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私、ツッコミ役になる。

最初に書いてた分が、r18だと運営側から指摘を受けたのでネタに走りました。

なお、元々のお話はノクターンノベルズにて公開しております。

 どうも。

 冒険者学校の入学式にやってきましたイトーです。

 これから組分けテストがあるので、更衣室へ向かいたいと思います。


 冒険者登録をしたときに貰ったパンフレットによれば、テストは体操着に着替えて行うようだ。

 原則、この学校では体操着(女子の場合はブルマ)の下は下着ではなく水着を着用するらしい。


 理由は、この水着には衝撃吸収機能がついており、生徒の怪我を予防するためだとか。

 そのため、男子用の水着にもラッシュガードがついている。

 ……といっても、別にファスナーで閉めるわけではないらしいが。


 なにもそれを水着にしなくたっていいじゃないかとは思うが、この世界では衣類はそれなりの値段がする。

 いちいち個別に買っていては、学生たちの資金が足りないのだろう。


 着替える側と来れば、毎回裸にならないといけないというのだから……うん。

 これからの体操着着る授業はきっと眼福に違いない。

 楽しみにしていよう。


 そんなことを考えながら歩いていると、私はすぐに更衣室を見つけた。


 うん、間違いない。

 私は、『女児用更衣室』と書かれている絵札のかかった扉を見上げると、迷わずその扉を開けて中に入ろうと少し扉を開けたところで、手を止めた。


 わずかに開いたドアの隙間から、少女の悩まし気な声が聞こえてきたのだ。


「おっふ……///」


 続いて流れて来るのは、妙な水音。


 ……なんだろう。

 聞いていて変な気分になってくるんだけど。


「おっふ……オッフオッフ↓……おっフ↑……おっッ……ふん……っ///」


 くちゅくちゅという、何か水分の多いスライムでも弄っているような音が、尚も扉の隙間から漏れる。

 そして同時に、かすかに鼻腔に漂う甘い匂い。


 ……これは、もしや――。


 私は隠蔽スキルをフルに使いながら、そっと扉を閉めて更衣室の横の壁にもたれ掛かる。


 もし、もしだよ?

 例えばの話、それが本当だとしたら、流石にこのままあのロッカールームに入るのはちょっと気後れする。


 昔のエロい人――じゃない偉い人は言っていた。

 『失敗する可能性のあるものは、いつか必ず失敗する』と。


 つまり、あの部屋で百合の花を愛でている少女がいる可能性があるならば、私は覗くべきじゃないって事だ。

 だってそうだろ?

 誰だって自分が花を愛でているところを他人に見られたくなんてないだろ?


「でも、ちょっと気になる……」


 男なら誰だって、目と鼻の先で女の子が人工受粉させていれば気にならないはずがないだろう。


 私は、迫り来るタイムリミットと葛藤の中でゴクリと生唾を飲み込む。


 あ〜でも、でもなぁ。

 覗いてたのバレちゃったりしたら気まずいしなぁ……。


 ……チラッとだけ。

 チラッと一瞬だけならバレないんじゃね?


 一瞬、そんな思考が過る。


 そろそろ私も早く着替えないといけないし。

 着替えるにしても、体操着に着替えるときは中に水着も着ないとだから一旦裸にならないとだし。

 そうするとくさむらに隠れて着替える、なんて恥ずかしくてできないし。

 第一そんなことしたら『痴女』なんて名前のスキルが付きかねない。

 それだけは絶対に嫌だ。


 ……となれば。


(南無三!)


 私は意を決すると、隠蔽スキルを発動したまま、そっと、そっと音を立てないように注意しながら、更衣室の中へと身を滑り込ませることにした。


 大丈夫だ。

 見つかりさえしなければ何の問題もない。

 別にこれは覗きではない。

 必要なことだ、仕方のないことだ。


 だってテストまで時間ないし。

 更衣室で誰が何をしているかは正直気になるが、それに配慮して時間を使ってしまってはどうなるかわからないし。


 私はそう自分に言い聞かせながら、ゆっくり、静かに、気配を殺しながら更衣室に滑り込んだ。


「……」


 ふと、水音や喘ぎ声がなくなっていることに気がついた。


 静かになる更衣室。

 先程まで聞こえていた幼い少女の艶っぽい、そして悩ましい声は、今や蛇が様子をうかがうかのような気配に飲み込まれて消えていた。


(……これは、ひょっとしなくても入ったのバレた?)


 背中に冷たい汗がドッと湧く感覚がした。

 突き刺さるような視線に嫌な感覚を覚えるのは、その予想があたっていることの裏付けなのか。


 ――私は覚悟を決めると、そっと後ろを振り向いた。


「……」


 するとそこには、糸のように細い金糸を、まるで絨毯のように広げて床にぺたんと腰を下ろしている人形がいた。


「……(ごくり」


 思わず息を呑む。


 細い金髪は乱れてはいるが、枝毛のなさそうなその褪せることのない金の糸は、もうそれだけで一種の芸術作品の様な気配を持っていた。

 また、それを包み込むように、白に薄桃色のアクセントがつけられたショーツが覆うおしりを、更衣室の床にぺたんと下ろしている一糸すら纏わない色白の肉体は、程よく引き締まり、かつ程よい女性的な柔らかさをもっていた。


 その姿を一言で言い表すならば、精巧なビスクドール。

 いつの日か鏡に映る自分を見て同じことを考えたこともあったが、彼女はその更に上をいっていた。


 細く長い、色白の傷一つない美脚。

 太もものやわらかそうな肉に、ぷりんと床に着いた小さなおしり。


 優美なウエストのくびれ。

 華奢な背筋は猫を思わせる妖艶さがあり、流れる金の糸が白い肌に良いアクセントを齎している。


 更に視点が上がる。


 程よく引き締まった、柔らかな弾力を想起させるお腹。

 そしてそのなだらかな胸は、薄桃色の縁取りがされた真っ白なブラが覆っていた。


 ――と、一通りのドレススキャンを終えた私の耳に、可愛らしい美少女らしい声が聞こえてきた。


「おかしい。

 どうしてこんな時間に生徒が更衣室に来ているのかしら。

 今の時間はまさにゴールデンタイム、即ち絶好のオフニータイムのはず……」


 その声は、静かな凪に一滴の雫を落としたかの様な、凛とした響きを持っていた。


「いやいやいや!?

 そこはなんとかして誤魔化そうよ!?

 何を平然とカミングアウトしちゃって――え、今なんと?」


 私の聞き間違いじゃないなら、今彼女は確かにオフニーと言った気がするんだが。


 ……オフニーってなんだよ。


「あら、知らないのオフニー?

 今頃の女の子はオフニーしないのかしら」


 あ、聞き間違いじゃなかったみたいだ。

 ……聞き間違いじゃなかったのはわかったけど――だから何なんだよオフニーって。


「しねぇよ。

 てかオフニーって何だよ?」


「下着姿でひたすら『おっふ』をいろんなバリエーションで発声して気持ちよくなることよ。

 ……まさか、やったこと無いの?」


 私は怪訝な顔をしながら、彼女に返答した。

 すると、彼女は意外そうに――そして若干引き気味に尋ね返した。


「いや、なんでそんなに引かれなきゃなんないんだよ。

 意味わかんねぇよ」


 そもそもなんでそんな事で気持ちよくなるんだよ意味わかんねえよ不思議ちゃんかよ。


「む、心外だわ。

 引かれるようなことを言ったのはあなたの方でしょ?」


「お前だよ!?」


 彼女はそう言いながら、軽く頬を膨らませた。

 赤い瞳の上にある金色の細い眉が顰められて、怒った風を演出しているが、しかしその実怒気を感じないせいか、心底心外であるといった雰囲気は伝わってこない。


 てかなんで俺怒られてるわけ!?

 意味わかんねぇよ何なんだよオフニーって!?


「(てか、心外なのはこっちの方なんだけど……)」


 全く。

 俺の純粋な男心をどうしてくれんだよ。

 てっきり千摺りでもしてんのかと思ったじゃねぇか。


 ……あー、いや。

 そもそものあの喘ぎ声自体がちょっとおかしかったのに、何でそう思ったんだろ俺――私……。


 そういう意味を込めての返しだったのだが、何がおかしいのか。当の美少女はそんな私を見上げてニヤニヤと笑った。


「……ねぇ、あなた。

 もしよかったら、初オフニー。体験してみるかしら?」


 美少女はからかう様に笑うと、そんな様子の私をさぞ楽しそうに見上げながら、その場に立ち上がった。


 起立したときの身長は、私とほぼ同じくらいだった。

 私のほうが少し背が高い程度か。

 立ち上がったことで、彼女の紅い瞳がよく見える。


 そうして彼女は、その瞳に私の姿が映っているのがはっきりとわかるほど近づいてくると、ニヤニヤ笑いをそのままに、私の後頭部に手を添えた。

 そう、ちょうど抱え込むような形で。


「……あなた、かわいいわね。

 まるでお人形さんみたい」


 美少女は私の髪をサラサラと撫でると、その手をゆっくりと肩、首へと這わせて、やがてその細い指で私の顎をクイッと持ち上げる。


「これならさぞ、気持ちいいオフニーができるでしょうね……」


「なんでだよ……」


 自分よりかわいい娘からかわいいと言われるのは些か複雑な気分だ。

 ……けど、ちょっと嬉しいかも。


「ま、断然私の方が上手だけど」


 ……なんだろ。

 この娘、私にどういう感情を与えたいのかよくわかんないんだけど。

 今のところ困惑しか出てこないんだけど。


「……でも、そうね。

 キュートさは私の方が万倍上だわ」


「……あぁ、そう」


 ……なんか、オフニーの威力がでかすぎてどうでも良くなってきたわ。

 もう頭の中こんがらがり過ぎて何をどう感じてるのか、もう自分でもわかんねぇよ。


「あら、反応薄いわね?

 私よりオフニー下手そうなのがそんなにショック?」


「ちげぇよ、なんでそこでオフニー……?が出てくるんだよ?」


「あら、オフニーの上手さは女のステータスなのよ?」


「初めて聞いたわそんなステータス!?」


 なんなのこの世界。

 おっふをいろんなバリエーションで言うことになんでそんなこだわるんだよ!?

 ある意味怖いよ、ホラーだよ!?

 ジャンルで言えば幽霊系とかじゃなくて未知とかそういう類の恐怖だよ!?


(はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……)


 あー……心の中で突っ込んでたら、もうそれだけで疲れてきたわ。

 何なのこの娘。

 オフニーって何なんだよ……。


「おかしいわね。

 巷ではオフニーが上手いほど美人になれるっていうのよ?」


「私の故郷にはそんなのありません」


「……これ、発祥シュノークローゼンなんだけど?」


「……」


 何やってんだよシュノークローゼン。

 てか、その国の名前度々聞くけど、ほんと何してる国なわけ?

 変人大国なの?何なの?何してる国なの?


 私は一度盛大にため息をつくと、心の中を落ち着かせた。


 ……これはアレだな。

 帰ったら早急にシュノークローゼンについて調べないとだめだな。


 書店に行ったらなんかそれっぽいの置いてるかな。


 それはともかくとして。


(そういえば、今でどれくらい経った?)


 ふと、現実逃避気味に思考が脇道にそれたことで思い出した事態に、少しだけ焦りを覚えた私は、そろそろ開放してもらうようお願いすることにした。


「あの、私早く着替えて組分けテストに行かないといけないんだけど。

 そろそろ離れてくれない?」


 美少女に抱きつかれるのは嬉しいけど、そろそろ本当に準備しないと時間が怖い。


 私は密着状態にいる彼女を渋々引き剥がすと、彼女から離れてロッカーに向かおうと足を向けた。


 すると彼女は、そんな私を引き止めるように、振り向いた私の背中に声をかけた。


「オフニー、体験しなくてもいいの?」


 言って、突き放された体を再度私の背中に密着させた。

 そして、その手は私の胸元のボタンに手をかけた。


 ――パチリ、とボタンが外れ、シュルシュル……とリボンが解ける。


「ッ!?」


 もう片方の手が紺色のプリーツスカートのホック野良近くで蠢き、ツーとファスナーを下ろす音が、やけに大きく響いた。


 チロリ、と舌なめずりする金髪の美少女。


「するの?

 しないの?」


「しねぇよ。

 誰がそんな意味わかんねぇことするんだよ」


 私は元は男性だ。

 故に、美少女に服を脱がされることに変な快感を覚えないといえば嘘になるだろう。


 ……だがしかし待たれよ。

 よく考えるんだ諸君。


 今ここで彼女に服を脱がされればどうなるのか。


(絶対オフニーなんかするもんか)


 確実にヤラされるに決まってる……!


 私は体に巻き付く美少女の腕を払いのけると、進行方向とは別なロッカーへと移って制服を脱ぎ始めた。


「……残念だわ。

 でも覚えていて。

 オフニーはとっても気持ちいいのよ!」


 芝居がかかった喋り方で、強くオフニーという謎行為を勧める美少女。


 ……なんでコイツはこんなにオフニー推すんだろ。

 そんなにオフニーオフニーとか言われると、本当に気持ちいいのだろうかって考えちまうじゃねぇか。


(……おっふ……おっふ……おっふ↑)


 恥ずかしいので、試しに心の中で呟いてみる。

 ……が、どうにも馬鹿らしいという感想しか出てこない。


 所詮は10歳程度の子供が考えるような、変な遊びってところだな。


 私は彼女の異常なオフニー推しをそう解釈すると、自分のバッグの口を開いて、中に脱いだ服を詰め込もうとした、その時だった。


「……そんなにオフニーが嫌なら、一度教会で診てもらうことをオススメするわ」


「……おっふ」


 ――訂正しよう。

 これはもはや何かの病気だ。


 私は、とてつもない衝撃のあまり、そう呟いてしまうのだった。

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