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午後からのケースバッティングはボロボロ。
皆、この場合にどこに投げたら良いのか、どのタイミングでどこにカバーに入れば良いのか、結局ほとんど身につかないままサインの確認に移った。
サインは簡単に、盗塁、エンドラン、待て、バント、スクイズだけにしたが、案の定みんなちんぷんかんぷんである。そもそも半数がスクイズを知らなかった。
「……大丈夫かなぁ。何か理弁和歌山さんに申し訳ねえよ」
長い練習を終えてみんなで夕食を囲っている時、副島は隣の藤田に不安げに話しかけた。
「大丈夫じゃないですか? ほら」
藤田が辺りを指差す。
道河原が炊飯器ごと飯を食らい、月掛や蛇沼、桔梗がわいわいと騒いでいる。既に食べ終えた桐葉が正座して瞑想に耽っている横で、白烏と滝音はピッチング談義に耽っている。
まったく……忍者ってやつは畏れを知らないらしい。
「ふっ、頼もしいやつらだな。ま、明日めためたにやられて、こいつらがどうなるか、やけどな」
「そうっすね。僕もやるだけやってやりますよ」
「おう、今まで実戦やらせてやれんくて、ごめんな。明日は久しぶりの実戦楽しもうぜ」
「はいっ! 頑張ります! 桔梗さんのために……」
「…………」
とにもかくにも、明日は初めての実戦。ボコボコにされるかもしれない。だが、苦労して集めたこの仲間たちは相手がどこだろうが、何かやってくれそうな気がする。
「へっ、ワクワクしてまうぜ」
副島は美味そうに白飯をほおばった。




