表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/6

② クールではいられません。

   ~②~


 その気になれば継母の精神を操り、裸で逆立ち城下一周をさせることもできるクーデレラ。当然、現在の立場にあまんじているのには理由があります。

 魔術に使う植物に水をやりに、ジョウロを手に裏の畑へ向かたところで――


「あれ? クーちゃん?」


 クーデレラは声をかけられました。

 振り返ると、花のような笑顔を浮かべた少女がクーデレラのもとへと走り寄ってきます。

 彼女は、3人いる義理の姉たちの1人でした。

 末の姉です。

 軽く跳んで、クーデレラの前にぴょんと着地してきました。


「いつもありがとう、クーちゃん!」


 クーデレラは、屈託のない笑顔から目をつっとそらします。


「……貴方にお礼言われる理由はないと思いますが。シシル姉様」

「でも、家のことをいつもやってくれるのは、クーちゃんだもん」

「……言いつけですから」

「だから、ありがとうだよ!」


 末の姉――シシルの言葉に、クーデレラはうつむきました。

 その耳は真っ赤になっています。

 シシルの前でクーデレラはクールではいられません。


「でも、つらかったらいつでも言ってね? あたし、クーちゃんのためなら、母さまや姉さまにもガツンと言ってみせるから!」


 むんっ、と顔の前で握り拳を作るシシル。


「……ありがとうございます。シシル姉様」


 クーデレラはうつむきました。

 隠した口元を、そっとほころばせます。

 末の姉のシシル――

 彼女の存在がクーデレラの《理由》なのでした。

 弱い立場でいれば、こうして気にかけてもらえるのです。



                             つづく

次回更新は明日です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ