「冒険の書二百六:カルラの策」
~~~カルラ視点~~~
ディアナたちを乗せた船が通るだろうリトニア川の中間地点を見通せる高台に、カルラはいた。
望遠鏡を覗き込みながら、刻一刻と変わる戦況を見守っていた。
最初のうちは、ディアナたちたに蹴散らされるサハギンたちの弱さを顔を真っ赤にして怒っていた。
「なによ! サハギンたち全っ然ダメじゃない! なにが『川での戦闘なオレらが一番ですから。人族もエルフ族も赤子みたいなもんすよ』よ! 赤子扱いされてんのは自分たちじゃない!」
大見得をきって出陣していったサハギン族の若者たちが一匹ヤラれるたびに歯ぎしりし、地団太を踏みとうるさかったのだが、水中から泥竜が飛び出してからはさらにうるさくなった――今度は違う意味で。
「っしゃああああ~! キタキタキタぁ~! ホントに来てくれた! いぃぃやったあぁぁぁ~!」
ぴょんぴょん飛び跳ねると、思いきりガッツポーズ。
周りに控えるコボルドたちが引くほどの大絶叫で喜び始めた。
「死ぬほど貢ぎ物した甲斐があったわ! あの野郎、見た目は手足と翼が生えたデブのナマズのくせに、変なとこで竜っぽさ発揮しやがって! 『宝石だ、眼も眩むような宝石を捧げよ』とか抜かしやがって~!」
乗っている船ごとディアナを葬るために泥竜――リトニア川最強の王であるドロガロンに出陣してもらう。ついでに天候操作の魔術で局地的に雨を降らせ、高速艇の速度を遅らせてもらう。
その案自体はよかったのだが、失うものもまた大きかった。
引退後の生活のためにと密かに蓄えていたカルラの私物――高価な宝石をゴッソリ持っていかれることとなってしまったのだ。
「まあでも、約束通り戦ってくれるみたいだしオッケーね! 『天候操作』の魔術で雨を降らせて高速艇の足を遅くしてくれたし! 足止め用のサハギンも一緒に喰っちゃうぐらいは誤差よね誤差!」
カルラは笑いながら望遠鏡を覗き込んだ。
「ほらほら! 困惑してる! あんぐり口開けて固まってる! そりゃそうよねえ~! まさかこんなところで泥竜に出くわすなんて思わないわよねえ~! でもざ~んねん! これが現実! アタシの執念深さを舐めたアナタたちが悪いのよ!」
今まさに人生……魔族生絶頂ぐらいの勢いで、カルラは笑い続けた。
「ねえ、今どんな気持ち? ねえ、今どんな気持ち? アタシに命乞いしたくなった? 『カルラさま、もうしないので許してください』って土下座して謝りたくなった? でもざ~んねん! アタシは絶っっっっっ対! 死んっっっっでも許してあげない! あの醜いドロガロンの腹の中で溶かされて、最終的には川の中に排出されて、魚どものエサになればいいのよ! あああ~っはっはっはっは! いい気味ぃぃぃ~!」
カルラけっこう好き|д゜)w
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