case.1 歪んだ愛と呪いの欠片⑥
(確かにおかしいな)
「それにここの扉スライド式で鍵は掛かりません、縄跳びで縛った程度では簡単に開けられます。となると扉を開けられないようにしておかないといけない」
「でも、それだと、、、、待てよ」
(だとすると、殺害されたのは犯人が部屋から出たあと殺害したことになる。そんなことできるのか?)
何の外傷もなく、壁1枚隔てた場所から相手を殺害する。
「ちっ、」
舌打ちを漏らす。
それはまるで、安藤が持つ不思議な力のようだっだ。
だが、そんなものはありえてはいけない。
「見えてきましたか?安藤さん」
「僕は普通の高校生だ。どこぞの探偵の孫でも、悪の組織の薬で小学生になった高校生探偵でもない」
「では、解けないと?」
「いや、おおかたの目星はついたよ。でも追い詰めるのには少し弱い。ありきたりな『死際の言葉』でもあれば話は別だけどな」
ご都合展開など、そうはありえない。
名探偵が居合わせたり、犯人を追い詰めるための血文字なんてありえない。そんな体力があるなら現代なら携帯もあるし、第一犯人が隠滅してるだろう。
いまある証拠だけで特定するしかない。
「安藤さん、」
「分かってる。あと1つでもいいから何か欲しい。こじつけでもなんでもいいから」
「それでいいなら、あの人の持ってる者おかしくないですか?だって、この学校って」
「え?」
美咲の指摘を受け、全員を見る。
すると、1人だけこの学校でありえないものを持っていた人物がいたのだ。専門の業者が入り、作業している道具を何故か持っている人物。
「やってみるか」