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① 黒魔術を使えます。

ソフトゆり、かも?

  ~①~


 昔々あるところに、クーデレラという見目麗しい少女がおりました。

 クーデレラは、その美しさゆえ、継母と三人の義妹たちからひどい仕打ちを受けておりました。主に家事を押しつけられたりです。

 しかし、彼女はちっとも苦ではありませんでした。

 答えは簡単です。

 すべてはクーデレラの計画の内だったのです。


「クーデレラ! クーデレラ!」


 城下街の外れにある森の近くの一軒家で、クーデレラの継母が彼女を呼びました。

 天性の才能で覚えた黒魔術。その力で支配したネズミたちに風呂桶の掃除をさせていたクーデレラは、継母の声を無視します。


「ちょっとぉ、なんで来ないのよ! ――ひいぃぃい! なんなのよこのネズミィ!」


 いつまでも声に反応しないクーデレラに、継母は業を煮やして風呂場に行きました。そこでうごめく大量のネズミを目撃してしまって腰を抜かしまいます。

 尻もちをついた継母を、クーデレラはネズミたちを退散させると、静かに見下ろしました。


「なんでしょう。お義母メスブタ様」

「はああ!? ちょ、はああ!? 誰がメスブタよぉ!」


 目を剥いて叫んできた継母に、クーデレラは小さく吐息をつきます。


「いいえ。お義母様。私はたしかにお義母様とお呼びしました。メスブタとそう聞こえになったのであれば、それはお義母様が無意識に自分のことをメスブタだと理解しているからです。賢いですね」

「あら? あらあら? 賢い? そ、そうかしら……アンタもわかってきたじゃなぁい」

「まさしくメスブタ並の知性です」


 クーデレラの巧みな話術ですっかり気分をよくした継母は、今夜お城で舞踏会があること、自分と娘たちが招待されていることをぺらぺらとしゃべりました。

 しかし、招待状が来たのはもう一ヶ月も前のことです。

 クーデレラは同じ自慢話を毎日のように聞かされてうんざりでした。

 継母の最後の台詞が「アンタはお留守番だけどね!」であることも知っています。たまには「真実はいつもひとつ!」とでも言えばいいのに、となんとなく思うクーデレラです。


 ともあれ、同じ話を何度も聞く趣味はクーデレラにはありません。

 そもそもこの貧乏貴族でしかない家に招待状が届くように手配したのはクーデレラです。


 クーデレラは魔術で自分の幻を作り出すと、ぺちゃくちゃとしゃべる継母を残して、風呂場を後にしました。



つづく

二話は明日更新予定ですー。


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