④ 舞踏会潜入!
~④~
快適空間と化したカボチャに運ばれたクーデレラは、お城の中庭へと到着しました。
お城の壁も、数千匹のネズミたちがひとつの生き物のように動けば乗り越えられます。
クーデレラがカボチャから出て地面に降り立つと、残ったカボチャはネズミたちによって跡形もなく食べ尽くされました。
そしてネズミたちは中庭の茂みへとバラバラに散って、影も形も見えなくなります。
「いい子たち。隠れててね」
クーデレラは呪文を唱えて、周囲に幻影を張りました。
これで彼女の姿は誰にも見えません。
裸マントの姿を見られることはありません。
ただ、この魔術の欠点は自分では確認できないことです。
ほんのちょっぴりだけ不安でした。
息を吐いて、吸って。
クーデレラは城の中へ入っていきました。
番兵の前を通り過ぎます。
クーデレラは舞踏会の開かれる会場へ向かいました。
目的は――
末の姉のシシルと、王子の仲を取り持つことでした。
●
舞踏会の会場は、お城の中でも一際大きな広間です。
クーデレラは運ばれてくる料理をちまちまつまみ食いして過ごしていると、来賓が大勢やってきました。
位の高い貴族の皆様方です。
しばらくするとクーデレラの継母たちもやってきました。
継母や上の姉たちは、あたりをやたらきょろきょろしたり、料理に生唾を呑んだり、他の貴族たちと比べて田舎者丸出しでした。
まあ、それはどうでもいいことです。
そんな継母たちの後ろで、恥ずかしそうに縮こまっている少女がいます。
シシルです。
舞踏会用に着飾ったシシルを見たクーデレラは――
はふぅ~。
うっとりとため息をつきました。
あやうく姿隠しの幻影が解けてしまうところです。あぶない、あぶない……
国王が現れて挨拶をすると、舞踏会が始まりました。
演奏家たちが音楽を奏で貴族たちが優雅に踊り始めます。
クーデレラは壁の隅でモグモグとチキンを頬張っていました。魔術を維持するにはカロリーを使います。エネルギー補給は必須です。
そうしていると、ついに目的に人物が現れました。
王子です。
つづく
予定より少し長くなりそうです。次回更新は明日の予定です。