流れついた気持ち
車窓から見える景色はとても懐かしく見えた。
たった数日だというのに乗客の服装も変わったように思える。
連休も終わり、代わり映えのしない高校生活が帰ってきたのである。
けれど、登校につかうこの電車から見える風景だけは嫌いになれなかった。
流れていく風景。こうしているうちにすぐ駅へ着いてしまうんだろうな。
まだ半分寝ぼけた頭でそんなことを考えていた。
だんだん狭くなっていく車内でつり革につかまりながら、昨日のことを思い出す。
謎のメール、原因不明の頭痛。
そしておかしな電話。
あれ?そういえば、電話の相手は誰だったっけ?なにを言ってた?
そもそも電話なんてあったのか?
深く考えようとすればするほど、頭の中の白いモヤが邪魔をした。
すごくイライラした。
でも、友達相手に怒ったときとは少し違うような…。
瞬間、映画のシーンが素早く切り替わるように、心の中でなにかがはじけた。
たくさんの映像が頭の中を駆け巡る。それは思考が追いつかないほどの量と速さだった。
とても長い時間に感じる。
まるで本当に目の前を通過しているかのような映像を追っていると、音が聞こえた。
どこか現実味のない音。いや、声?
誰かがこちらを見ている。
そう感じた。
気がつくと映像は止まって、「誰か」だけを映している。
誰なんだ?確かめたいと思った。
だから心の中でめいっぱい手をのばした。
しかし、いままで鮮明だった映像は急にかすれるように消えていく。
あせって口を動かしたが、声はでなかった。
消える瞬間、「誰か」の口元も必死になにかを伝えようとしているように見えた。
それと同時に、昨日の視界が揺れるような頭痛が大介を現実に引き戻した。
頭痛は昨日より強さを増している気がする。足元のカバンを軽く蹴飛ばして、ふらつかないように耐えた。
なつかしい…?
そう思った。
そうだ。なつかしい気がする。
でも、それよりなぜか不安で悲しかった。
耐え切れなくなった足が悲鳴をあげてガクガクと震えだす。
つり革を握りしめて目をつぶった。
待てよ、そういえば…。
「次は南森町~次は南森町です」
電車のアナウンスが流れていることに気づいて、大介は我に返った。
高校に行くには南森町で降りなくてはならない。
慌ててカバンをつかんで、人波を押し分けながらドアの前へ急いだ。
その時にはもう、思い出したなにかは頭痛と一緒に白いモヤの中へと消えていた。
初登校なのでわからないことだらけです。あとからいろいろと修正が入ることもあると思いますが、ご了承ください。