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大人のほとんどが避けていく。怖れていたと言った方がしっくりくるのかもしれない。
それを感じたのは、幼稚園でお遊戯会の練習をしたときだ。全員の台詞と動きを、先生の見本を一度見ただけで覚えた。
「違うよ、かいとくんはここで前に出るんだよ」
「あ、違う違う。ななこちゃんはここまで出てきてから、おいしーって両手を広げるんだよ」
滝音鏡水がそう指導していると、先生は困ったように言った。
「きょうすいくんは自分のことをしようね。教えるのは先生たちがやるんだから」
先生たちの眼は怯えていた。今でも、いや、鏡水は一生その目を忘れることがない。
ぼくはほかのこどもとちがうんだ。
ぼくはみんなとちがってこわがられるんだ。
鏡水の頭脳は大人たちを困らせた。そんな幼少時代を過ごした。
それでも中学に上がる頃には、怖がられるなんてことはなく、頭脳明晰な生徒として教師から褒められることが多くなった。
自分が悪いわけではなかった。そう胸を撫で下ろした。
一方で、溜まっていた鬱憤からか、この頃から記憶できないというクラスメイトを馬鹿だと見下し始めた。
まだまだ脳は有り余っているじゃないか。何故使えないんだ。いつも立たされたまま答えられない同級生たちの姿は、鏡水にとっては不思議でしょうがない姿であった。
後に白烏結人と桐葉刀貴と出会うまで、滝音は独りで勉強に勤しんで少年時代を過ごした。




