどなにも知りません!」
「お、おう」
予想外の反応に瀬名も驚きを隠せない。
「無視してください。隠してもどうせバレますし」
「どういうこと?」
「条件があるものの、人の考えが見えるみたいなんです。それに僕の《言霊》が効きません」
「それは興味深いね。ならいい。でも少年も美咲ちゃんも他言無用で頼むよ。少年の子供の頃の話だ」
瀬名は彼女の知りうる限りの安藤の過去を話した。
子供ながらの軽はずみな言葉で人を殺めてしまい、当時の世間の反応。そしてそれが招いた子供の心を踏みにじるマスコミや周辺。
美咲はそれに驚きや憐れみといった感情を一切見せず、ただ真剣に話を聞いていた。
「」