case.1 歪んだ愛と呪いの欠片④
やや慣れ始めた授業のダルさから解放され大きく背伸びする安藤。
出された課題のための教科書だけをしまった薄い通学鞄を背負い立ち上がろうとした瞬間、
「安藤くん、どっか遊びにいかない?この学校どこも普通だけど、清掃は専門の業者がやってくれるから私達そのまま帰れるし」
「ん?」
最初に質問してきたクラスメートの宇佐美春風だ。
入学早々、クラスカーストの最上位に君臨し誰とでも仲良くなれるという異常なコミュニケーション能力を持った超人。
彼女の背後には既に3人程待機して事の行く末を見守っている。安藤をクラスの輪に溶け込ませようとしているのだろう。
「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」
「あ、その前に授業で忘れ物しちゃったから音楽室寄ってくるね。校門で待ってて。ちなみに二人きりだから」
「分かった、、、、、え?」
宇佐美の発言にそわそわしながら校門に到着した安藤。
「からかわれたか」
音楽室に荷物を取りに行ったにしては遅い宇佐美。
とてもそんな性格には見えなかったが、人は見た目では判断できないなとスマホを取り出す安藤。
「安藤さーーん!!!」
そんな安藤に声が掛かる。
だがそれは期待していた人物ではなく、むしろ逃げ出したくなるほど聞きなれた声だった。
「どうしたんですか?校門でボケーっと立ってるなんて。まさかデートですか?放課後デートですか?」
「違う。クラスメートと遊びにいくんだよ」
「はて?そのクラスメートとやらはどこへ?」
わざとらしくキョロキョロとジェスチャーする安藤。
「うわぁ。とても女の子に向けていい顔じゃないですよ」
「美咲さん、結構暇なのか?」
「私だって忙しいんですよ。えっと、、、、、そう助手探しとか」
「絶対いま考えただろ!だいたい、なんの助手だよ」
「探偵に決まってるじゃないですか。この世のあらゆる摩訶不思議な現象を解き明かす。ロマンがないですか?」
ふぁーと両手を広げて宣言する残念系美少女。
見た目100点を余裕でマイナスまで落としてしまう言動。
神様も外見と内面でプラスマイナス0にしたかったのだろうか。
そんな端から見れば賑やかな空間。
ーーーーーーそれが突如壊れた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」