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私、イセカイで冒険者やってます!(旧題:私、ソロで冒険者やってます。)  作者: 青咲りん
第一章 私が卒業するまで。 ゴブリン侵攻編
42/47

私、スネ子になる。

一ヶ月くらい更新停滞してて申し訳ありませんでした!

これからもこんなことかあると思いますが、どうかご容赦くださいますよう、お願い致します。

 今回の戦いで、私には試したいことがあった。


 メイジ同士の戦闘において重要なのは、その個人の持つ魔力の総量だけではない。

 いかに相手の魔法を回避し、いかに早く魔法を発動させて、いかに正確に的に当てられるか。


 私の場合、魔法の回避に関しては隠蔽スキルや分身による撹乱でなんとかこなせる。

 だが、術式の速記に関してはちょっと自信が無い。

 というかそもそも、動きながら術式を羅列させることに慣れてないから、どうしても戦闘中に魔法を発動させるのはどうしても不得意になる(やってみればわかるけど、走りつつ攻撃を避けつつ、指先に魔力を集中しながら外国語の文章を空中に書くのってめちゃくちゃ難しいよ?)。


 さて、それではどうするか。

 答えは至極簡単である。


 私は、少し離れたところから勝ち気な笑みを浮かべてこちらに手を向けるサエルミアに注目しながら、頭の中でルーンを組みつつ、こちらもニヤリと笑い返してやる。


(見せてやるよ、私の戦い方を!)


 私は、スッと片腕を振り上げ、『いざ尋常に』と声を張るアルヴィン先生の台詞にタイミングを合わせて足に力を込めた。


「開始ッ!」


 私は、開始の合図と共に振り下ろされる先生の手を横目に、分身をその場に残して隠蔽スキルでその場を離れた。


「《風鎚ウィンドハンマ》ッ!」


「──ッ!」


 次の瞬間、幻影によって作られた私の分身が、彼女から繰り出された風の魔法によって吹き飛ばされ、陽炎のように揺らめいて消える。


 早い。

 さすが努力してきた成果だ。

 だが、そんなことはお見通しである。


「えっ!?」


 驚きの表情を浮かべるサエルミア。

 だが、そんなことをしていていいのか?


 私は彼女が驚いている隙に、すでに頭の中で組み立てていた術式を中空に著し始める。


 しかし一方でサエルミアも驚いたのはほんの二、三秒程度で、彼女はすぐに次の魔法を発動するべくルーンを著し始めた。


 ──が、残念ながらこちらの方が術式を書き終えるのが早い。


「熱っ!」


 私が術式を書き終わり、最後に『完了』を意味するルーンを現した直後、突如として彼女の周囲に炎の壁が立ちはだかった。


 《赤壁レッドクリフ》──いわゆるファイアウォールを作り出す魔法の改造版で、通常『火の壁で防ぐ』という意味のルーン文字の組み合わせで構成される術式を、『火の壁で囲う』に変えることによって生まれる、一種の結界魔法。


 この魔法の効果を相殺するなら、普通は水系統の魔法を使えばいいと判断されがちだが、もしそんなことをすればライデンフロスト現象によって弾き返されるのが落ちだ。


 風魔法も同様。

 逆に燃料となる酸素が増えて、余計に効果時間が延びる。


 なら、相手は何を選択するか。

 答えは土魔法だ。


 ……問題は、相手が水魔法ではなく冷却系の効果をもたらす魔法を使ってきた場合だ。

 私には残念ながら、それに抗えるだけの魔力はないし技量もない。


 なので、発動中の魔法を打ち消される前に、新しい術式を付け加える。


 付け加える術式は、『火の壁から火の玉を中心に向かって放つ』。

 名付けて、《火攻めステイクス》の魔法かな。


 次の瞬間、ドカン!という轟音と共にサエルミアのいたところから白煙が上がった。


 メイジ同士の戦闘において重要なのは、その個人の持つ魔力の総量だけではない。

 いかに相手の魔法を回避し、いかに早く魔法を発動させて、いかに正確に的に当てられるか。


 今回の場合だと、初撃は最初から当てられることを想定して横っ飛びに避けることで回避した。

 魔法の発動速度に関しては、事前に必要なルーンを用意しておいたこと、ついで自分が魔法を放ったタイミングが、相手が魔法を放った直後であること、私の姿が消えてしまったことによる精神的な意識の隙間を誘う誘導などによって上回った。

 そして魔法の正確な射撃は、対象を囲んで外しようのない弾幕射撃を決行することによって、命中率の低さをカバーした。


 正に完璧な作戦と言えただろう。


 壁で囲んでからの《ステイクス》の魔法発動までのタイミングは、正に彼女が術式を編む時間すらなかったかもしれない。


 そんなことを考えながら、立ち上る白い煙の方を睨んでいると、煙の隙間から何やら蒼く揺らめくドームのようなものが見えた。


「……あれは、水のドーム?」


 私が術式を追加するのにかかった時間は、約三秒ほど。

 その間に適切な属性を瞬時に割り出して、適切な系統の魔法で防いだのか。


 あの魔法の術式はたぶん、『水の牢で私を守る』。

 使用するルーンの種類は五種類。

 壁で囲まれたのとほとんど同じタイミングでないと間に合わないはず……いや、そういえば私が魔法を回避したあと何か指を動かしていた気がする。


 ……まさか、見破られてた?


 私は、ぞくりと身を震わせた。


 ……いや、でも相手からはこちらを視認できないはずだ。

 だとしたらサエルミアの攻撃がこっちに当たるはずがない。


 ……でもなぜだろう、なんだか嫌な予感がする。


 そう思った直後だった。


 彼女の展開していた水のドームが、徐々にその半径を広げ始めたのだ。


「嘘だろ、全範囲攻撃かよ!?」


 全範囲攻撃。

 それは、言わずと知れた回避不能な卑怯技。

 対象が逃げうるあらゆる範囲に対してダメージ判定を行うことで、防御系のスキルや魔法以外では対処することが不可能なものだ。


 いくら隠蔽スキルで姿が見えなくなっているといっても、ここで何か防御系の魔法を放てば直ぐに場所が割れる。かと言っても自分の魔力残量的にもダミーを配置する余力もない。


 私は歯噛みをすると、自分の姿を隠すことを諦めて防御魔法を使うことを選択した。


『護れ』


 高質化した魔力の壁が、ドーム状に展開して津波のごとき水流を防ぐべく立ちはだかる。

 だが、私としてもこのままみすみす相手に次の手を打たせる訳にはいかない。


 私は《防壁シールド》を展開したままサエルミアに突っ込みながら、次の術式を構築した。


『焔よ』


 回転しながら迫る濁流を潜り抜け、私は焔の塊を腰だめに構えながら突進する。

 彼我の距離はもう数メートル。

 この距離ならもう彼女も新しく術式を組む時間もないはず。


「勝っt「待ってたわ!」


 ──不意に、サエルミアが白い歯を見せながら勝ち誇った笑みをこちらに向けた。


「ッ!?」


 あと一歩。

 あと一歩で彼女にこの焔撃をぶちこんで見事勝利を納められる、そう確信した直後だった。


 私が彼女に近づくために踏み出したその足元の石床が一瞬光ったかと思えば、巨大な氷柱が突き出してきた。


「げぼお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?」


 あまりにも突然な事象に反応しきれなかった体は、見事にその突き出してきた氷柱に腹を殴られて中空へと舞い、そのあまりにも予想外な衝撃に脳が揺れたのか、私は気を失った。


⚪⚫○●⚪⚫○●


(´・ω・)「げぼお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?」

(゜o゜(☆○=(-_- )゛殴。


⚪⚫○●⚪⚫○●


「ほんっとうにごめんなさい!

 まさか、こんなことになるなんて思いもしなかったから……」


 時は放課後。

 ホームルームを終えて他の生徒たちが教室を後にする中、窓際の席に小さな集団ができていた。


 そして、帰っていく生徒たちは何故か(いや、理由は何となく想像がつくのだが)クスクスと笑いながらこちらを横目に見て去っていく。


 ……私は気は長い方だけど、こればかりはどうしようもなく耐えられそうにない。


 私はぷくりとほほを膨らませると、両掌を合わせてこちらに頭を下げるエメラルドグリーンのツインテハーフエルフから目を反らした。


「……まぁ、確かにアレは誰も予想できねぇよ。

 こんな可憐な美少女が、あんな汚い悲鳴をあげるとか」


「ルーク、次言ったら絞めるよ?」


「……すまん」


 言いつつ、目をそらすルーク。

 しかし私は、魔法の実践授業でやらかしてしまった失態をネタにする彼を許すつもりはない。


 私は今、相当機嫌が悪いのだ。


 私は、ぷいっとそっぽを向きながら、自分の両腕を枕にして机の上に伏せた。


 頭の後ろから、二人がため息をつく気配が漂ってくる。


 二人とも呆れているのだろう。

 だがしかし私とてそんなことでへそを曲げることを止めるわけにはいかない。

 もしこのままいじられ続けでもすれば、きっと私はそのストレスに耐えられないだろう。


 今ここで、浅いうちに禍根は断っておかねばなるまい。


 そんな風に私が拗ねていると、不意にルークがこんな提案をしてきた。


「なあ、そんなに拗ねててもどうにもならねぇだろ?

 だったら気晴らしに三人で森に狩りにでも行かねぇか?」


「……狩り?」


 たった一つ。

 そういえばこの世界に来て冒険者らしいことを何もやってないことに気がついた私は、そのたった一つのなんだか面白そうなワードを鼓膜に捉えた私は、ピクリと肩を震わせて少しだけ体を起こした。


「そうだ。

 あぁ言う嫌なことってやつは、大抵体動かしてりゃ治るもんなんだよ。

 だから、俺たちでパーティ組んでゴブリンでもなんでも狩って、気晴らしついでに小遣いでも稼ごうぜ?」


 ルークはそう言うと、私の前に回り込んでニッと口角を上げた。


「……気持ち悪いな、お前」


 こいつってこんなやつだっけ?

 なんかやたら上から目線な印象しかなかったんだけど……なんだろう、ちょっと、いやかなり気持ち悪い。


「んだとチビ?」


「誰が豆粒ドチビだこの野郎」


「そこまで言ってねぇよ!?」


 彼は想定外の反応に狼狽えながらそう返す。


 ……にしても、ゴブリン狩りか。

 この世界に来てから倒した魔物と言えばクリーパーだけで、そういえばまともな魔物退治とかしたことないんだよなぁ。

 ゴブリンならこの世界に来た最初の最初に遭遇してるけど。


 私は、彼の反応に満足そうに笑うと、そういうことならと彼の提案に乗ることにした。


「……わかった。

 じゃあそのゴブリン狩り、私もやるよ」


「お、おう……わかった。

 じゃあ、これから冒険者ギルド寄って、討伐報酬確認してくるか」


 彼はそんな私の反応に戸惑いを見せつつも、提案者として企画の進行を進めるために、私たちを連れてギルドへと足を運ぶのだった。


 ──しかし、この時私たちは、まさかこのゴブリン狩りがあんな事態に発展するだなんて思ってもいなかったのであった。

……ところで全く関係ないですけど、「明けましておめでとうございます」っていつまで使えるんだろうね?

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