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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
エルフの里帰り編

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112/124

112_偶然の産物も悪くない

第112話です。

前回から三日後の朝、OLは一人でぽつんと座っていた。エルフに叩き出されてしまったOLは、次はいったい何を作るのか?

む、む、むかつく〜〜〜〜!!!!

 

オークの集落に来て三日目、私はイライラしながら薬草の整理をしていた。この集落の近くは自然豊かでたくさんの薬草やポーションの素材が手に入るのは幸いだった。

 

私の苛立ちの原因はあの偏屈エルフ、ビョルンさんのことだ。先程も昼食を持って行った話しかけたら、一言で追い出された。

 

『向こうに行ってろ』

 

取り付く島もないとはこのことだ。彼が何かに焦っているのはわかる。だが、なぜ彼がそうも焦っているのかわからない。

 

きっとこの集落にとって、何かとても良くないことが起こっているのだと予想できる。


 できるが!仮にもビジネスパートナーにそんな、幼い子供を追い払うような態度はないでしょ!?しかもせっかく持って行った昼食も一瞥ずらされずに返却された。

 

今日の朝食も手を付けられた形跡もないし、体力が持つか心配だ。少量でも栄養のつけられるものを食べさせてあげられたらいいんだけど。

 

「って! なんであのわからず屋にここまで気を使わなきゃならないんだっつーの!」

 

私は薬草に付いた土を渾身の力で振り払った。

 

「……仕事しよ」

 

こういうイライラした時はなにか別のことをするのに限る。あとは薬草を水で洗って乾かせば、乾燥ハーブの完成だ。


私は水を汲むために桶を持って、広場に行った。広場にはオークの方々で賑わっていて、いつもとても明るい雰囲気だ。

 

「やぁルナ。お仕事は順調かい?」

 

「こんにちは、バッシュさん。お陰様で順調ですよ」


 広場の焚き火の近くに座っていたバッシュさんが、私に気付いて声をかけてくれた。しかしどこか元気がなくて、私は首を傾げる。

 

「何かあったんですか?」


「あー、ええと……」

 

彼が気まずそうに目を逸らした。手にしている木椀からは灰色のドロドロした半液体状のなにかが溢れていた。


「これ、母ちゃんの飯なんだけどさ、その……」

 

言わんとすることはわかる。でも、決して口に出してはならない。それはお互いに理解できたので、無言のまま頷いた。

 

「これ、うちの里特有の戦士のメニューなんだ。昔から戦士は狩りに出る前はこれを食って力をつけてる」

 

「たしかに栄養満点そうなお粥ですね」

 

「あぁ。母ちゃんもすっごい頑張ってくれて、ここまで食いやすくなったんだよ。でもなぁ……」

 

おどろおどろしい色のお粥を片手に遠い目をするバッシュさん。いくら栄養があるとはいえ、少し…いや、かなり食べづらそうなお粥だ。ジルキさんはとてもお料理上手な人だから、きっととても苦労してここまで漕ぎ着けたのだろうけれど、それでもまだ課題は残っていると見た。

 

「あ、やべっ」

 

バッシュさんの不注意で、ポタっとこぼれた雫が焚き火に落ちて、ジュワッと香ばしい香りが広がった。 


……ん? なんだかどこかで嗅いだ香りだな?


「バッシュさん、それ、少し鑑定してもいいですか?」


「え? 構わないけど」

 

鑑定グラスを覗いて、説明を読んでみる。

『オークの戦士粥:そば粉、芋、塩、水から作られたオーク戦士の精進料理』


「そば粉……」

 

そば粉。そば粉のお粥…なんか、どこかで聞いたような。

私は昔読んでいたレシピ本のコラム欄を思い出していた。熱した石に偶然粥が零れて、食べてみたら美味しかった…という、あの料理。そう、ガレットだ! 


「思いつきました! ちょっと待っててくださいね!」


「え?え?ルナ?」

 

私は調理場に走っていって、ジルキさんに勢いよく頭を下げた。

 

「あのっ! 今、バッシュさんが食べてらっしゃるあのお粥、少し分けて頂いてもいいでしょうか。もっと食べやすくなるアイディアを思いついたんです!」

 

「えぇ?あの粥をかい?」


ジルキさんは突然のことにポカンと口を開けたが、私の申し出にニコッと微笑んだ。

 

「私も苦労してたところなんだ。あんたのアイディアとやら、見せておくれ」

 

「はい!」

 

私は早速鍋から粥を掬って、準備に取り掛かった。


「まずお粥の具材をもう少し細かく潰して……裏漉しした方が良さそうだな」

 

粥を裏ごしして滑らかにした後、熱した鉄板に丸く薄く伸ばす。そして別の鍋で塩漬けされたアンバーボアの肉とコカトリスの目玉焼きを焼いた。そしてここで、ルーンデールで作っておいたケチャップを取り出す。


「生地が頃合になったら、生地の上に乗せて、ケチャップを掛けて」

 

ポン!とリズム良く生地で具材を巻いたら、完成だ。


「できました。オーク戦士風ガレットです!」

 

私の作業を見守ってくれていたジルキさんは、驚いたように目を丸めて、しかし私を褒めるように頭を撫でてくれた。

 

「まさか粥を焼くとは思わなかったよ」


「私の故郷で似たようなものがあったので、使えるんじゃないかと思ったんです。ガレットなら片手で手早く食べられますし、作る側も簡単に済ませられますよ」

 

「そこまで考えてくれたなんてね。あんたのアイディアには本当に驚かされるよ」

 

ジルキさんは優しく言うと、調理場を覗いていたバッシュさんや戦士の人達を振り返って呼びつけた。

 

「おいバッシュ! ガズを呼んでこっちにおいで!」

 

「おう!呼んでくる!」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回も引き続きよろしくお願いいたします

画面下より☆の評価、感想、レビュー、リアクションなど、ポチっとお気軽にいただけると嬉しいです!いつもしてくださる方、本当にありがとうございます。励みになります。

※次回第113話『オークの戦士風ガレット』更新は3月28日18時です

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