普通の家庭に憧れて〜The birthplace of the girl wrapped in bandages〜
名もなき小さな町に、アヤという少女がいました。アヤは、親から愛されることなく、心の奥深くで「生まれてこなければよかった」と願っていました。親の事情で、彼女は児童保護施設に預けられることになりました。しかし、この施設は表向きは保護の名のもとに運営されていましたが、実は恐ろしい裏の顔を持っていました。
施設の中は、淡い光が差し込む静かな場所のはずでしたが、アヤの心には不安の影が忍び寄っていました。彼女が入ったその日、薄暗い廊下を歩くと、なんとも言えないヒソヒソ声が聞こえてきました。アヤは、その声の主に何が待っているのかを知らなかったのです。
それから数週間経った頃、アヤは突然呼び出され、白衣を着たスタッフたちによって監視室のような部屋に連れて行かれました。緊張で心臓がドキドキします。「いったい何をされるんだろう?」と恐れを抱きつつ、彼女はその場に立たされました。スタッフが「これは必要な実験だ」と冷たく告げると、アヤの体に注射が打たれました。瞬間、体中に激しい痛みが走り、彼女は地面に倒れ込みました。
副作用は想像以上でした。アヤはほとんど意識を失いそうになりながら、自分の内側から何かが引き裂かれる感覚に襲われました。吐き気がし、やがて彼女は嘔吐しました。心の底から感じる恐怖と絶望。身体の中で「何か」が暴れているような感覚は、彼女に拷問のような痛みをもたらしました。
その後も、アヤは様々な実験の対象となりました。針が彼女の肌を穿ち、その瞬間に彼女の内から「何か」を抜き取られる感覚。周囲の人々は何も感じず、日常に戻っていく中、アヤだけが人間の無情さを痛感していました。
けれども、アヤには負けない心がありました。なぜなら、こんな時にも友と呼べる存在ができたからです。彼女の名前は銘花。アヤと同じような経緯でここにきて、同じように実験体にされてました。2人はすぐに仲良くなりました。そして、2人は互いに依存して、互いに互いがいなかったら生きられないほどまでになりました。
ですが、そんな友情は、『大人の都合』で簡単に無くなりました。
銘花と一ヶ月ほど過ごした頃、銘花がいなくなりました。次の日も、また次の日も。
アヤは不安になりました。そして、恐怖を乗り切って職員に聞いてみました。
「どこに行ったの?銘花は?」っと。
そしたら職員はニヤリと笑って、
「ああ。じゃあ再会させてやるよ。見る影もないあいつをな。」
そして、アヤは職員に連れられ地下に行きました。そして、そこにある鋼鉄のドアを開けて、灯りをつけると、、、
銘花だったであろうものがありました。
ですが、彼女の顔は、もはや人間のそれではありませんでした。
肌は腐肉のように垂れ下がり、ところどころ黒ずんだ壊死組織が露出していて、頭部の片側は膨らみ上がり、内部で何かが蠢いているかのようにぶよぶよと動いてました。その腫れた部分から、黄色い膿が止めどなく流れ出ており、床にピチャピチャと滴ってました。
左眼は眼窩から飛び出しかけており、血管と神経がぶら下がったまま揺れています。右眼はすでに陥没し、そこには黒々とした空洞しかない。その穴からは、白い蛆が蠢いているのが見える。
口は耳まで裂けるように開いており、あごの骨が露わになっている。舌は腫れ上がって紫黒色になり、垂れ下がっている。そこからは、絶えず汚れた液体が垂れ落ちる。
体表の大部分は爛れており、裂け目から赤黒い肉が見える。背中には、薬の化学作用で突然変異した瘤のようなものが複数隆起しており、その一つから膿と血が噴き出している。
四肢は本来あるべき形を失っている。腕は異常に長く、肘や手首の関節が何度も折れ曲がっており、まるで生きた紐のようにぐねぐねと動く。指は融けかけており、爪の部分だけが骨のように黒く突き出ている。
その全体から立ちのぼる悪臭は、死と腐敗そのものでした。
アヤは絶句しました。 あれはなんだと。あれが、銘花なのかと。
職員はそんなアヤの様子を気に入ったのか、銘花であろうものを蹴り飛ばしながら、ぺちゃくちゃと話しました。
アヤは最高傑作に近いほどのスペックを兼ね備えている。あとは、心の底から絶望させるだけ。
ですけど、それには銘花が邪魔です。なので、いろんな薬を注射させたり、肉便器のような扱いをしました。彼女の中は締まりが良く、何回も出せたそうですが、それらを繰り返すうちに、薬の作用か、あんな姿になったと。
銘花は職員らに蹴り飛ばされるたびに、「あ“あ”あ”、、、」と悲鳴のような奇声を上げてましたが、アヤに気づくとにちゃりと気持ち悪く笑い、
「あ“や”....き“た”んた“。 あ”そ“ぼーー。」
「ひ、っひぃ。」
アヤはそんな銘花の成れの果てをみて、絶望し、ぺたりと座り込みました。じゃあ、自分が悪いのか。自分のせいで、彼女が、銘花が、あんなことに、、、
そこからアヤの扱いはどんどん悪化していきました。注射の頻度も多くなり、まずは皮膚がただれてきました。
それをみて職員らは、彼女の全身を包帯で包みました。
次に声帯が無くなりました。
それをみて職員らは手話を無理やり覚えさせました。
次に足の感覚麻痺が、
次に味覚の消失が、
次に、、、、、、、、
次に、、、、、、、、
次に、、、、、、、、
そうして、アヤも銘花のような醜い化け物となりました。
職員らももう彼女を見捨てたのか、少量の食事を、1日に一回出すかどうかの頻度になりました。
彼女はもう諦めました。生きることを。頑張ることを。
銘花がまだ生きてた頃、彼女はアヤにおとぎ話をたびたびしてくれました。シンデレラ、一寸法師、白雪姫、、、
どれもこれもが所詮はおとぎ話だと。 そうだったら自分はもうハッピーエンドだと思ってました。
そして、銘花。 彼女を自分が殺したようなものだとアヤはずっと思ってました。 それは今でも。
アヤはこれまで、自殺をする機会は何度もありましたが、それを全て我慢しました。 だって、銘花はもっと酷い仕打ちを受けたんだろうから。
でも、もういいや。 もう楽になろう。 そうアヤは思い、
「銘花、いま行くね……」と心の中で呟きました。
自身を包んでいた包帯の一部を取り、上の蛍光灯にひっかけました。
そして、包帯を結び、頑張って立ち上がり、
よっとジャンプをして首をつりました。
痛いという感情はありません。むしろ喜びました。
これでやっと死ねる。銘花に会いに行けるんだと。
そんな興奮と幸福を胸に抱き、死んでいく.........
わけもなく、アヤは目覚めました。
アヤは驚きます。そして、絶望しました。自分は、自殺したはずだ。じゃあこれは.....
そう思ったアヤは、思いっきり舌を噛み切りました。噛み切って、それを喉に詰まらせます。
ですが、だんだん苦しくなっている最中に、舌を噛み切った痛みがなくなります。そして大量の血も間違えて飲み込んでしまい、吐くものもないだろうに、彼女は嘔吐しました。
胃液を吐いた彼女は震えた手で舌を触ります。
舌は、噛み切った前のように存在しました。
そして、アヤは察しました。 そうか。そうか。 彼らは、この実験をしてたのだと。
不死身の体を作る実験。 自分はその実験体で、見事にそれは成功したんだと考えました。
そして、この体になったじぶんは、また実験体になるのだろうと。
アヤは顔を覆い、神を恨みました。なぜ死を望む自分に不死を与えるのか。また、あんなことがされる。いや、もっと酷いことをされる。
これじゃあ、銘花に永遠に会いに行けない。
そう思ってると足音が聞こえてきました。アヤは絶望しました。絶望して、絶望して、絶望して、、、
「アアアアアーーーーーー!!!!!」
死ぬこともできない絶望し、死を願う少女はこうして誕生し、永遠に死ねない苦しみに絶望するのでした。
〜めでたしめでたし。〜




