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瀬戸内レモンサイダー  作者: 昼間 ネル
第一章 プロローグ

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第1話。石川五右衛門の末裔参上。

かつて安土桃山の空に「絶景かな」と吠えた大泥棒の血は、2100年の尾道にも静かに、そして熱く流れていた。

デジタルなノイズが潮風を汚す現代。アンティークなエンジンの鼓動を相棒に、未来の義賊・内海 哲哉が闇を駆ける。

ターゲットは、悪徳企業に奪われた瀬戸内の平穏。

今、最先端の防衛システムと、伝説の末裔による「命懸けのゲーム」が幕を開ける。

第一幕:月下のハッカー・サムライ


2100年の尾道。月光に照らされた綺麗な海と、点在する島々のシルエット。静寂を切り裂くのは、漆黒のアンティークなハーレーダビッドソン。

「ドドド…ドドドルンーン」


跨るのは、石川五右衛門の末裔・内海うつみ 哲哉てつや。そして彼の肩には、日本語を解し言葉を発する相棒のサル、五右衛門がいた。


かつての隈取りを模したスマートグラスのホログラムが夜闇に浮かぶ。レザージャケットの内側には、特殊合金製の伸縮自在なキセル型タクティカルロッド**『煙管(KISERU)』**が静かに牙を研いでいる。

「哲哉、今日の仕事は……何?」

相棒のサル、「五右衛門」の問いに、哲哉は不敵に笑う。

「目的は、悪徳企業に奪われた瀬戸内の気象制御チップ「潮の玉」の奪還だ。」


第二幕:要塞島・ワニワニ・システム


ターゲットは、因島沖に浮かぶ洋上プラント。

海から潜伏、潜入した五右衛門を待ち受けていたのは、最新の自律防衛システム、コードネーム**『W.A.N.I.(Water-Area Network Interceptor)』だった。


「ふん、古臭い警備兵よりは骨がありそうだ」

五右衛門が床のセンサーを踏んだ瞬間、周囲のハッチが高速で展開。


中から飛び出したのは、カーボンファイバー製の「戦闘用ドローン・ワニ」


ガシャン、ガシャン

それらは不規則なリズムで床から突き出し、高周波ブレードの牙で五右衛門を切り裂こうとする。


第三幕:タクティカル・ワニパニック


「叩いて、壊して、ハックしろ……か。悪くないゲームだ」

五右衛門はスマートグラスを起動。ワニの出現パターンを0.1秒単位で解析する。

「キセル、展開デプロイ。」

背中のロッドがガシャリと伸び、炎を纏った警棒へと変形した。


五右衛門は、まるでダンスを踊るような流麗な動きで、穴から飛び出すドローンを次々と撃破していく。

「ピコォォォン!」という電子音が響くたび、ワニの頭部が火花を散らす。


同時に三体出現する「トリプル・ワニ」に対しても、五右衛門はバク転しながらロッドを一閃。

「フッなるほど、リズムだ……瀬戸内の鳴門のリズムを刻め!」


五右衛門の動きは加速し、ブーツに仕込んた加速ブーツで、回転しながらも中を舞っていた。それは戦闘ではなく、芸術的な打楽器演パーカッションようだった。


第四幕:覚醒・メガワニ・ドラゴン

全てのドローンを無力化した時、プラントの海水冷却プールが激しく泡立った。


システムの最終防衛プログラムが発動する。

海水を取り込み、無数のドローンの残骸を結合させた巨大な怪物——**「海龍型ワニ・エグゼ」**が姿を現した。


「へぇ、最後はボーナスステージってわけか」


五右衛門は不敵に笑うと、ロッドの出力を最大に引き上げた。

プラントの電力をハッキングして吸い上げ、ロッドの先端に炎を纏わせる。


「奥義……絶景・島波ファイヤー・パニック!!」


五右衛門は巨大なワニの眉間に向かって跳躍した。

炎を込めた一撃が、怪物のコアを貫く。

爆発と共に、プラントに静寂が戻った。


朝焼けに染まる尾道の海岸線。

五右衛門は奪還したチップを地元の組合に匿名で郵送すると、自販機で「瀬戸内レモンサイダー」を買い、喉を鳴らした。

「ふぅ……。これが俺の仕事さ、お宝を守るのは一苦労だな」


スマートグラスを外し、素顔を晒した石川五右衛門の末裔。内海 哲哉は、悪党は赦さない正義の盗賊である。

彼は瀬戸内の7つの宝を見つけ出す事が、彼の至上命題なのである。

その背中には、昨晩の激闘など微塵も感じさせない、静かな強さが漂っていた。

「ワニワニパニック」という昭和・平成のレジェンドゲームを、まさか2100年のサイバーパンクな瀬戸内海で「叩く」ことになるとは、先祖の五右衛門も驚いていることでしょう。

アンティークなハーレーの排気音と、最新ドローンの電子音が交差する世界観を楽しんでいただけたなら幸いです。

哲哉が追い求める「残り6つの宝」。その陰には常に、新たな『W.A.N.I.』が潜んでいるかもしれません。

次なる島で、またお会いしましょう。

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