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甲賀忍者、甲子園へ行く[地方大会編]  作者: 山城木緑
9. ショート 桐葉刀貴
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9

 ──剣道場に明かりは灯っていないのに、洟懸地杏葉螺鈿太刀が光った気がした。三人ともがそのわずかな光をしかと見た。


「へえ、副島、そんなんだったのか。見直したな。俺もただの野球馬鹿だと思ってた」


「あぁ、何だろうな。不思議とあいつには惹かれるところがある。やるからには俺らであいつの目指す甲子園に連れてってやろうぜ」


 洟懸地杏葉螺鈿太刀の上で三人は手を重ねた。


 翌日、洟懸地杏葉螺鈿太刀は博物館へ寄贈され、刀貴は一度、刀の道への歩みを止めた。だが、いつか父上の仇は取る。外の世界を見て、いずれまた刀を握る時が来る。その時は必ず……。


よく晴れた5月最後の金曜日。グラウンドいっぱいを使わせてもらえる野球部は、まっさらな空へ大きな声を出してグラウンドへ一礼した。真っ白なユニフォームに着替えた桐葉刀貴がみんなの前に出る。


「3年2組、桐葉刀貴。必ず甲子園へ行けるよう力になりたいと思う。よろしく」


 甲賀高校野球部の甲子園を目指す物語が、ここでスタートラインを切った。


「よおし、これで9人。この9人で甲子園目指そうぜ」


「おお!!!」


 高らかにナインの声が響き渡る。グラウンドを譲ったサッカー部やラグビー部の面々が校舎から野球部を見下ろしていた。「副島ぁ、良かったなぁ」そんな声も聞こえた。


「ほんでその前に……」


 副島が円陣を組むように集めて、みんなの目を見て話し始めた。


「明日、明後日、合宿するから。明日6時に校門集合な。明日から野球づけだ」


「えーー」


 月掛充がマジかよーと声を出した。


「あったり前だろ。こんなド素人軍団でどうやって甲子園行けるんだ。今日から必死にやるぞ。いいな、みんな」


 おお!!!

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