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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
エルフの里帰り編

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104/125

104_ビョルンおじちゃん

第104話です。

いつもクールで釣れない態度の相棒が、『おじちゃん』って呼ばれてたら面白いですよね。

ガロール族長が立ち去ったあと、バッシュさんが顔を輝かせて、ビョルンさんの肩に組み付く。彼はビョルンさんに相当懐いているようだ。

 

「なぁおじさん! せっかく来たんだ、今日は泊まっていくだろ? なんなら、しばらく泊まっていくよな?」

 

「あぁ」


「やった!」


バッシュさんはビョルンさんの返事に、少年のように顔を輝かせた。 

  

「さぁ、ルナもこっちだ。うちを案内するよ」

 

バッシュさんを追いかけて足を踏み出そうとすると、なにかに引っかかったように重くなった。

 

「ん?」

 

見下ろすと、小さなオークの子供が私のズボンを掴んでいた。まだ幼いのか、私の膝だけくらいしかない身長で、涎まみれの手で私のズボンを一生懸命に掴んでいる。

 

「かっ……!!」

 

か、かわいいー!!!ちっちゃい!お目目がくりくりで、ふかふかなほっぺたと手!なんて可愛い天使のような子供たちなのか!

 

私は荒ぶる脳内を押しとどめて、しゃがんで目線を合わせると、にこやかな笑顔を子供たちに向ける。

 

「こんにちは」

 

「……ちは」

 

私の挨拶に少し恥ずかしがったように、男の子が返す。その片割れにいた女の子は、人懐こい笑顔を浮かべて、小さな赤いお花を差し出してくれた。

 

「いらっしゃい!」

 

天使降臨!!!!


私は天を仰ぎ、神に感謝した。私をこの天使に会わせてくださり感謝しますという祈りを込めて、両手を合わせる。

 

差し出されたお花は、どうやら歓迎の証のようだ。花を宝物のように受け取ると、私は大切にスカーフに包む。丁寧に保管して、押し花にしよう。

 

「ありがとう。えぇと、じゃあお礼をしなくっちゃね」

 

子供が喜びそうなもの、何かあったかな。腰のポーチをひっくり返す勢いで探すと、小さな小瓶を見つけた。その中にはキラキラとした鉱石、もとい鉱石を模したお菓子が詰まっている。

 

「ねぇビョルンさん。この子達ってコレ、食べられますか?」

 

ビョルンさんを見上げて尋ねると、彼は少し目元を緩ませた。

 

「オーク族も樹蜜を好んで口にする。問題ないだろう」

 

「やった!」

 

これはポーションの余りで作った、樹蜜のキャンディだ。回復効果はなくて、ただ甘いだけの甘味。くちどけをよくしているから、小さな子供でも喉に詰まらせることはないはず。

 

「あのね、これはキャンディっていって、甘くておいしいお菓子なんですよ」

 

「きゃんでぃ」

 

「そう、宝石みたいでキレイでしょう?おひとついかがですか?」

 

琥珀色のキャンディを西日にかざして、キラキラと光らせてみせる。子供たちの大きなグレーの瞳の中で星が散るように煌めいて、とても綺麗だ。


子供たちに見せるように一つを齧ってみせ、カラコロと良い音を立ててみせた。べっこう飴みたいな味が口のなかいっぱいに広がる。さぁ、未知の食べ物に子供たちの反応はいかに?

 

「ちょうだい!」

 

「もちろん、どうぞ」

 

女の子はキャンディを手に取って、一口で頬張る。それを見た男の子も続くように恐る恐る舐めてみた。そしてパァっと花が咲くように2人の顔に笑顔が浮かぶ。

 

「あまい!」

 

「おいしーい!」

 

「本当? よかった!」

 

その子達の声を聞きつけて、他の子供たちまで駆け寄ってきた。キャンディはたくさんあるので、ちゃんと1つずつ行き渡って安心する。これはこの集落で私が溶け込むための第一歩、そう、信頼の証だ。

 

「私はルナ。よろしくね」

 

「ルナ、るーな!」

 

挨拶をしながら微笑みかけると、子供たちはいっせいに私の名前を呼んでくれた。


 あぁ、なんという幸せ空間!

 

「ルナ、だっこして!」

 

甘えるように抱っこをせがむ子供たちを腕に抱える。私の腕力では2人が限界だが、こんなに尊い子供たちが3人も腕の中にいるんだ。決して取りこぼしたりはしない!

 

「どっこい……しょ!」

 

子供たちはそれぞれ見た目よりもどっしりと重たい。けれど、なんて愛おしい重みだろう!

 

「随分と懐かれたな」

 

「はい! 仲良くしていただけるみたいで、よかったです」

 

「そうか」

 

ふっと口角を上げるビョルンさん。彼の表情から、どれほどこの里を想っているのかよく分かる。

 

こんなに優しい顔をするなんて、意外な一面だなぁ。

 

ぼうっとビョルンさんを眺めていると、腕の中の女の子が身動ぎして私の顔を覗き込んだ。

 

「るな、どうしたの?」


私はふと思いついた疑問を、子供たちに投げかけてみる。

  

「ね、みんなから見てビョルンさんってどんな人?」

 

「ビョルンおじちゃん?」

 

ころん、と首を傾げる仕草が愛らしい。ふふ、おじちゃんって言われてるの、なんだか愉快だな。

 

「すっごくやさしい!」

 

「すっごくつよい!」

 

「それでね、それでね!」

 

子供たちが口々に語ってくれた話を要約すると

子供たちとよく遊んでくれる。

狩人たちの指導もしてくれる。

女の人にも優しい(おそらく紳士的という意味)。

物知りで色んなことを教えてくれる。

族長様と仲良しで、同じくらい強い。

 

……とまぁ、賛辞の嵐だった。普段のビョルンさんの釣れない言葉や態度からは考えられない聖人君子っぷり。だけど、そんなに驚きはなかった。ビョルンさんは素直になれないだけで、優しい人であることは私も知っているから。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回も引き続きよろしくお願いいたします

画面下より☆の評価、感想、レビュー、リアクションなど、ポチっとお気軽にいただけると嬉しいです!いつもしてくださる方、本当にありがとうございます。励みになります。

※次回第105話『縮まる距離、縮まらない距離』更新は3月20日18時です

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