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待ち伏せってやってる方は真剣なのだろうが端から見るとマヌケだよね・・・はい、今の僕達の状態です。
皆はアドレナリン出まくりのテンションアゲアゲの為、全然気にならない模様ですが、冷めきってる僕としては道を見下ろす藪の中でじっとしている事に全く意味を見いだせません。
何より虫とか苦手何ですけど・・・
私が虫を手で追いながら、心の中で愚痴っていると、凶四郎君から声が上がりました。
「皆、奴等が来たぞ!」
確かに下の道を見下ろすと何の警戒もせず楽しそうに話ながらやって来る子供達が見えました。
「阿保共め、良いか真下に来たら突っ込め!」
凶四郎君の言葉に皆が頷きます。
"行け~突撃~!"
凶四郎君の掛け声を合図に皆が大声を上げながら藪の中から飛び出しました。
僕?
僕だって飛び出しましたよ、それもいの一番で。
もうさっきから虫とか寄ってきて辛くてマジでムリ、僕は坂下に居る子供達に突っ込みました。
彼等は完全に油断していた見たいで皆して固まっていました。
僕は勢いに任せてその内の一人に飛び掛かり押し倒しました。
一応武器は持ってはいますが、隣村の子供に刃物を向ける訳にはいきません。
間違って斬り殺しちゃった日には村をあげてのお祭り(せんそう)になっちゃいます。
仲間の多くは枝打ちした棒で殴りつけてますが、僕としてはそこまでしたくありませんでした。
そこでタックルの後はひたすら抑え込み争いが終わるのを待ちました。
元々が人数に差は無い上に完全な奇襲です。
結果はあっという間に着きました。
うちの村の子供達は倒れた子等の周りで大喜びをしています。
そんな中、大五郎君がニコニコしながら僕の所に来て言いました。
「重五郎君やったね、一番乗りの上に敵の大将襲っちゃうんだもん、少しは僕にも取っといてよ。」
・・・ハァ?
僕は抑え込みを外して見るとそこには泡を吹いて伸びている女の子が・・・
確かに彼女は隣村のガキ大将、ワルガキ達のアイドル鈴ちゃんです。
僕が驚いていると、凶四郎君も笑いながら近づいて来ました。
「重五郎、そろそろ赦してやれよ、マジで死んじゃうぞ。」
その言葉を聞いて僕は慌てて飛び退きました。
何かこの子、息して無いんですけど・・・
どうやら僕は鈴ちゃんを完全に絞め落としていたようです。
僕は慌てて皆に向かって叫びました!
「誰かお医者様はいませんか!」
その瞬間周りの居た子供達は大爆笑してました。
この非常時に何を笑ってるのさ!
僕が怒りを爆発させようとした時、大五郎君が笑いながら言いました。
「何言ってるの?
重五郎君はヒーラーじゃ無いか、僕達の中で唯一のヒーラーが医者探すってどんなギャクなの?」
・・・パニクッて忘れてました。
僕は多少ながら魔力があり初級のヒール位なら使えるんでした。
僕は急いで体内の魔力を使い回復魔法を使いました。
少しすると鈴ちゃんは意識を回復して起き上がると自分達の状況を理解しました。
鈴ちゃんは歯軋りをしながらゴブリンの巣から奪った物を僕に渡すと、一言もらしました。
「この借りは必ず返す。」
私としては心の底から忘れて下さいと言う思いを込めて小声で言いました。
「早く帰ってパンツ取り替えて下さいね。」
大変残念な事に鈴ちゃんは絞め落とされた際、少々お漏らしをしてしまった様でした。
震える鈴ちゃんは振り返ることなくその場を去って行きました。