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甲賀忍者、甲子園へ行く[地方大会編]  作者: 山城木緑
7. ファースト 道河原玄武
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2

 まわしを締めるには抵抗があったが、獅童から理由を聞かされた玄武は奮起した。伊賀者には負けない。日本一の力を誇るのは獅童であり、その息子の俺だ。


 いざ相撲を始めると、忍ぶことなどどこへやら、獅童も玄武も相撲大会があれば全国どこへでも飛んでいき、次々と大会のトロフィーをかっさらっていった。


「やっぱ俺らの力に敵うヤツなんかおらんな」


 玄武が玄関所狭しと並んだトロフィーを見て言った。


「いや、玄武よ。まだ龍造寺のところの謙信とあたっておらん。次の全国小学生相撲大会が本番やぞ」


 玄武は笑みを呑みこみ、こくりと頷いた。


 既に滋賀県代表は決めている。全国大会、三重代表として出てくる龍造寺謙信との決戦に備え、朝から晩まで稽古に挑んだ。


 いざ、全国小学生相撲大会。


 運命のいたずらか。玄武と謙信は違う山に入った。合いまみえるは決勝となる。


 玄武は既に人を越えた握力と背筋力で、次々と相手を得意の吊り出しで沈めていく。反対の山では謙信が得意の上手投げで、豪快に相手を土俵に倒していく。


 会場が次第にざわざわと騒ぎ始める。有名な龍造寺謙信にライバルが現れた、と。


 両者が勝ち上がる毎に会場の熱が上がっていく。準決勝ともなると、相手も大きい。その大きな体躯を謙信が投げ飛ばし、玄武は持ち上げた。


「東いぃ、龍造寺謙信くんー」


「西いぃ、道河原玄武くんー」


 互いに勝ち名乗りを受け、土俵際で睨み合う。火花が散った。


 決勝戦


 東から龍造寺謙信が土俵に上がる。玄武はその体躯がほぼ同じであることを確認した。これまで幼い頃からずっと鍛練を積んできた。目立ちたがりやの伊賀者に負けるはずがない。ゆっくりと玄武は西から土俵に上がった。


 観衆の声が土俵に集まってくる。行事がそれを制するように、軍配を上に上げる。それに合わせて観衆が静まっていく。とても子供同士とは思えない緊迫感が土俵を包む。その空気は大相撲の横綱同士による取組となんら変わらなかった。


 見合って……はっけよい…………のこったぁ


 どんっ!!!


 互いの身体が土俵中央でぶつかり、その音と衝撃で空気が揺れた。観衆の誰もがのけ反った。


 謙信がまわしを取る。得意の右上手に持ち込む。下手から玄武が両まわしに手をかける。玄武が胸を寄せるが、謙信はそれに合わせて投げを打つ。玄武が、右足に力を込めてそれに耐える。


 攻防が中央で続く。土俵中央から湯気が立ち昇る。

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